ストレスや悩みをなくす4つのメンタルトレーニング 【反応しない練習】

反応しない練習

「小さなことでイライラやストレスを感じてしまう…」

「今の状況になんとなく満足できない…」

「職場の人間関係に悩んでいる…」

「漠然と将来が不安…」

そんなストレスや悩みは誰にでもあると思います。
しかしそんなとき、あなたはどのように対処しようとするでしょうか。
どうすればそんな悩みをなくすことができるのでしょうか。

「相手が悪いんだ」「自分の周りの環境のせいだ」とそのストレスや悩みの原因を自分の外に向けたり、コミュニケーションの取り方に気をつけたり、誰かがやっていることをマネしてみたりと表面上のテクニックで乗り切ろうとすることもあるかもしれません。

また、悩みを根本から解決するべきなのはわかっているんだけどそれには時間がかかるだろうなと、結局身動きがとれない人もいるのではないでしょうか。

ここでは『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』という本を通して、自分の内側に目を向ける重要性を学んでいきたいと思います。
実際にどのような順序で悩みを解決すればよいかという方法を紹介していきます。

『反応しない練習』はどんな内容?

本書『反応しない練習』は「正しく考えることで、どんな悩みも必ず解消できる」というテーマをもとに、あらゆる悩みの発端である「心の反応」に焦点を当てます。悩みの解消方法を、2500年以上も前の最も古い教えである原始仏教つまりブッダの考え方に学ぶことができます。

悩みを適切に理解する方法、感情をコントロールする方法、対人関係のストレスを軽減させる方法、他人の目を気にしないコツ、人生の大きな心構えなど、時代を超えても色褪せない教えを現代に応用して紹介してくれる一冊です。

悩みをなくす方法

日曜日の夜に「明日仕事か〜」と気を落とす。これは心を憂鬱にさせる反応です。
ちょっとした相手の言葉や態度にイラっとする。これは怒りを生む反応です。

人は悩みに直面したときに、つい反応して「闘おう」としてしまいます。不愉快な相手、ままならない現実に真っ向から向き合って、反応して、なんとか変えてみせよう、打ち勝ってみせようと、もがあき、あがきます。

つまり「心はいつも反応している」と本書は言います。
そして、この「反応」こそが悩みのはじまりです

では、ストレスや悩みをなくすにはどうすればよいかというと、そのはじまりである「反応」をやめることです。

ここで勘違いが起きがちですが、反応をやめるというのは、無理して我慢することや自分の感情を無視することでありません。
あくまで無駄な反応を最初からしないこと、負の感情を抱いたら素早くリセットすることを指します。

ぼくたちは生活の中で何度の「反応」をしてしまっています。そんな反応をやめることは簡単ではないでしょう。
ここではどのように「反応しない」を実践するかの方法を「メンタルトレーニング」として紹介していきます。
トレーニングとはいっても、けっして難しいものでも大変なものでもありません。

メンタルトレーニング1: 心の反応に気づく

ストレスや悩みをなくすためのメンタルトレーニングその1は、心がどのように反応しているかに気づくことです
いきなり反応をやめろと言われても、自然にしてきたことなので無理があるでしょう。

まずは心の反応に目を向けます。

なぜ反応をしたのか。なぜ不満や物足りなさを抱くのか。

その原因は人間の根幹にある「求める心」なのだといいます。そしてそれは七つの欲求に分けられるというのです。

  1. 生存欲 (生きたい)
  2. 睡眠欲 (眠りたい)
  3. 食欲 (食べたい)
  4. 性欲 (交わりたい)
  5. 怠惰欲 (ラクをしたい)
  6. 快楽欲 (音やビジュアルなど感覚の快楽を味わいたい)
  7. 承認欲 (認められたい)

この欲が満たされることもありますが、満たされない場合に不満となってストレスや悩みにつながるのです。

たとえば、
上司に怒られたときに、「自分自身まで否定された気分だ。でもこれって認められたいという承認欲が満たされなかったことで起きた反応なんだ」ということに気づくことがまずは重要なステップなのです。

メンタルトレーニング2: 心の状態を言葉で確認する

メンタルトレーニング1でも述べたように、自分の内面を正しく理解することがなにより重要です。
なんとなく心の反応に気づくことができたら、次のステップはもう少し詳しく言葉にしてみることです

