「抽象化」をもっとわかりやすく解説【メモの魔力】

メモの魔力

これからかなりニッチな話をしていきたいと思います。

テーマは「抽象化」です。前田裕二さんを知っていたり、『メモの魔力』を読んだことのある人、ビジネス書に興味がある人なら聞き慣れた言葉かもしれません。

ここでは2019年もっとも読まれたビジネス書『メモの魔力』を読んで、「抽象化」って難しいなと思っている人の助けに少しでもなればと思っています。

前田さん流のメモ術は、大きく分けて、

  1. ファクト (見たり聞いたりした情報)
  2. 抽象化 (物事の本質)
  3. 転用 (他分野への応用)

という3ステップで展開されます。

その中の抽象化が、頭を使う作業なので少し大変です。ぼくもそうでしたが、ここでつまずくという声をよく聞きます。

『メモの魔力』で紹介されているメモ術の目的は大きく分けて二通りで、一つは「アイデアを生み出す知的生産」もう一つは「自分をよく知る自己分析」になります。

この二つは関係していて、まず自己分析で自分を知った上で、自分のゴールに向かってメモを活かそうよ、という趣旨なのですが、この二種類のメモで、抽象化の方法が少し違うな、というのがぼくの感想です。

つまり、抽象化するときに投げかける質問が少し違うのです。

ここではその「アイデア生産」と「自己分析」のケースに分けて、抽象化の簡単なコツを紹介していきたいと思います。また抽象化上達のためのコツも紹介したいと思います。

その前にまず軽く、「抽象化とはなんぞ」ということからおさらいしておきましょう。

抽象化とは?

とある辞書をひくと「抽象」についてこんな記述があります。

[名](スル)事物または表象からある要素・側面・性質をぬきだして把握すること。(出典: goo辞書)

逆の言葉はみなさんもご存知、「具体」です。物事をよりわかりやすく噛み砕くアレですね。

この抽象と具体をわかりやすく説明した細谷功さんの『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』を参考にしていきたいと思います。(←抽象化の本質を理解するには本当におすすめの一冊です!)

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抽象化するというのは、たとえば、

魚屋さんで売られている「さんま」を抽象化する場合、

さんま→魚→動物、というようにどんどん個別の特徴を削って、より一般的なものに(より多くのものに当てはまるように)していく作業が抽象化です。

抽象化の例

この抽象化という作業、小さな子どもでも普段からやっていますよね!

空からぽつぽつ水が降ってきた→厳密には1粒1粒形も大きなも違うはずだけど(そんなことは無意識)、「雨」と呼ぼう!

というのも抽象化です。

逆に具体化の作業も誰でもやっています。

友達に「〜さんっていい人だよね」→だってアメくれたり、悩みを親身に聞いてくれたりするもんね

これはまぎれもない具体化です。

前田さんのメモ術では抽象化も具体化も大切です。この具体化の部分も理解していないと、今自分はどっちを考えているんだっけ?と思考の階層がぐちゃぐちゃになってしまいます。

さて、ここまでで言っていることはわかる、という人が多いと思いますが、じゃあ実際それをメモに当てはめるとなると、難しいなと感じる人も多いのではないでしょうか?

それもそのはずです。上で紹介した抽象化の例は、ほんの一部の方法でしかないからです。

ですが安心してください。あまり複雑な説明をするつもりはありません。簡単な質問に答えるだけで、抽象化ってできるのです。

アイデアのための抽象化

ファクトから抽象化するときに問いかける質問は、ここからはじめれば簡単です!

  • なぜ?
  • それは何が面白い?

この万能の質問をするだけで、個別具体的なファクトは、抽象レベルを一段上げ、応用可能な抽象的なものに変わります。

また、「その知識は何が面白いのか」という問いも具体的でわかりやすくておすすめです。山口周さんの『独学の技法』という本からのヒントです。

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すごく、簡単じゃないですか?

自己分析のための抽象化

自己分析の抽象化では、まず抽象化の前にファクトの部分でできるだけ具体化をします。ファクトを書いて、さらに「例えば?」「実際どんなことがあった?」「他にも似たことなかったっけ?」とできるだけそのファクトを深掘りしていきます。

その上で以下のような問いを自分に投げかけます。

  • なぜ?
  • つまり、どういうこと?
  • 自分って本当は〜なんじゃ?
  • その想いを他の言い方に当てはめられないか?

出た答えは仮説でも構いません。自分自身で見えていない自分を探るのですから、正解なんてありません。

また、三浦崇宏さん著『言語化力』の中で抽象化のコツについて以下の点をあげています。

  • 固有名詞を省く
  • 時系列を無視する
  • 行為と現象と関係性だけを抜き出す
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自己分析のための抽象化では、細かいところで抽象と具体の階層が上下してしまってもOKです。最終的に大まかにファクト(具体)→抽象→転用(具体)の流れになっていれば問題ありません。

抽象化上達のコツ

あらゆるシーンで練習する

趣味と抽象化を掛け合わせると楽しく練習ができます。趣味が映画、読書だったり、テレビを見ているときだったり、なんでもメモの素材になりえます。前田さんも、こう言います。

情報やコンテンツに触れる際に、メモをとり、抽象化する癖をつけてみてください。1を聞いて10を知る、と言いますが、10倍ではきかないくらいに、得られる情報量が圧倒的に増えます。

自分を客観視する

前田さんが、抽象化能力を鍛える上で欠かせないというのが「自分を客観視する力」です。

これを日常的に訓練するには、写真を毎日決まった枚数とって見返すことが有効だといいます。自分がどんな写真をとっているのかを客観的にみて、それを言語化します。「なにが良いと思って撮ったんだろう」ということを深掘りすることで、その意図した本質にたどり着けるのです。

抽象化ゲーム

楽しくゲーム感覚でできるのが、「抽象化ゲーム」です。

「AとはBである」とお題を出して、その二つの共通点を見出すゲームです。

「人生とは小籠包である」というお題があったなら、「表面には見えない内なる熱い部分がある」などの共通点を探します。抽象化しているわけですね。

ポイントはお題の片方が抽象度が高くするということです。上の例でいうと、「人生」という抽象的なワードだからこそ、小籠包という超ピンポイントなお題との共通点が見つけられるわけです。

前田さんも自分の部下にお題を投げかけたりすることもあるのだそうです。

おわりに

「抽象化」について少しでも理解が深まる助けになっていれば嬉しいです。とにかく練習で身につく能力だと思うので、最初はうまくできたかは気にせず量をこなしていきましょう!

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