今や最も知られる起業家であり、作家・TVコメンテーター・オンラインサロン主催者などとしての顔も持つ前田裕二さんについて、掘り下げていきましょう。
現在、前田裕二さんの著作は三冊出版されています。自身の半生記やビジネスについてまとめた『人生の勝算』、前田さんの代名詞であるメモ術とそのメモを活用した自己分析に焦点を当てた『メモの魔力』。この二冊は幻冬舎の箕輪厚介さん編集のもと、生まれた本です。
三冊目の『ギフトのあけ方』は、SHOWROOMとニッポン放送がコラボしたラジオ番組『オールナイトニッポン』にて実現した、前田さん24時間密着企画から生まれました。「プロデュースの民主化」をテーマに前田さんが7人の著名人と対談し、その内容を24時間番組の中で一冊の本になった『ギフトのあけ方』。
ここでは、前田さんに興味を持ったり、まだ三冊全て読んでいないという人のために、前田さんの全三冊の本について、どんな内容なのか、特に学ぶべきポイントはどこなのか、どんな人におすすめかということを紹介していきたいと思います!
前田裕二さんとは?
ライブストリーミングサービスを運営するSHOWROOM株式会社の代表を務める前田裕二さんは、本業だけでなく、著作活動やTVコメンテーター、オンラインサロン運営を行うなど多分野で活躍する起業家です。
経歴をWikipedia的にまとめると、
1987年生まれ。幼い頃に両親を失い、兄と二人で親戚に引き取られれる。生活のため路上で弾き語りをはじめる。2010年に早稲田大学に入学し、新卒で外資系投資銀行のUBS証券に入社する。その後ニューヨーク支店に移る。
2013年に、就職活動中に縁があった株式会社DeNA創業者の南場智子の助言もあり、同社内でSHOWROOMを立ち上げる。2015年に前田裕二自身が代表取締役社長に就き、SHOWROOM株式会社を設立。
一方で、前田裕二という人間についてぼくの主観で語るなら、
とにかく他人への思いやり力が強い方です。
前田さんは幼い頃に両親を失くすなどの人生の逆境・コンプレックスを圧倒的な熱量に変えてここまで生きてきたと言います。しかし、同じようにコンプレックスがある人に向けても、そのマイナスをプラスに変えていこうと発信し続けてきました。
こんな逸話を前田さんから聞いたことがあります。
ある日前田さんはカフェで、「コンプレックスがないのですが、何を原動力として生きていくべきでしょうか」という相談を、見も知らない青年から受けました。
前田さんと言えば、睡眠時間が極端に少ないほど忙しい(三時間とかはざらだと言います)ことで有名ですが、そのときおそらく眠気を覚ますために立って作業をしていたのでしょう。
そんな人が全くの他人からの相談を「ちょっと今はごめんなさい」と断ると思いきや、数時間一緒になって考えてあげたのだといいます。
この他人への思いやりは、日頃のコメントから本の内容までいたるところで感じることができます。もはやぼくたち不特定多数の人間についても他人とは思えないほどです。
だからこそぼくたちは、前田さんが本で語る内容には100%の信頼をもって向き合うことができます。信じて実行してみようという気持ちになります。
箕輪さんが編集長を務めるNewspicks Bookレーベルにて、前田さんの第一冊目の本『人生の勝算』が2017年に出版され、同時期くらいにNewspicksにて、前田さんのメモ術に触れた記事が公開されました。
この二つをきっかけに、ぼくは前田さんの考え方に深く共感し、以来ずっと前田さんの発信(本、インタビュー、トークイベント、TV出演など)をできる限り追いかけてきました。
そうです。何を隠そう前田さんのファンなのです。
そんな前田さんファンことぼくが、「前田裕二 全著作ガイド」として三冊の本について紹介させていただきます(前置きがなが〜い!)。
前田裕二さんの本を全てご紹介
1. 人生の勝算
2017年に出版された、前田さんの処女作『人生の勝算』は、前田さんの半生や今後SHOWROOMで実現していきたいことなど前田さんの思考の原点が語られています。小学生にして路上での弾き語りでお金を稼がなければならなかった背景や、そのような苦境を乗り越えてきた経緯からは誰しも学ぶものがあるはずです。
