ビジネス書の歴代ベストセラーを読んでみた【日販年間ランキング1位(2014-2020)】

歴代ビジネス書日販ランキング1位

書籍の売上ランキングを確認するときに、最も正確な物差しとなるのが日販(日本出版販売株式会社)が発表する「年間ベストセラー」です。ベストセラーランキングの部門は、「総合」のほかにも「単行本ビジネス」「文庫」「コミック」など複数に分かれています。

今回は日販年間ベストセラーの中でもビジネス書に絞って、歴代ビジネス書ランキング1位の書籍を2014年から最新の2020年まで紹介していきます。売れた本は相応の理由があって売れていますが、時間がたってもなお読む価値があるかどうかというところまで正直に感想を書きます。

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2020年ベストセラービジネス書:人は話し方が9割 (永松茂久)

人は話し方が9割
人は話し方が9割

2020年に最も売れたビジネス書は『人は話し方が9割』です。本書は、コミュニケーション能力が高い人と聞いて連想する営業やプレゼンがとても上手い人を目指すのではなく、同僚や友人、家族との日常的なコミュニケーションを円滑にすることを目的としています。

相手の話をうまく引き出す「拡張話法」の5ステップや、嫌われる話し方をする人が使ってしまう「4Dワード」などの実践的なノウハウから、自己肯定感を高め、相手を否定しないという心構えまで、図解とともに解説されています。中でも特徴的な主張が、話しやすい人との間で会話力を磨けばよいというものです。

仕事でもオンラインでのコミュニケーションが増える中で、会話の重要性はより増していると感じる人もいるでしょう。そこで最新のコミュニケーション関連の本が話題になるのもうなずけますが、これまで読まれてきた名作にも手を伸ばしたいものです。

コミュニケーションの本質を学ぶ上で、デール・カーネギー著『人を動かす』や池上彰著『伝える力』もオススメです。
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参考:日販調べ

2019年ベストセラービジネス書:メモの魔力 (前田裕二)

メモの魔力
メモの魔力

2019年に最も読まれたビジネス書のベストセラーが前田裕二さんの『メモの魔力』です。「狂気」と言えるほどの量のメモを、四六時中書き続ける著者の実際にメモ術のノウハウを解説した一冊。

アイデアを生み出すために、世の中のあらゆる事象を抽象化し、自分のビジネス領域に転用するという一連の流れが基本となります。いかに深い思考をするか、習慣づけて毎日続けるかというような実践的なアドバイスが詰まっています。実際にノートをどう使うかということから解説されているので、読者はすぐにメモを取り始めることができます。

また知的生産のメモ術に加え、本書のもう一つの魅力が、自己分析のためのメモです。著者が自らを知ることで人生を豊かにしてきた経験から、巻末には1000問もの自己分析用の質問が用意され、自分が本当にやりたいことや歩むべきキャリアの方向性を考えるのに役立ちます。

不安的な時代に丸腰で立ち向かうのではなく、メモという実際的な武器を身につけるための教養書です。

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『メモの魔力』前田裕二

参考:日販調べ

2018年ベストセラービジネス書:大人の語彙力ノート (齋藤孝)

大人の語彙力ノート
大人の語彙力ノート

人間関係や場面ごとに適した言葉を使う重要性を教えてくれる『大人の語彙力ノート』が2018年ベストセラーとなったビジネス書です。あらゆるコミュニケーションにおいて、何を言うかという内容はもちろん、どう言うかというのも大変重要です。

同じ意味でもどのような言葉を使うかで、相手が抱く自分の印象は変わってきます。また「やばい」「すごい」という一見便利に思えるような言葉を多用することで、語彙力ひいては感受性が先細りしていく恐れがあります。

本書では、多様な慣用表現の言い換え言葉を学ぶことができます。例えば「うれしく思います」と言う言葉をそのまま使うことが最適な場面もあれば、目上の人に対して「冥利に尽きます」などという表現が好ましい場合もあります。話し言葉でも書き言葉でも重複しがちな「考えます」「思う」というような言葉の言い換えも掲載されています。できるだけ多くの言葉を大事に使っていけるに越したことはないはずです。

