ここでは、ぼくが独学でTOEICの点数を705点から885点に伸ばすのに役立った参考書とその使い方について紹介していきます。
点数的には中級者向けになると思います。
TOEICは独学で十分にスコアアップを目指せるテストです。留学もスクールも必要なく、本で勉強するのがもっとも効率的だというのがぼくの立場です。
そのためには参考書の選択がとても重要になってきます。売れているTOEIC学習書に大きなハズレはあまりないでしょう。しかし、実際に使って点数が伸びたという実績から、間違いない参考書を紹介したいと思います。
そしてそれらの参考書をどう使って勉強したかという勉強法も簡単に解説していきます。ぼくがこのTOEIC学習で感じたのは、スコアを伸ばすのみならず、使える英語力も鍛えられるということです。
これから力を入れて英語学習を始めたい方、TOEICの点数に伸び悩む方の参考になれば幸いです。
*TOEICは2016年5月に「新形式」へと変更され、問題構成や内容はやや変わったので、問題集や参考書を選ぶ際には、2016年6月以降に出版された「新形式」対応のものを選びましょう。
TOEIC705点から885点に伸ばした経緯
TOEICで705点をとったのは、大学受験が終わり、大学入学後も趣味程度に英語学習を続けていたおかげでした。つまり大学受験の英語レベルと、参考書2~3冊を使ってのTOEIC対策で600~700点台は目指せるという印象です。
ぼくは受験勉強でも英語には力を入れていましたが、最低限の語彙力と基礎的な文法が鍵になると思います。
その後就職活動に向けて、あらためてTOEIC受験を決意し、約1年ほどまったり英語学習を続け、885点を獲得しました。その際には参考書をたくさん買っては挫折し、また新しいものに挑んでは捨てて、ということを繰り返していました。その中でも、何度でも読み返して使った良書を厳選して紹介します。
おすすめのTOEIC参考書と学習法
0. 辞書:英辞郎
まずスタートとして、英語学習に欠かせないのはすぐに検索できる英語辞書です。紙の辞書が使い慣れている方はそれでもいいと思いますが、ぼくのおすすめはオンラインの「英辞郎」です。「英辞郎」は外国語学習に特化した会社「アルク」が無料で提供するオンライン英語辞書です。
PCからでもスマホからでもすぐに使えるようブックマークしておきましょう。英辞郎は単語を覚えるために使うというよりは、わからない単語の意味を即時的に理解するために活用していました。例文も出てくるので言葉のニュアンスまで理解できるのは英語学習者の大きな助けとなります。
英辞郎はこちら>>https://eow.alc.co.jp/
1. 単語帳:キクタン
あらゆる英語力の基礎である語彙力を鍛えるためには、単語帳を1冊は使い倒しましょう。「リーディングの速度がなかなか上がらない」「リスニングで聞き取れるけど意味が入ってこない」などの悩みは、語彙力が足りないことが原因である場合が多々あります。
基本的に単語帳は自分が気に入ったものならどれでもいいと思いますが、それでもいくつか良書の条件があります。まずは自分のレベルに合っていること。そして1つの単語について、類義語・対義語などの関連語が掲載され、さらにはどのように使うかという例文まで付いていることが最低条件でしょう。リスニングに活かすために発音記号も掲載されているのが好ましいです。
これら全てを踏まえて、上記の「英辞郎」でも紹介したアルクの「キクタン」シリーズがおすすめです。キクタンはTOEICなら800点を目指す人へ、990点を目指す人へというように、レベル別に単語帳を用意してくれています。
ぼくは単語のチョイスが実用的で今後も活かせると思ったので、英検準1級用を使っていました。キクタン英検準1級用は、TOEIC換算では730点に相当するそうですが、ではMAX730点までしかとれないのかというとそうではありません。現にぼくが885点をとったのが証拠です。
英検1級やTOEIC990用を使うと、テスト対策としてどうしても難しすぎる単語が入ってきてしまいます。難易度の高い単語の習得に時間を費やすよりは、より頻出の単語学習に時間を割いた方が好ましいので、TOEIC800や英検準1級用を使うのがおすすめです(もちろん本気で満点を目指すならTOEIC990など使ってもよいでしょう)。
では単語帳の使い方はどうすればよいでしょう。基本は繰り返し読む、これに尽きます。1度で見るだけでその単語を長期記憶として定着させるのは難しいので、3日後に2回目、1週間後に3回目、1ヶ月後に4回目というように、期間を伸ばしながら繰り返し覚えていくと効果的です。コツとしては1回目は目に触れるくらいでいいので、多くの量に目を通すことです。
