【ビジネス書大賞】歴代受賞作品を読んでみた(2015-2020)

歴代ビジネス書大賞

毎年多くの名作ビジネス書が生まれていますが、中でも注目されるのが「ビジネス書大賞」受賞作品やノミネート作品です。「ビジネス書大賞」は2010年から続いていますが、今回は2015年からの大賞受賞のビジネス書を読み通してみました。

そのビジネス書大賞歴代受賞書籍の紹介と、年月が過ぎてもなお読む価値があるものかどうかの感想を述べたいと思います。

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ビジネス書ランキング・アワード

ビジネス書大賞とは

ビジネス書大賞
ビジネス書大賞公式HP

ビジネス書大賞とは、ビジネス書や自己啓発書を主に刊行する出版社ディスカヴァー・トゥエンティワンによって、2009年に創設されました。日本初のビジネス書アワードとして2010年に第1回ビジネス書大賞を開催し、以降毎年話題作が生まれています。

対象となるビジネス書は「ビジネスパーソンにとって学びや気づきがある本」と定義し、本のスタイルやジャンルを問わず幅広く網羅されています。

選考プロセスは、一次審査を書店員がウェブで投票しノミネート作品を決定します。その後、経済界や学界、書店やマスコミ関係者などの最終審査を経て大賞作品が表彰されます。年度によって変わりますが、大賞のほかにも「準大賞」や「特別賞」など複数の部門が設けられます。

ビジネス書大賞公式HP:http://biztai.jp/

歴代ビジネス書大賞受賞作品 (2015-2020)

2020年 ビジネス書大賞 『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング/オーラ・ロスリング/アンナ・ロスリング・ロンランド)

ビジネス書大賞2020の大賞の輝いたのは、出版された2019年以降最も注目を浴びてきた『FACTFULNESS』です。情報の取捨選択や読み取り自体がますます難し区なっている時代に、「データを基に世界を正しく見る習慣」を身につける重要性を主張した一冊。

信憑性のないネット情報からさまざまな立場から報道されるニュースまで、ありとあらゆる情報が溢れ、世界を正しく見ることができないと、「自分が知っている世界」と「事実」がかけ離れてしまうおそれがあります。

『FACTFULNESS』は人口や貧困、教育などをテーマにした豊富なデータとともに、「ネガティブ本能」「恐怖本能」「焦り本能」など、世界を見誤ってしまう原因となる人間の持つ10の思い込み本能を指摘しています。このような本能を客観的に認識することで、これまでとは違った世界の見方ができるはずです。

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FACTFULNESS (ファクトフルネス)

2019年 ビジネス書大賞 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子)

2019年のビジネス書大賞は、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』です。AI時代における懸念事項と、AIと共存していく人間に求められる素養を説いた一冊。著者は数学者で、「ロボットは東大に入れるか」という人工知能プロジェクトを主導してきた新井紀子さんです。

近未来に人間の(特にホワイトカラーが担う)仕事の多くがAIに代替されてしまう一方で、AIは人間の全ての仕事を肩代わりできない点に言及しています。東大入試するためのロボット開発で感じた限界から、AIの不得意分野として「高度な読解力」「常識」「柔軟な判断」を挙げています。

今後人間が活躍していくための基本的な能力である読解力ですが、本書では、中学校を卒業段階で約3割が表層的な読解もできないという現実が示されています。著者はAIの時代に対して悲観的なシナリオを想定しますが、それはけっして嘆きなどではなく、読者および読者の子ども世代が未来への準備をするための注意喚起だと受け取れます。

2018年 ビジネス書大賞 『SHOE DOG 靴にすべてを。』(フィル・ナイト)

ビジネス書大賞2018の受賞作『SHOE DOG 靴にすべてを。』は、ナイキの創業者・フィル・ナイトの伝記です。著者が1962年に日本のシューズメーカー・オニツカと出会い、1980年にナイキを上場させるまでの内容で主に構成されています。単純に有名スポーツメーカーであるナイキの前身が、日本の老舗ブランドあるオニツカの販売店だったこと、たびたび日本の企業と深く関わり合ってきたことなどのストーリーだけでも楽しめるでしょう。

しかし本書の魅力は著者の人生譚にこそあります。当時はまだ戦争での敵対国というイメージが残る中で、日本を訪問する勇気。ランニングがスポーツとして認識すらされていなかった時代に、スポーツシューズに目をつけた先見性。そして競合から攻撃され、銀行には見捨てられるなどの逆境を跳ね返す意志の強さ。

