これからのコンサマトリーな生き方とは?

『ビジネスの未来』山口周

コンサマトリーな生き方について

すでに「経済性→人間性」というゲームチェンジが起きているこの世界で、これから大切になる「コンサマトリーな生き方」について解説していきます。

これまでの社会は経済を成長させることに主眼を置いてきましたが、ビジネスはすでに使命を終えようとしています。そして、新しいゲームが始まろうとしているのです。

これはぼくが衝撃を受けた一冊で主張されている内容です。コンサルティングやアートの視点から新しい問題設定を提起し続ける著述家・山口周さんの『ビジネスの未来』では、このような世界を「祝祭の高原」と表現しています。

本書『ビジネスの未来』をもとに、新しい時代の生き方働き方仕事の見つけ方「コンサマトリー」というキーワードとともに解説していきます。

コンサマトリーな生き方とは何か

親子の手

日本をはじめとする先進国では「低成長」「停滞」などの言葉が使われますが、それは「経済とテクノロジーの力によって物質的困窮を社会からなくす」というミッションが達成されただけで、むしろポジティブに捉えるべきことです。

『ビジネスの未来』では、このまま経済的な成長を追い求めるには限界があると主張されています。イノベーションやマーケティングによってまだ経済は成長できるという意見にも反論します。現にインターネットほどのイノベーションでも劇的に経済が成長したわけでもなく、マーケティングは決まったパイを食い合ってしかないからです。

文明のために自然を犠牲に、未来のために現在を犠牲に、成長のために人間性を犠牲にしてきたとも言えます。

そこで今後目指すべきは「安全で便利で快適な(だけの)世界」から「真に豊かで生きるに値する社会」への転換です。つまりGDPなどの数値やお金のためという「経済性」ではなく、「人間性に根ざして動く社会」を目指すのです。

「人間性に根ざして動く社会」を実現するためのキーワードが「コンサマトリー」です。

消費や労働を含む経済活動を、「未来のためにいまを手段化する」というインストルメンタルなものから、「いま、この瞬間の愉悦と充実を追及して生きる」コンサマトリーなものへと転換すべきだということです。

コンサマトリー(Consummatory)は「自己完結的・自己充足的」というような意味合いが近いですが、要はそれ自体が目的であり、それ自体で完結するということです。

わかりやすい例は、「お金のために辛い仕事をする」のではなく「その仕事自体が楽しいからする」という生き方を目指します。

コンサマトリーな生き方を実現するために個人として何をすべきか

夕暮れ時のサイクリング

著者の山口周さんは、新しいコンサマトリーな社会を実現するために必要な3つのアクションを提示しています。

  1. 真にやりたいコトを見つけ、取り組む
  2. 真に応援したいモノ・コトにお金を払う
  3. (1と2を実現するための)ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入

世の中を変えていくためには、自分という一人の人間の行動を変えるしかありません。それが積み重なってはじめて世界が変わっていくからです。

ここでは、個人としてすぐにできる範囲、つまり①真にやりたいコトを見つけ、取り組むための具体的な方法を考えていきましょう。

真にやりたいコトを見つける方法

サーフィン

自分の仕事を功利的・手段的なインストルメンタルなものから、自己充足的なコンサマトリーなものへ。これがやりたいことを見つけて仕事にする基本方針です。

「その仕事自体が楽しくてやっている」という人はどれほどいるでしょう。

本書で紹介されている調査結果によると、「仕事に対して前向きに取り組んでいる」と答える従業員は、全世界平均で15%しかいないそうです。日本に限ってはなんと6%です。自分を含め周りの友人や知り合いを思い浮かべても、心からその仕事に満足している人はどれくらいいるでしょうか。

「お金のために働く」という経済性に根ざした活動ではなく、「自分がそれをしたい」と思える騒動に根ざした仕事は大きく分けて二種類しか残っていません。

  1. 普遍性が低いが難度の高い社会的課題の解決
  2. 文化的価値の創出

「①普遍性が低いが難度の高い社会的課題の解決」は、経済性を追い求めてきたがために残された課題です。例えば難病の治療法や特効薬の開発は、ニーズが少ないですがコストは膨大です。ですが本来この問題は放置しておいてよいものではありません。これはまさに人を救いたいという人間性に根ざした課題です。

「②文化的価値の創出」はアート作品の創造などを意味します。一見なくても生きていけるし、人によっては価値があるのかわからない。でも人によっては無限の価値を感じるし、消費してなくなるものではない。それが文化的価値の創出です。『ビジネスの未来』では織田信長の例が紹介されています。領地の広さをめぐって争いが絶えなかった戦国時代に、信長は茶道を嗜み、茶道具などと山や城と交換することで巨大な価値空間を創出することに成功したのです。

では今後価値のある仕事について理解できたところで、具体的にどのようにやりたいことを見つけるかという話に移ります。

本当にやりたいことを見つけるコツは二つあります。

一つ目の真にやりたいことを見つける方法は「やりたい、やりたくない」という感受性に正直に耳をすますことです。これまでの社会では、特に日本では「つまらないからやめる」ということへの非難が大きかったし、自分でもなんとなくネガティブなことのように思えてしまいました。

ですがやりたくもないことを我慢して続けた結果、なんのために働いているかわからないという喪失感を抱えた人をどれだけ生み出してしまったでしょうか。「お金のため」ではない動機で生きるこれからは、自分の感受性を大切にしましょう。

二つ目は、なんでもやってみる、ということに尽きます。やったことがないことをやりたいことかどうか判断することはできません。頭でいくら考えてもわからないし、やった後で身体感覚として楽しさがわかることも多いからです。以前、堀江貴文さんのがゴルフは何が楽しいのかわからなかったけど、やってみてはじめてその楽しさがわかったという「ゴルフ理論」を展開していました(以下参考)。

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豊かな感受性を育む(自分の気持ちに正直になる)+なんでもやってみる

これが真にやりたいコトを見つけるためのヒントです。

まとめ

□もはや経済性に根ざした生き方には限界がある
□人間性に根ざした「コンサマトリー」な生き方を模索する必要がある
□まずは自分のやりたいことを見つけて取り組む
□そのためには自分の感受性を大切にして、なんでもやってみることが重要

新型コロナウイルス(COVID-19)の出現と相まって、時代の変化は加速していますが、それ以前から社会は変わる必要があると主張し続けてきた山口周さん。この「経済性から人間性への転換」や「コンサマトリー」という概念には感嘆せざるを得ませんでした。

ぜひこれからの生き方を考えたいという方には一読していただきたい一冊です。

それでは楽しい読書ライフを!

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