また関連語も結びつけて覚えることで、より多くの単語をより深く学習することができます。例えば「キクタン」では、「estimate」という単語がざっくり以下のように紹介されています。
【名詞】→見積もり、概算(類義語としてapproximation)
【動詞】→〜を見積もる、〜を評価する
【関連語】→名詞形「estimation」形容詞形「estimated」
これら基本的な単語の意味や類義語などを学ぶのがフェーズ1です。さらにフェーズ2では用法を、フェーズ3では例文が併記されているので、繰り返し学習には最適です。
また「キクタン」というくらいなので、耳から効果的に学べる仕様にもなっています。聴きながら単語を見たり、スキマ時間に聴いたりしてもよいでしょう。
ちなみにこれらのキクタンシリーズの一部は、電子書籍のKindleだとKindle Unlimited読み放題の対象なので無料で読めます。ぼくは紙の単語帳を強くおすすめしますが、Kindleに慣れていたり、試し読みしたい方はぜひ気軽にダウンロードしてみてはいかがでしょうか。
2. 熟語帳:キクジュク
あまり使っている人はいないかもしれませんが、単語帳と並行しておすすめしたいのが熟語帳です。単語帳の「キクタン」にも最重要熟語は掲載されていますが、ぼくは熟語が特に苦手だったので、熟語帳も使っていました。
「熟語って簡単な単語が集まっているだけなのに、意味がわからなくて問題が解けない」となるのがすごく悔しくて熟語帳の「キクジュク」を使って勉強しました。「キクジュク」は上述の「キクタン」の熟語バージョンです。レベルはBasic1800とSuper3600がありますが、まずはBasic1800で十分でしょう。
「キクジュク」では熟語がランダムに掲載されているのではなく、単語ごとに整理されています。例えば「go」を基準に、「go through A」「go out」「go into A」などが並べられています。そして複数の意味がある場合は網羅的に解説され、用法や例文も併記されています。もちろん音声での学習も可能です。
熟語の学習では単語の語源をしっかり理解しておくことが助けとなります(特に前置詞)。なかなか覚えられないという方は、前置詞に特化した参考書や単語の語源についての本を読むとよいでしょう。
3. TOEIC公式問題集
「TOEIC公式問題集」シリーズはTOEIC学習には必須ツールです。現時点での最新版は「公式TOEIC Listening & Reading 問題集 7」というものです。
TOEIC学習において最も重要なのが、実践です。TOEICが公式で出している問題集なので、問題の質は間違いありません。TOEICの受験料は6,490円ですが、この公式TOEIC Listening & Reading 問題集では、2回分収録されていて3,300円なので、勉強のためを考えるとはるかにリーズナブルです。
TOEICは問題の形式や各パートの問題数が決まっているので、ある程度の対策を立てることができます。リスニングなら先読みという質問や選択肢をスキマ時間に読み進めることがコツですし、リーディングは解き終えるのが難しいほどの量が用意されているので時間配分を明確にしておく必要があります。これら本番で使うテクニックを鍛えられるのが問題集の強みです。
またTOEIC問題集を解く上で気をつけなければならない点が、わからない問題をそのまま放置しないことです。練習の段階から制限時間内に解くことは大切ですが、すべての問題をしっかり理解することも重要です。なので練習のときにはわからない問題は、あとで見直しできるようにチェックをして飛ばしましょう。ここでテキトーにマークして正解してしまうと、わからなかった問題が復習の対象から外れてしまうので注意。もちろん本番では少しでも点数アップを目指すために、わからなくても選択肢のいずれかにマークはしましょう。
模試をたくさんの量こなすことはもちろん重要ですが、同じ問題を繰り返すことも同じくらい重要です。公式問題集の解答には解説もあるので、それを読み込み、リスニングなら聞いて理解できるまで、リーディングなら読んで理解できるまで繰り返しましょう。
この「わかるまで繰り返す」ことがTOEICのスコアアップ、ひいては本当の英語力にもつながります。
4. TOEIC(R) L&Rテスト YBM超実戦模試リスニング1000問 / TOEIC(R) L&Rテスト YBM超実戦模試リーディング1000問
「TOEIC(R) L&Rテスト YBM超実戦模試」は問題集形式の参考書です。リスニングとリーディングに分かれて2冊になっていて、10回分で各3,740円、2冊合わせても7,480円です。上述の公式問題集では、テスト2回分(計400問)で3,300円なので、10回分(計2000問)テストしようとすると、3,300円×5=16,500円かかってしまいます。
