前田裕二はいかに形成されたか。人生の勝算 待望の文庫化!

前田裕二 人生の勝算

本書は『人生の勝算』は、SHOWROOM代表の前田裕二さんの処女作。

今や大ヒットの『メモの魔力』やテレビなどでもお馴染みになりつつある前田さんですが、2017年に発売された『人生の勝算』の文庫が新たに刊行されたので再読しました。

本書では前田さんの壮絶なる半生や、圧倒的な熱量を持った人柄さらには今後のビジネスアイデアのヒントが散りばめられています。

運命に負けない努力

8歳のときに両親を失くし、小学生ながらにして路上での弾き語りでお金を稼いでいた前田さん。どうしたら人は足を止めて演奏を見てくれるのか、お金を払ってくれるのかという仮説と検証を小学生から行なっていたと言います。

しかしそういった苦境を前田さんは努力により乗り越えてきました。

投資銀行に入社した後も、朝4時半~5時出社をしたり新卒時代は睡眠時間が2~3時間だったりと圧倒的な努力と熱意で運命に抗ってきたのです。

そうした努力は、運命によって自分の人生が決められてしまうのは許せないという強い意志から生まれるものでもあります。

しかしどうしてそんなに頑張れるのかという問いに答えてくれるようなヒントを、前田さんは示してくれています。

モチベーションで万事が解決するわけではありませんが、超高速で力強く走り、目的を達成するのに、まずはそのための燃料が必要です。

さて、ではモチベーションを生むためには何が必要か?

もちろん自分の内面にある価値観に突き動かされるというものもあります(お金を稼ぐぞ、家族を養わなきゃ、など)。

しかし誰にも共通する答えの一つが「見極め」です。

例えば宝の山が眠る鉱山を掘って、宝石を探り当てるレースをします。

ここでいち早く掘り始め、腕力を生かしてガツガツ掘り進めれば、たしかに仕事をしてる感じはすごくします。

しかし途中で「もしかしたらここに宝はないかもしれない」と不安になり挫折する可能性もあります。

そこでまずは、掘り始める前に、どこを掘ればいいのか、どうやって掘れば効率が良いのかなどの仮説を立てることにエネルギーを使います。

これが「見極める」ということです。

見極めたら、あとは血みどろになっても掘る。絶対に見つけるまで掘る。

自分の進む道は、現時点では少なくともこれで間違いないと信じ切れる、というところまで見極め作業を徹底すれば、モチベーションは身体から湧いてくるのだと言います。

思いやり

今でこそテレビやツイッターで見せる優しさや思いやり、本書や『メモの魔力』でも伺える寄り添ってくれる感を持つ前田さん。

その原点は、幼少期からたくさんの愛を注いでくれたというお母さんとお兄ちゃんにあるのは言うまでもないことでしょう。

しかし社会人になってからの影響というのも大きい、というのには本書を読んでびっくりしました。

前田さんに影響を与えた尊敬すべき人は、ズバリ、宇田川さんです!

仕事をする上で大事なことは「とにかく好かれること」と教えてくれたそうです。

仕事をするには知識を身につけることに注力したりしないと飛び抜けた存在になれないのでは?と考えることは普通ですよね。

宇田川さんは取引先の人はもちろん、受付の人などにも好かれていたと言います。

ではなぜそんなに人に好かれるのか。前田さんはこう言います。

宇田川さんは人に好かれる天才ですが、それ以前に、「人を好きになる天才」でした。

そうなのです!人に好かれるには自分がまずは人を好きになることが大切なのです。

その人の良いところや感謝できるポイントに目を向け、自分から本当に好きになるということです。

僕はここで注意しなくてはならないなと思っているのは、「相手から好かれること」を意識しすぎて、空気を読む人間になってしまうこともあるということです。

空気を読んで相手に合わせ気を遣う。ここに本質はないと思っています。こびへつらって同調する、お世辞しか言わない、そんな人を信用したいと思えるでしょうか?

あくまで自分の本音ベースでいいと思うのです。自分が相手に対して、本当にいいと思えるところ、感謝すべきを見つけて、相手を好きになる、ということです。

また、このように他人に目を向けることは、どんな仕事をするにも生かせることだと思います。

前田さんはこれを「他者の目を持つ」と言いますし、本書編集者の箕輪厚介さんは「他者への想像力」と言います。

上に立つ人間、チームのリーダーならなおさら同僚のことを自分以上に考えなくてはいけませんし、何かを売る際にも消費者の立場に立たなければなりません。

自分が相手のため、お客様のためだと思って言ってることは、実は自分の都合でしかないことって結構あると思います。

だからこそまずは相手の気持ちになりきって、本当は何を求めているんだろうと常に考え続けることが重要です。

人生のコンパスを持つ

前田さんがSHOWROOMを世界一のサービスにする!
恵まれない環境にいる人を、後天的な努力によって夢を叶えれるようにしたい!

という明確に叶えたい夢があり、自分のビジョンがあります。

これは幼少期の原体験からきているし、生きてきてできた夢だと思います。

しかしここで重要なのは、前田さん自身がそれをしっかり認識しているということです。

いくらいろんな経験をしていようが、恵まれた環境に身を置いていようが、自分のことを知らないとそのような経験や環境を生かし切るのは難しいと思います。

そして何より自分の進むべき道に自信を持てないでしょう。

自分を知る、ということが何よりも大切なことだと前田さんも言いますが、その手段の一つとして有効なのが自己分析です。

就活を経験された人は一度はやったことがあると思いますが、僕もそうですが、あくまでやらされた表面的な自己分析だったという認識ではないでしょうか。

前田さんがいう自己分析は、正直に、徹底的に自分と向き合い、自分の価値観を掘り出すものです。

就活の自己分析ではノート30冊分にも及ぶほど自己分析を行なったといいます。

こうして自分の進むべき道を明確にする、つまり人生のコンパスを手にすれば、人生の幸福度は増幅されるでしょう。

つまり自分の内面と必死に向き合うことで、「人生の勝算」という宝物を得るのです。

この自己分析については『メモの魔力』でここぞとまでに語ってくれています。自己分析1000問の問いが付いていて、具体的なやり方ものっています。僕はまだ現時点では100問程度ですが、絶対に1000問やりきります。

▶︎メモの魔力 名言集 -前田裕二100の言葉- #1~50

▶︎メモの魔力 名言集 -前田裕二100の言葉- #51~100

とにかく前田裕二という異質な人間のストーリーや、人生における有益なヒントを噛み締められる一冊です。文庫本は常にポケット入れられるくらいの大きさなので、前田裕二さんが気になる人、久しぶりに読みたい人にはおすすめです!

また解説に箕輪厚介さんの文章も掲載されていて、グッとくるような内容になっています。そちらも是非チェックしてください!

それでは!

▽前田さんの他2冊もどうぞ!▽

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