箕輪さんが企画から編集まで手がけてきたNewsPicks Bookでは、前田さんをはじめ、ホリエモンや落合陽一さんなど今最もホットな人、現役の起業家をつかまえては本を作ってきました。『人生の勝算』は、NewsPicks Bookの初期の方にあたる出版物ですが、当時箕輪さん編集で一ヶ月に一冊ペースで本が出版されていました。圧倒的スピードですよね。しかも著者は多忙を極める人々。前田さんも例外ではなく、『人生の勝算』は期日ギリギリになって執筆を加速させ、3日半で完成させたと聞きました。
そんな前田さんがこの本を書いた理由は、「今、不幸や苦境に直面していたり、自分から見える景色が真っ暗だ、という人に、ほんの少しでも頑張る勇気を持ってもらいたかったから」と話します。
「運命だからしょうがない」と諦めるのではなく、そのどうしようもない状況を、後天的な努力で乗り越えられること。「他者への想像力」を働かせ、思いやりを持つ大切さ。人生の「コンパス」を持ち、自分のビジョンを明確にして生きていくこと。
そんなことを前田さん自身の経験から語ってくれる本です。
今の状況にくじけそう…
現状の自分の生き方に自身が持てない…
単純に前田裕二という人間に興味がある…
そんな人にこそおすすめな一冊です。
文庫版も出て、より手頃に購入できるようになりました。しかも文庫版には箕輪さんの解説が入っているので、もとから単行本で読んだ人も必見です。ちょっと感動してしまう解説です。
本書は『人生の勝算』は、SHOWROOM代表の前田裕二さんの処女作。 今や大ヒットの『メモの魔力』やテレビなどでもお馴染みになりつつある前田さんですが、2017年に発売された『人生の勝算』の文庫が新たに刊行されたので再読しました。 […]
2. メモの魔力
前田さんを一躍有名にした本が2018年に出版された『メモの魔力』でしょう。すでに50万部を売り上げ、前田さんが目標とする100万部まで早くも半分となりました。
ぼくが前田さんを知るきっかけになったのは箕輪さんに興味を持ったことであり、その箕輪さん編集で『人生の勝算』に続いて再び本を出すというのを聞いて、ぼくはいてもたってもいられなくなりました。それが2018年の12月です。まさにぼくにとって最高のクリスマスプレゼントでした!
本の内容はといえば、前田さんオリジナルのメモ術とそれに伴う思考法や人生の変え方についてです。簡単に言ってますが、内容は濃厚で、相応の努力も必要です。しかし、その努力は苦しいものではありません。むしろ「好きなこと」「やりたいこと」の方向へ努力をするためのメモ術なのです。
前田さんは人生を通してメモをし続けてきました。そのメモの習慣は人に言うことさえはばかられる、コンプレックスのようなものだったと語ります。ニューヨークで働いていた頃の生々しいメモがこちらです。
https://twitter.com/bobisummer0/status/1200720554585542657
最近ちらほら思考系のビジネス書などで「抽象化」という言葉を聞くようになってきたな〜と感じますが、その発端はこの前田さんの『メモの魔力』にあるといって差し支えないでしょう。
ファクト→抽象化→転用という前田流メモの取り方がわかりやすく解説されています。一般的な記録としてのメモではなく、そこからなにかを生み出し自分の人生に活かしていこうという全く新しい形のメモです。
さらに自分のやりたいことが明確じゃないというひとへ、後半は自己分析について書かれています。今後やりたいこと好きなことを仕事にすべきということが自明な今の世の中で、自分を知るということは意外とできていない人が多いと思いますが、いまほど重要な時代はないでしょう。
自身も就職活動中に約30冊分の自己分析をやり抜いたと語る前田さんが、そのときの経験も交えて1000問の質問リストを作成しました。その質問だけでも本書の約1,500円の価値があると思ってしまいます。
アイデアを生み出したい…
日々を何気なく過ごしてしまっている…
やりたいことが見つからない…
自分を変えたい…
そのような漠然とした思いがある方から、具体的な悩みがある方まで本当に万人にすすめたい本です。
『メモの魔力』の内容は非常にわかりやすいものですが、実践してこそ価値がある本でもあります。やってみて少し難しいなと感じることもあるかもしれないので、以下を参考にしてください!