韓国TOEIC運営企業YBM社が30年間のノウハウで頻出形式を徹底的に分析して作られた高品質の問題で構成されています。この量と質にこだわる点が、平均点が日本を100点上回るTOEIC先進国の韓国らしいですね。
問題をこなしていくとわかりますが、問題はもちろん公式と変わりありません。何度も解きましたが、点数も本番や公式問題集を解いたときと大差ないので、しっかり難易度も同レベルに設定されています。
YBM超実戦模試の学習法も、上述の公式問題集と同様、「とにかく繰り返す」「わからない箇所を無視しない」ことに尽きます。ここで出てきたわからない単語も覚えましょう。計2000問もあるので、この問題集だけでわからない単語はかなりの数見つけることができます。意味がわからなかった単語のリストを作って、自分なりのもう1冊の単語帳を作るのもよいでしょう。
5. 2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト900点!
問題集とは別に、TOEIC専用の参考書をいくつか勉強することをおすすめします。大量の問題数など含めTOEICには特徴があり、ある程度英語ができる人でも、対策なしに受けると実力通りの点数が取れるとは限りません。
TOEIC対策の学習書では、盲点や間違いやすいポイントなどに焦点を当ててるものが多く、リスニングの「先読み」やリーディングの時間配分などについてのテクニックも教えてくれます。
参考書を選ぶポイントは自分のレベルに合わせることで、TOEICの目標スコアが明記してある本もたくさんあります。ぼくの場合は700点前後の実力でしたが、900点用の参考書を使っていました。少しだけ背伸びをして、食らいついていく方が学習効率が良いと感じたからです。
ぼくは出版社でいうと、アルクの質はある程度担保されていると思っているので「2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト900点!」がおすすめです。より短期集中型の「3週間で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト900点!」もあります。
同じシリーズで730点を基準にしたものもあるので、自分の目指すスコアに応じて選びましょう。
何度も言うようですが、TOEIC対策の参考書も、わかるまで繰り返すことが真の実力アップにつながります。解説やポイントをしっかり読み込み、テクニックも含め自分のものにしましょう。
6. 英語リスニングのお医者さん 集中治療編
ここまで紹介してきた、単語帳・熟語帳・問題集・TOEIC対策参考書をしっかり勉強しておけば十分でしょう。それでも自分の弱点を補うという意味で、補足的に紹介したいのが「英語リスニングのお医者さん 集中治療編」です。
これはぼくがリスニングが特に苦手だと感じたため、とにかくリスニング関連の学習書を読み漁って、ついに見つけた良書です。何十回も繰り返し聴き、シャドーイングなども行いました。
本書のポイントは、リスニングができない原因を「短縮」「連結」「脱落」「同化」「弱形」「変形」の6パターンに分けて、徹底的に対策する点にあります。単語や文法を覚えても英語が聞き取れない原因は、だいたいこの中のいずれかにあります。今でこそ英語学習の常識とも言えるこれらの6要因ですが、知らない人にとっては目から鱗の発見でしょう。
リスニングに苦手意識を持っている方はぜひ読んでみてほしい一冊です。
最後に
TOEICは実践に即した会話やメールなどを使うため、生きた英語力を身につけることができます。そのTOEIC対策は、使える英語力の向上にもつながります。「点数だけのTOEICに意味はない」ととらえる人もいますが、実際に勉強してきた立場から言わせてもらうと、TOEIC学習に意味はあります。
点数だけにこだわる必要はないと思いますが、学習プロセスの中で身についた単語やリスニング・リーディング能力、そして触れた膨大な英語量は、自分のかけがえのない財産になります。
受験や就活などで早急にスコアアップをしなければならない、というような場合でない限り、楽しく少しずつ実力を身につけるための英語学習を心がけたいものですね。
▽TOEICに限らず英語中級者向けに最適な英語学習書を単語・リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの各セクションごとに紹介したまとめもぜひ参考に!▽
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