ビジネスについて「日々新たに50の問題が浮上し、50の即断を迫られていた。1つでも見切り発車したり、判断を誤れば終わるのだと常に痛感していた」と語るように、巨大企業が、そしてフィル・ナイトが辿ってきた全てが描かれた一冊。

2017年 ビジネス書大賞 『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ)

2017年ビジネス書大賞に選ばれたのは、言わずと知れた名作『サピエンス全史』です。現生人類のホモ・サピエンスがいかに他種との争いを生き抜き、文明を築き上げたのかを7万年前に遡って考察した歴史書。本書は主に①7万年前に起きた「認知革命」②1万2000年前に起きた「農業革命」③200年ほど前に起きた「産業革命」の3トピックで構成されます。

中でも特筆すべきは、「虚構」を用いることで集団的な協力体制を築くことができたという「認知革命」についての考察です。今でこそ普遍的な秩序となりうる文化として認識されている、貨幣・帝国・宗教などは「虚構」を信じることで成り立っているものだと言えます。

年月を遡るに連れて科学的な証拠に基づく推測が難しくなるものの、本書では著者の豊かなイマジネーションと合理的な考え方が、まるでその時代に立っているかのような感覚を与えてくれます。そして終盤では「超ホモ・サピエンス時代へ」という人類の未来についても論じていきます。

本書は上下巻でボリュームもある本ですが、オーディオブックのAudibleなどでも読めるので、読書にあまり慣れていない方でも気軽に読み始めることができます(>>AmazonでのAudibleの購入はこちら)。

2016年 ビジネス書大賞 『HARD THINGS』(ベン・ホロウィッツ)

ビジネス書大賞2016に輝いたビジネス書は『HARD THINGS』です。連続起業家でありシリコンバレー有数のベンチャーキャピタリストでもあるベン・ホロウィッツが自身の経験をもとに書いた、いわば起業家の「生きた困難事例集」。著者が「私はこの本で難しい問題への対処法やマニュアルを提供するつもりはない」と語るように、本書は成功の美談を語った多くのビジネス書とは異なり、起業家として直面したリアルな困難の数々とそのプロセスが生々しく描かれます。

いち個人の体験談でありながら、本書で語られるストーリーは典型的なベンチャー企業が抱える問題を網羅しています。雇用・解雇・教育や企業文化の構築というところから、製品開発や資金繰り、会社売却、さらには家族の問題まで、幅広い「事例」が記述されています。読者はまるで映画を見ているかのような感覚におちいるでしょう。

『HARD THINGS』は起業や会社経営に興味がないとあまり主体的に読み進めることはできないかもしれません。一方で本書を読むと経営者がいかに孤独であるかがわかるように、同じような立場にいる人にはこれ以上ないほどの助けとなるでしょう。

2015年 ビジネス書大賞 『ゼロ・トゥ・ワン』(ピーター・ティール)

2015年ビジネス書大賞に選ばれた『ゼロ・トゥ・ワン』は、PayPalを共同創業し、以降シリコンバレーにて絶大な影響力を誇り、現在では米国有数の投資家であるピーター・ティールによるビジネス書。本書には「新しい何かを創造する」本質的な方法について書かれています。

著者は採用面接で「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」という質問を必ず訊くそうです。この「隠された真実」こそ、0から1を生み出す最大のヒントであり、それを見つけるためのアイデアがまとめられています。加えて、商品の販売や実際に企業を経営していくポイント、つまり1から10にするために大切なことについても語られています。

序文を書いた瀧本哲史さんは、本書を一番読んでほしいのは「起業家ないし起業志望者」と述べています。同時に、本書では1998年にはじまるドットコム・バブル近辺から、現在のテック企業までの米国ビジネスの流れを解説しているという点で、現代の米国ビジネスの成り立ちを学ぶ読み物としても楽しめる一冊。

最後に

2010年から続く日本初のビジネス書アワード「ビジネス書大賞」での受賞作品には良書が多く、年月を経てなお読む価値のある本ばかりだという印象を受けました。

「ビジネスパーソンにとって学びや気づきがある本」が対象となっているように、2017年の大賞『サピエンス全史』が選ばれるなど、より広い読者の関心とマッチしているのがビジネス書大賞の特徴です。

これからも大賞やその他受賞作品を楽しみにしましょう。

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それでは楽しい読書ライフを!

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