インプットの効率を高める『独学の技法』

知的戦闘力を高める 独学の技法

テクノロジーが発達し、世の中がこれまでにないくらい速さで変化していくこの時代。あなたががんばって身につけたスキルや知識は、1年後には不要になってしまうかもしれません。

もっと言うと、自分の「得意」が明日には価値がなくなってしまう可能性すらあります。

そろばんを使って高速で計算をできた人は、電卓よりも価値を生み出せるでしょうか?
今や電卓を正確かつ高速で扱える人は、重宝されるのでしょうか?

そんな時代を生き抜くには、新しいスキルや知識を学び、身につけ続けるしかありません。そして、毎日なにかを学ぶ上で、不可欠なのが「独学」です。

たとえば、英語やプログラミングを身につけるときに、スクールに通うのも一つの手段です。しかし、結局は自分で勉強し、練習するという時間が大半を占めることになります。

ではどのようにすれば、効率よく自分で学ぶことができるでしょうか。

ここでは、『知的戦闘力を高める 独学の技法』をもとに、独学の必要性や具体的なインプットの方法から知識の実用化までを、よりかんたんにご紹介します。

主に本を読むことでの独学に焦点を当てていきますが、人の話を聞いたり、動画を見たり、あらゆるインプットに応用できる方法となっています。

『独学の技法』ってどんな内容?

『独学の技法』の著者は、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』などを書かれた外資系コンサルの山口周さんです。この時代における独学の必要性はもちろん、独学の戦略の立て方、インプットの仕方、知識を実用的に使う方法などを体系的にまとめた1冊です。オリジナリティのある武器を身につけるにはどうすればよいのか。知識を必要なときに使うにはどのように工夫すればよいのか。

この時代に必要な学ぶ姿勢と方法が全てここにあります。また本書の最終章では、リベラルアーツの11ジャンルにおける、山口さんのおすすめ著書が紹介されています。各分野で入門書から専門書までピックアップされているので、あなたの興味や専門性に合った本が見つかるはずです。

独学ってどうやるの?

まず山口さんの主張する「独学の技法」では、いかに「頭を使って考え」「知識を使っていけるか」ということが重要です。知識をいかに記憶するかという従来型の学習法とは違います。

独学のプロセスは、以下のように4段階に分かれています。

  1. 戦略
  2. インプット
  3. 抽象化・構造化
  4. ストック

①~③までのプロセスで、自分の頭で本の内容をしっかり咀嚼し、考えます。

そして④で、その本から得た知識をいつでも取り出せるように、知的生産システムを構築します。

全く難しい話ではありません。さっそく、各項目を具体的に見ていきましょう。

①戦略を立てる

読書で独学をするとなると、まず重要なポイントはどのような本を読むかです。本を選ぶ際に意識したいことは二点。

  1. 読める本の数には制限がある
  2. 読む本によって自分のオリジナリティが決まる

①については当然だと思う人も多いでしょう。しかし今一度考えてみましょう。

仮に1冊5-6時間で読めるとします。毎日1時間を読書に費やしても、読める本は週に1冊くらいになります。年間で考えると約50冊ほどです。

この50冊であなたのインプットの質、ひいてはどれくらい知識や能力が向上するかが決まります。

そこで、手当たり次第に本を読むのでなく、一度よく考える時間をとって、どのような本を読むかを決めることが大切だというわけです。

②については、読む本のジャンルで身につく知識や能力のジャンルも変わってきます。例えば、経営やマネジメントの本を読めば、社長や管理職の人に最適な知識や能力が身につくでしょう。というか、そのようなジャンルが存在している時点で、そのような人たちが読む本という想定がされています。

ジャンルに沿って勉強をするということは、すでに誰かが体系化した知識の枠組みに沿って勉強するということですから、その人ならではの洞察や示唆が生まれにくいのです。

つまり、単純に自分に必要だと思うジャンルに絞って独学を行えば、想定内の知識や能力しか身につきません。当然、そこにオリジナリティというものは生まれないでしょう。

では何が必要かというと、

「独学の方針は、ジャンルではなく、むしろテーマで決める」

ことです。

自分で明確にした学びたいテーマを設定し、複数のジャンルを掛け合わせてそのテーマについて学びます。

「組織における権力構造」が学びたいテーマなら、歴史文学、政治哲学、映画、動物行動学などのジャンルを組み合わせることで、オリジナリティのあるインプットができ、自分の洞察や示唆もユニークなものになります。

このテーマを決めるポイントは、自分の専門分野や詳しいことなどを軸にして考えることです。そしてジャンルの選択については、最初から適切に選ぶことは難しいと思うので、「興味がある」「面白そう」くらいの感覚でいいと思います。

偶然の学び、というのも貴重なインプットです。

②効率の良いインプットの方法

この効率の良いインプットの方法については、本書で数多くのアドバイスがなされています。ここでは「関連分野を固めて読む」「疑問を持ち続ける」ということに焦点を当てていきます。

関連分野を固めて読む

ある分野について学びたい時に、山口さんは「最低でも5冊程度の入門書と5冊程度の専門書を読みこむことが必要」と言っています。

本書では、インプットした内容は無理に覚えないという方針ですが、それでも一時期に関連書籍をまとめて読むと、内容が相互に連関し始め、より強固に頭の中に定着するのだと言います。