人前で話すときに緊張していたら、「わたしは緊張している」と確認します。
満員電車で周りの人にイライラしていたら、「イライラしているな」とあえて言葉にしてみます。

このように心の状態にぺたりと「名前」を貼ることを、ラベリングと読んだりもします。

このラベリングを、普段の日常にも取り入れることが効果的だといいます。
通勤で駅に向かって歩いているときに、「わたしは今、歩いている」などのようにです。

そんなことあえて言葉にする必要があるの?と思ってしまう気持ちもわかります。
しかし、心の状態を言葉で確認することで、反応から抜け出すことができ、心は落ち着きを取り戻します。

メンタルトレーニング3: 体の感覚を意識する

メンタルトレーニング2でも紹介したラベリングのように、歩いているときに「今、歩いている」と言葉にすることと似ています。
今回は、「感覚」に意識を集中させます

もっとも簡単な方法が、目を閉じて、自分の手を心の中で「見つめるように」意識します。
暗闇の中で「手の感覚」があるのを確認します。その手を意識しながら、上に挙げて、「動く感覚」を意識します。
目を閉じたまま、手を握ったり開いたりして、「握っている感覚」「開いている感覚」を「見つめます」。

聞いたことがある人もいるかと思いますが、このような方法を瞑想の世界ではマインドフルネスと呼びます。
アメリカの大手企業なども取り入れることでもわかるように、ストレスや疲れが溜まった心をリフレッシュする効果は抜群なのが、この「体の感覚を意識する」トレーニングです。

関連記事

しっかり脳を休める時間を意識的にとっていますか? 仕事で忙しく、スマホという便利ツールで「余った時間」というものがなくなってしまった現代。特に何も考えていない時間でも、脳が使うエネルギーの60~80%が消費されています。 「1日[…]

マインドフルネスのやり方

メンタルトレーニング4: 心の状態を分類する

これもメンタルトレーニング2の「言葉で確認する」作業と似ていますが、心の状態をおおざっぱに三種類に分類します

その三種類は、

  1. 貪欲(とんよく): 求めすぎ、期待しすぎな状態
  2. 怒り: 不満・不快を感じている状態 (イライラしていたり機嫌が悪いときなどですね)
  3. 妄想: 想像したり、考えたり、思い出したりと、頭の中でぼんやりと何かを考えている状態

中でも三つ目の妄想は、一日中支配している煩悩です。気づいたら(気づかないことすら多々ありますが)「あれこれ、余計なことを考えている」というのは頻繁にあることですよね。
これはしなくてもいい心配や、起こりもしない不安の原因になるものです。

こんなときは、「あっ、今自分がしているのは妄想だな」とラベリングすることが重要です。

以上、四つのメンタルトレーニングで「反応しない」練習をしましょう。

“ブッダ”とは、「正しい理解をきわめた人」という意味です。

そしてこの「正しい理解」というのは、

「ある」ものを「ある」とだけ、ありのままに、客観的に、主観抜きの”ニュートラル”な目で、物事を見すえることを意味しています。

つまり、自分の気持ちを客観的に見つめることがなによりも大切で、それが悩みやストレスを軽減もしくは、なくす方法なのです。

明日からはじめよう!

本書『反応しない練習』から学ぶべき明日からはじめたい行動内容は、

心の反応に気づく

です。上記のメンタルトレーニング1で紹介した通り、まずは「自分は反応している」ことに気づくべきです。そしてその理由を考えることが、悩みをなくすきっかけになります。

それを考えずに、表面的な問題の解決に動いても、また別の問題が起こったときにストレスや悩みを抱えてしまうでしょう。目を向けるべきは、自分の外ではなく、内側です。

ここで紹介した四つのメンタルトレーニングはすべて試して、効果は実感してみてほしい、というのがぼくの思いです。
忙しい日々の中で、そんな5分さえ確保するのは大変かもしれません。
しかし、思わぬ効用をもたらしてくれると思うのです。

悩みなくすためのトレーニング、それはどれも簡単そうに聞こえたかもしれません。「そんなことで」と思われがちですが、そんな評価は実践してみてからでも遅くないでしょう。

他にも学べること

  • 対人関係のストレスを軽減させるコツ
  • 集中力を高めるプロセス
  • 「本当の自信」のつけ方
  • 人生の足を引っ張る「五つの妨げ」

etc.

仏教に現代社会の悩みを解決する方法を学ぶ、という一見変わったユニークな本でしたが、内容は極めて合理的で実践的です。日々の悩みがなかなか解決しないな、問題は山積みだなと感じている人は、一度お手にとってみてはいかがでしょうか。