参考:日販調べ

2017年ベストセラービジネス書:はじめての人のための3000円投資生活 (横山光昭)

貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス
貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス

2017年にビジネス書部門でベストセラーに輝いたのは、投資入門としては最適な『はじめての人のための3000円投資生活』です。少額での積立投資を誰もが始められる指南書です。2016年に出版された本書を、新たな情報とともにアップデートした『貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス』も出版されているので、上の画像も含めその紹介を。

タイトルのとおり、月々3000円から始められる投資術を投資初心者にもわかりやすく紹介した一冊で、対象として投資信託に焦点を当てています。投資信託とは何かという知識から、今おすすめの投資信託の具体的な商品名にまで言及しています。さらに実際にコストの低いネット証券に口座を開き、おすすめの投資信託の購入設定をする方法までが記されています。

とにかく最低限の金額で投資に触れてみたい方には最適な案内書だと言えます。優れた投資商品は時の流れとともに変化していきますが、本書の投資法自体は今後も長く使える知識です。

資産運用をゼロから学びたい方は『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』を、節約や副業なども含めお金のことを基礎から学びたい方は『お金の大学』をおすすめします。

参考:日販調べ

2016/2015年ベストセラービジネス書:嫌われる勇気 (岸見一郎/古賀史健)

嫌われる勇気
嫌われる勇気

2015年、2016年と2年連続で日販のベストセラー1位に名を刻んだビジネス書が『嫌われる勇気』です。全く新しい悩みの解消方法は多くの人に受け入れられ、今なお売れ続けるロングセラー本でもあります。

本書は、心理学の三代巨頭と称されるアルフレッド・アドラーが創設した心理学「アドラー心理学」を、現代人が抱える家庭や仕事での悩みに応用する方法を示してくれます。過去のトラウマを完全に否定したり、人間の悩みの根本はすべて対人関係だと主張するなど、内容はとても明確です。

何事にも自信が持てない青年とある哲人との対話形式で構成されていて、読者もその哲人にカウンセリングを受けているかのように自分事として読み進めることができます。「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という問いに、シンプルかつ具体的な答えを提示してくれるアドラー心理学の入門書。

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嫌われる勇気

参考:日販調べ(2016)/(2015)

2014年ベストセラービジネス書:まんがでわかる7つの習慣 (フランクリン・コヴィー・ジャパン監修)

まんがでわかる7つの習慣
まんがでわかる7つの習慣

2014年のベストセラーとなったビジネス書は『まんがでわかる7つの習慣』です。本書は世界的に著名なスティーブン・R.コヴィーの『7つの習慣』をマンガ化したものです。ハードカバーで500ページ超ある原作ですが、このマンガ版では重要なポイントを網羅しつつ、より読みやすいストーリーとして再構成されています。

成功を手にするためには表面的なテクニックではなく、より根本的な部分である「人格」を育まなくてはなりません。本書では、バーで働く主人公をはじめ、さまざまな問題に直面した人がバーに集まります。そんな登場人物たちを取り巻く問題に、「7つの習慣」を一つずつ応用する形で解説していきます。

「人生に迷いがある」「今の仕事に満足できない」「人間関係がうまくいかない」など、日々多くの人が感じるであろう問題が描かれているので、マンガの世界に入り込みやすいのも大きな魅力です。

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まんがでわかる 7つの習慣
「7つの習慣」に興味を持ったら、ぜひ原作を読んでみることをおすすめします。ボリュームこそ多いですが、とても翻訳とは思えないほど読みやすいと感じました。一生読み続けられる本を一冊持っておきたいものですね。
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『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー

参考:日販調べ

最後に

やはり日本最大級の出版取次である日販調べによるランキングでは、その年の世の中のニーズが正確に反映されています。流行りというのはすぐに古い知識となってしまうものもありますが、今後長く読まれるロングセラーとなりうるビジネス書があることも事実です。

ぜひ上記のレビューをもとに、歴代ベストセラーに選ばれたビジネス書を読んでみてはいかがでしょうか。

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それでは楽しい読書ライフを!

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