この読書法は、理解度も深まるし、読むスピードも上がる、というのがぼくの個人的な感想です。

疑問を持ち続ける

本を読みながら、絶えず疑問を持つというのが、効率的なインプット方法の一つです。山口さんは「疑問を持つ」ことについて以下のように言っています。

「どうして、こうなっているんだろう?」「恐らく、こうなっているんじゃないか?」という問いを出発点にして、その問いに対する答えを得るためにインプットを行うと、インプットを楽しめるばかりでなく、効率も定着率も高まることで、結果的にストックも充実することになります。

ストックも充実するというのは、この独学の技法の最終段階の話ですが、要は、使える知識の量も質も向上するということです。問いが生まれて、自分の中で解決すると、見ていなかった新たな問いが生まれて、というように好循環が生まれるのです。

③抽象化・構造化

読書をする意味はこのポイントに集約されると言っても過言ではありません。読書を通じて得た知識を、自分の腹に落とし込み、生きた知恵に変換するのがこの「抽象化」と「構造化」なのです。

「抽象化」と「構造化」についてすごく簡単に説明するとこんな感じになります。

抽象化とは、細かい要素を捨てて「要するに○○だ」とまとめてしまうことです。

構造化とは、他の分野にも応用できるのでは?と関連づけることです。

では読書を通じて、この「抽象化」と「構造化」を行うにはどうすればよいのでしょう。3つ質問を自分に問いかけながら読書をするといいでしょう。

  1. 得られた知識は何?
  2. その知識は何が面白いの?
  3. その知識を他の分野に当てはめるとしたら、どんなことが言える?

この2番目の「その知識は何が面白いの?」は抽象化の最初のステップです。これで物事の本質に近くことができます。

そして3番目の「その知識を他の分野に当てはめるとしたら、どんなことが言える?」で、「あーこれって○○にも活かせるんじゃないか?」みたいなことを考えるのが構造化です。

この3つの質問は次の「ストック」の段階でも大いに役に立ちます。

④知的ストックをいかに貯めて、使うか

本を読んで、「あー面白かった」だけでは、内容は時間が経てば忘れてしまいます。

そこでいざというとき引き出すために、自分の思考を助けるために、生きたままの状態でストックしておく必要があります。そのために必要なのは、ズバリ

読書ノートの作成です。

これは紙でもデジタルでも構いません。しかし検索能力と言う観点では、圧倒的にデジタルが優れているので、山口さんはデジタリ(特にアプリのエバーノート)を推奨しています。

では本を読んで読書ノートを作成するまでのポイントを順を追って説明していきます。

本にアンダーラインを引く

ここは難しく考えず、自分が「面白い」「ためになる」と思った箇所に線を引いていくのでOKです。本を汚したくない、と考えている方もいるかもしれません。しかしぼくも、山口さんの「(本は)どれだけ美しく汚せるか」という主張の賛成します。

本というのは、買ってきた時点では未完成な作品であり、読者と著者の対話を通じて、さまざまな書き込みがされることで作品として完成すると考えています。

世界に1冊だけの作品を作ると考えたら、ワクワクしてきませんか?

再度、アンダーラインの箇所を中心に読み直す

最初に読んでアンダーラインを引いた箇所を中心に、再びその本を読み直します。その際に、「やはり重要だ・面白い」と思う箇所には付箋を貼っていきましょう!

付箋は100円で売っているものでじゅうぶんきれいに貼れるので、惜しまず貼っていきましょう。

転記する

3度目に付箋の箇所を中心に読んで、後々参照にしそうだな、なんか自分の中に残しておきたいな、というものを厳選して、読書ノートに転記しましょう。

この転記に時間をかけすぎると、読書そのものが億劫になる可能性があるので、かける時間は最大でも10分にしましょう。1箇所1分と考えて、最大9箇所ほどでしょうか。自分がわかれば、本文をそのままの形で転記する必要はありません。

以上が本書『独学の技法』の最重要ポイントである、「戦略、インプット、抽象化・構造化、ストック」の4段階ステップでした。

今後読書で自分を成長させよう、と思う人は、このステップを守れば効率が上がるはずです。

特に、これだけは絶対に真似したいというポイントはやはり③の抽象化・構造化および④ストックでしょうか。

明日からはじめよう!

『読書の技法』から学ぶべき、明日からはじめたい行動内容は、

読書ノートを作成する

です。

とにかく「自分に刺さったポイント」を抜き出し、「なぜ刺さったのか・面白いと思ったのか」さらには「他のことに関連づけるとしたら?」ということを言語化していきましょう。

これは紙とペンすら入りません。スマホかPCを持っていれば可能です。もちろんアナログ派の方はノートに書き込むといいでしょう。

▶︎エバーノートをまだ持ってない方は無料なのでぜひ!

読書だけでなく、講義を受けたり、映画を見たり、とにかくインプット全般で学びを増やしたい方にはおすすめの方法です。

他にも学べること

  • 自己プロデュースの方法
  • イノベーションのための読書
  • 戦闘力を高めるリベラルアーツについて
  • 教養のための厳選99冊(ジャンル別)

etc.

この記事では、『独学の技法』の最重要ポイントを抽出したつもりです。しかし、学ぶポイントが多すぎて、やはり理想的なインプットの形を身につけるためには、一度本書を読んでほしいと思っています。

山口周さんの『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』や『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』も本当にためになる本です。まさにこの時代を生き抜くために読むべき本たちです。

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