明日からはじめる『言語化力』

『言語化力』三浦崇宏

今回紹介したい本が『言語化力』です。

最近では広告業界のみならず、TwitterやNewsPicksなどでも話題のクリエイター・三浦崇宏さんが、つまり言葉のプロ中にプロが「言葉」について語った一冊です。

言葉って、誰もが使えるし、読む・話す・聞く・書くをなんとなくできているからこそ深く考える機会って、あまりないですよね。でも、三浦さんはこう言います。

言葉は原材料も資本金もいらない。あなたの心から、脳から、もしかしたら人生から生まれる、最もシンプルで、可能性に満ちた資源だ。

誰にでも使えるからこそ、言葉を鍛えた人は一つ上の景色を見れるのです。

・SNSでも特に誰が見ているわけでもないから、深く考えずに投稿する。

・会話でもなんとなく上っ面で話しているから、自分が本当は何を考えているかなんて考える必要がない。

こんな人は多いのではないでしょうか。

しかし、物事が激変し、何が起こるかわからない。自分の立場もいつ変わってしまうかわからないというこの時代に、それでいいのでしょうか。自分の頭を使って考えることなくして、今後の人生生きていけるのでしょうか。

「考える」ために必要なもの、それは「言葉」でしかありません。そんな言葉には限りない可能性があるということ、いかにその言葉を使っていけばいいのかを教えてくれるのが本書『言語化力』です。

この本がテーマにしているのは「言葉」だ。言葉の本なんて、腐るほどある。ありふれている。技術はいくらでも学べる。だけど、どうしてもぼくがあなたに伝えたかったのは、言葉の使い方一つで、人生なんて、いくらでも変えられるってことだ。

『言語化力』はどんな内容?

大手広告代理店の博報堂を経て、The Breakthrough Company GOとして独立したクリエイティブ・ディレクターの三浦崇宏さんの著書『言語化力』。「言葉の使い方一つで、人生なんて、いくらでも変えられる」ということを、著者自身の人生体験を通して伝える「言葉」に関する実践書。幼少期に家が破産し、小説家という夢に挫折して、仕事に関して世間から批判を受けるという壮絶な人生の中で、常に支えてくれていたのが「LIFE is Contents」という言葉だったといいます。

文字通り、人生に起きるあらゆる出来事は、成功も失敗も何もかもコンテンツ、すなわちネタにすることができるということだ。

仕事においてもプライベートにおいても、もっとも重要で、誰もが持つ武器、それが言葉である。「思考を言語化する」という基本段階から、「いかに言葉を強く表現するか」、「いかに人の心に届けるか」という応用までが網羅されています。人生の目的を言語化する、つまり「自分にとっての幸せとはなにか」を考えて言葉にすることができれば、ぼくたちも変わることができるということに気づかせてくれる一冊です。

言語化の方法

「自分の言いたいことがうまく相手に伝わらない」

「言ったことに対して自信が持てない」

「そもそも、自分にとっての幸せの意味がわからない」

そんな人は、適切なプロセスで自分の考えを言語化できていないのかもしれません。方法論を学んで、数をこなせば、そのような問題は克服できるといいます。

本書では三浦さんが、誰にでもわかる以下のような4ステップを教えてくれています。

0: スタンスを決める
1: 本質をつかむ
2: 感情を見つめる
3: 言葉を整える
一つずつ言語化する過程を見ていきましょう。

0. スタンスを決める

「スタンスを決める」と聞いても少し漠然としているなと思うかもしれませんが、要はこういうことです。

自分の社会における立ち位置と、世の中の動きに対する好き嫌いを明確にしておくくらいのイメージだ。

特に自分に関連するニュースなどに注目して、自分の立場を明確にします。たとえば、
Twitterをやっている人はSNS炎上問題を、育児をしている人は働き方改革を、その他、隣国での感染病問題など関心があるニュースはあるはずです。自分のスタンスがなかなか見えてこない場合は、幅広くニュースを見ておくといいと三浦さんは言います。
この「スタンスを決める」というステップで需要なポイントは二つです。
  • とにかく素直に考えること
  • 思いっきり好きなものに熱中する

このステップ0の「スタンスを決める」が、その後の言語化のプロセス全体の基盤となる最重要段階です。

1. 本質をつかむ

「本質をつかむ」は、いわゆる「抽象化」と言われているものです。
その問題や議論は、要はなにを言っているのか、どういう構造になっているのかを把握するということです。
ポイントは以下の通りです。
  • 固有名詞を省く
  • 時系列を無視する
  • 行為と現象と関係性だけを抜き出す (だれがだれに何をしてどうなったか、的なことです。)
そしてこの段階で最も重要な姿勢は、徹底的に客観的になるということです。ここでは自分の考えや意見はいりません。

2. 感情を見つめる

次は、ステップ1の「本質をつかむ」とは逆に、思いっきり自分に目を向けてみるという段階です。
ステップ1でつかんだ本質を、自分のスタンスと照らし合わせるのです。その上で、自分がどんな感情を持ったかを丁寧にすくい上げます。
この「感情を見つめる」ためのポイントは、自分がなぜそう思ったかを徹底的に考える、ということです。
Why?を何度も繰り返し、自分がその感情を抱いた理由を考えましょう。

3. 言葉を整える

最後のステップは「言葉を整える」です。

ステップ0~2で言語化されたものを、相手やその場の雰囲気に合わせて調整します。

ただここは、あくまで仕上げのステップであって、0~2がより重要だということです。

時間をかけるポイントは0~2でOKで、余裕があれば、相手の立場やシチュエーションに合った言葉を選ぶなどを考えればいいのです。

言語化のプロセスは理解できたでしょうか。個人的には、本書『言語化力』の最大の魅力はこの「言語化」のための4段ステップだと思っています。

上記はいずれも簡単な説明だったと思いますので、詳しくはぜひ本書を読んでみてください。このステップを癖にして、自分のものにしましょう!

明日からはじめよう!

『言語化力』から学ぶべき、明日からはじめたい行動は、

ニュースを見て、自分はどう思うかを考える

ことです。

これは上でも紹介した言語化のステップの根幹にある「スタンスを決める」ということと関連します。まずは世の中に関心を持ち、自分と関連づけて、一度冷静に「これって自分はどう思うんだろう」と考えてみることです。

「よくわからないや」でもいいと思いますし、「あれもっと調べたいな」と思うかもしれません。

いずれにしても最終的に、「自分はこれについては賛成/反対(好き/嫌い)」という立場を明確にできれば、あなたも「言語化力」が磨かれはじめている証拠なのではないでしょうか。

他にも学べること

  • 言葉の因数分解
  • 比喩力
  • 印象に残る言葉のつくり方
  • 交渉術
  • 人生を突破するヒント

etc.

本の帯にも「MBAよりも英語よりも大事なスキル」と書いてあるように、言葉にする力「言語化力」はどんなスキルにも通ずる根幹を持つ力です。どんな人生を生きていようと、「言葉」から逃げることはできません。人生を変えたい、より良くしたい、と思っている方は、まずは自分の言葉から見つめ直してみてはいかがでしょうか。