今回はスタンフォード大学の集中講義を書籍化した、ティナ・シーリグ著『20歳のときに知っておきたかったこと』をもとに、20代で起業家精神を養う方法を紹介したいと思います。
世界トップのスタートアップ企業が集まり、今や世界を席巻する企業を数多く生み出したシリコンバレーの中心に位置する名門こそがスタンフォード大学です。そのスタンフォード大学でのティナ・シーリグのプログラムは、全米の起業家育成コースのなかでもトップクラスの評価を得ているといいます。
起業家と聞くと少しハードル高く感じてしまう方もいるかもしれませんが、本書では発想の転換一つで大きく物事の見方を変えてくれるような思考法や実例が盛り込まれているので、日常の生活の中で起業家精神を養うことは大いに可能です。
本書で主張されている内容を一点に絞るなら「自分の可能性を限定するな」ということだと思います。例えば簡単な例題を問いてみましょう。
予想できる道を外れたとき、常識を疑ったとき、そしてチャンスはいくらでもあり、世界は可能性に満ちていると考えることを自分に許可したときに、飛び切り面白いことがおきるのですから。
1. 先入観を持たない
自由な発想をする起業家にとって欠かせない素養の一つが先入観を持たないということです。人間誰しもが思い込みやバイアスを持っていて、これは一定程度しかたのないことです。しかしそんな中でも先入観を排除し、違った視点で物事を見るトレーニングはできます。
著者は実際にスタンフォード大学の生徒にこのような課題を出したといいます。
②身の回りにあるモノを何でもいいから一つ適当に選ぶ
③どうすればそれを使って困っていることを解決できるかを考える
②何週間か前のパーティで余った一箱のワインケース
③ネット上で「家具を運んでくれたら、お礼にワイン一箱を差し上げます」と投稿

2. 常識を破る
20代にとって起業家精神を養うのに重要なポイントが、常識を破るです。「1. 先入観を持たない」とも関連する部分ですが、常識に捉われない思考を育む必要があります。
常識はわたしたちの世界観のなかにしっかりと根づいていて、なかなか気づかないことが多いのです。ただ、粘り強くやれば、目の前の選択肢を新鮮な目で見られるようになります。
世の中で「常識」と言われているものは、誰かが決めたルールでしかありませんし、それは時代や状況によっても変わってくるものです。何か一つの凝り固まった「常識」を持つと、何事も「常識だから」という言葉で終わってしまいます。これは思考停止にほかなりません。
ここでも常識を破るのに最適な訓練方法があります。
3. 自分で可能性を広げる
わたしたちは、自分で自分の監獄を作っているのです。互いにルールを課し、決まった役割を押しつけています。限りない可能性に満ちているのに、そこに踏み出そうとはしません。
20代のうちに自分の可能性を限定せず、できるだけ広げておくというのも最重要ポイントの一つです。しかし自分の可能性を狭めるのはいつだって自分であり、その自分にはめる枠というのはずっと強制力の強いものだと著者はいいます。
限界を作らないための具体的な訓練としては、このような方法があります。
②最高の案はシュレッダーにかける(捨てる)
③最悪の案を練り直して最高の案にする
一見、バカげていたり、愚かしく思えたりするアイデアにも、少なくとも一粒の実現可能性があることを示しているからです。
4. 失敗リストを作成する
できるだけ多く失敗し、その経験から多くを学ぶことが20代にできる特権です。
著者は実際にスタンフォード大学でも生徒に、失敗リストを作成するよう義務づけていると言います。自分が遂げてきた成功を洗い出すことは一般的にやられていることかと思います。しかし失敗にも目を向けようというのです。
・その経験から学んだことも書く
もし失敗したとしても、重要なのはそこからいかに早く立ち直り、そこからどのような行動を起こすのかです。大きな失敗から見事復活を遂げたことで有名なのが、Appleの創業者・スティーブ・ジョブズでしょう。
Apple最高の作品マッキントッシュを発表した一年後に創業者であるジョブズはクビになってしまいました。しかしクビになったことで、より自由によりクリエイティブになったといいます。そうしてピクサーという今や世界トップのアニメーション・スタジオとして知られる会社を興し、この時期に結婚もしました。最終的にはピクサーとともにジョブズはAppleに復帰することができました。
5. 情熱xスキルx市場
成功の秘訣は情熱であり、20代のような若さではその情熱も武器になります。しかし情熱だけでは足りないと著者は言います。
情熱は出発点に過ぎません。自分の能力と、それに対する周りの評価を知っておくことも必要です。とても好きだけれど、必ずしも得意ではないことを仕事にしようとすると、悩みが深くなります。
つまり成功するためには、これが好きだという「情熱」と人より得意な「スキル」とそれを必要としてくれる「市場」をセットで考える必要があります。
そうは言ってもやはり自分の好きなことというのは、何かを始めるきっかけになりますし、問題に直面したときにも大きな原動力になります。
ここで重要なのは、「好き」と「得意」は区別して考えなければなりません。まずは自分の好きなことを見つけることがスタートと言えます。
「市場」に関しては、どんどんハードルが低くなってきているように思えます。一見ニーズがなさそうなニッチな分野でも、一定数のファンは必ずいます。そこで情熱や圧倒的なスキルや知識をもって続けていれば、「なんだかあれ面白そうだな」と人やお金が集まってくることも珍しくありません。グローバル化する社会では、市場は日本の1億ちょっとだけでなく、世界の70億以上もの人をターゲットにすることができます。
そのような時代では、なおさら自分の「好き」「情熱」に目を向ける重要性は高くなるはずです。

いかがでしたでしょうか。何かに挑戦したい、大きなことを成し遂げたい、社会のために貢献したいというようなことを考えている方にとっては必須となる起業家精神を養うきっかけとなれば嬉しいです!
まずは「先入観を持たない」「常識を破る」ための訓練から始めてみましょう。必ずあなたの視野を広げるのに役立つはずです。
本書『20歳のときに知っておきたかったこと』では豊富な実例とともに、起業家にとって大切なマインドセットの本質が学べます。この記事を読んでいいなと思った方は、ぜひお手にとってみてください。
それでは楽しい読書ライフを!
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