今話題で、2019年もっとも読まれたビジネス書である『メモの魔力』。いったい何がすごくてそんなに売れているのでしょう? ここでは、その『メモの魔力』のすごさ、紹介されているメモ術、著者の前田裕二さんについて、超カンタンに紹介していきた[…]
3. ギフトのあけ方
「前田裕二さんに興味がある」「『メモの魔力』を読んだ」という方の中でも、この三冊目の存在を知らない方はいるのではないでしょうか?
それもそのはず、この2019年出版の『ギフトのあけ方』は現在普通には購入できません。Amazonや普通の書店で見ることもありません。
内容は「自分をいかにプロデュースしていくか」というテーマで、前田さんと以下の7人の名だたる人物が対談する形式になっています。
- 中田敦彦 (オリエンタルラジオ)
- 鬼龍院翔 (ゴールデンボンバー)
- 松村沙友理 (乃木坂46)
- 西野亮廣 (キングコング)
- ゆうこす (モテクリエイター)
- 蜷川実花 (写真家)
- 檜原麻希 (ニッポン放送 社長)
前田さんは現状をこのように捉えています。
多くの人間は自分の持っている力の、20%ほどしか発揮できていません。それを100%発揮できるようになるためのスキルが「プロデュース」だと思っています。
SNSなどで誰でも発信できるこの時代。1億総クリエイター時代とも言われていますが、そんなプロでもない自分が、どうすれば「自分が好きなことで、人に刺さるブランディングをする」ことができるでしょうか。
そのプロデュース力こそが今後を生きていく上で重要だと語ります。
自分が好きなことを発信することは重要ですが、誰にも見向きもされない自己満足で終わるコンテンツでいいのでしょうか。逆に、ニーズはたくさんあるけど、自分は一切興味がないことをやり続けるのも辛いものがあります。
本書ではこれをコア(自分の好きなことややりたいこと)と市場(求められているもの、ビジネスになりそうなもの)と表現しますが、どのようなバランスで自分をプロデュースしていけばよいかについて多様な意見が交換されています。
今後自分でなにかを発信していきたい、と考えている方には必読の一冊です。
『ギフトのあけ方』、内容が気になっていた方はこちらをどうぞ!
誰にでもあるギフト (才能)。これに気づけていない人は、本来の20~30%くらいの力しか発揮できていないかもしれません。 自分をプロディースするように、いかに自分のやりたいことを見つけ、市場に売っていくか。 今後はそんな生き方が[…]
前田さんがおすすめする本
また、前田さんは一日一冊ペースで本を読む読書家としても知られており、いくつかの本をおすすめしています。前田さんの著作を全て読んでしまった人は、おすすめの本もチェックです!
個人的なおすすめは『7つの習慣』です!前田さんも新卒時代に上司からおすすめされたと言いますが、この本を読んでいると、前田さんはなんでこんなにも愛されている人物なのかがわかります。
◎なんか最近本読む意欲が低下してきたな〜 ◉読書の方向性がわかってないじゃ? ★読む本や方向性に迷ってるなら、とりあえず目標とすべき人の真似をしよう!尊敬する人で本をたくさん読んでそうな人か〜。誰かな〜。いた! 前田裕二さん一択で[…]
いかがでしたでしょうか。前田さんに興味がある人はもちろんですが、ビジネスの世界に興味がある、変化がめまぐるしいこの時代で生き抜くヒントが欲しい、などという思いがあれば三冊とも魅力的に思えるはずです。
また、前田さんの四冊目の書籍として、小さな子どもでも理解できるように『メモの魔力』を再編し、ダイソーにて100円で販売するという計画が走り出しています。←追記:コロナの影響もあって、現在計画の進行は止まっている模様です。
代わりにダイソーで前田裕二の日めくり名言カレンダーが発売されました!100円なんてお得すぎますよね。
引き続き前田さんの次回作には期待したいです!
それでは楽しい読書ライフを!