ここでは最も簡単かつ効果的に教養を身につける方法として、中学・高校レベルの教科書や学習参考書での勉強方法とオススメ書籍を紹介していきます。これは日本の「知の巨人」ともいえる池上彰さんと佐藤優さんの共著『僕らが毎日やっている最強の読み方』を参考にした教養の身につけ方です。
池上さんも佐藤さんも、社会人になったビジネスパーソンに対して、中学・高校レベルの基礎知識を身につける重要性を説いています。
難解なニュースでも複雑な国際情勢でも、あらゆる問題をわかりやすく解説できるあの膨大な知識はどのように身につけているのでしょうか。そして溢れる情報の海に溺れないために、どのような知識を身につけるべきなのでしょうか。それはなにも特別なことなんかではないと言います。佐藤さんはこう語ります。
池上さんが新聞からさまざまな情報を読み解けるのも、私が大量の本を読みこなせるのも、そして私たちがネット上の変な情報に引っかからないのも、それは土台となる基礎知識を、長い時間をかけてしっかりと築き上げてきたからです。
そしてその基礎知識を身につけるには、書籍をしっかり読むしかなく、その書籍の中でも教科書や学習参考書が基礎知識を身につけるためには最良のツールだといいます。
それでは具体的にどんな科目のどの書籍を参考に勉強すればよいのでしょうか。ここでは誰しもにとって最も重要な教養を身につけるべく、公民・歴史・国語に焦点を当てていきたいと思います。
また池上彰さん、佐藤優さんの本の読み方はとても勉強になります。今でも知らない分野を書籍で勉強する池上さんと毎月平均300冊を読みこなす佐藤さんの読書の真髄をそれぞれ以下にまとめたので、こちらもぜひ参考にしてみてください!
公民で教養を身につける
佐藤さんと池上さんは新聞と書籍の情報源としての価値を強調しますが、その用途の区別に関しては以下のように話します。
・世の中で起こっていることを「理解する」には書籍がベース
政治や経済でいえば、ニュースを理解するための基礎知識は、中学生向けの「公民」の教科書にほとんど解説が載っています。
歴史で教養を身につける
現代を理解する上で必須の教養が「歴史」です。そして選ぶべき本といえば、ずばり「世界史A」と「日本史A」です。これは池上さんも佐藤さんも一致している見解ですが、
必要最小限にして最大公約数のところをきちんと押さえてあるので、時間のないビジネスパーソンに最適だから
だと主張します。「世界史B」と「日本史B」だと説明が細かく難易度が上がり、情報量に対してページ数が不足しているので、面白さという点では推奨されていません。
「世界史A」と「日本史A」で全体を把握した上で、自分の興味や関心に応じて必要な分野を深掘りしていきましょう。
日本史については、長らく絶版だった名著『大学への日本史』を佐藤さん企画・編集・解説でリニューアル復刊した『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』『いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』の2冊もオススメです。
またもう少しカジュアルな学習方法として池上さんは、旅行ガイドの『地球の歩き方』シリーズもオススメしています。旅行好きなら一度は見たことがあるのではないでしょうか。
歴史を身近に感じるコツとしては、旅行で行ってみたいところや出張で行く場所のことを、観光ガイドのようなもので調べてみるのもいいと思います。
臨場感が湧くだけでなく、その土地の歴史や文化についての記述もかなりあるので楽しく歴史的教養を身につける方法として最適です。
国語で教養を身につける
「すべての勉強の基礎になるのは、なんといっても読解力です」と語るのは佐藤さんです。ネットで溢れる情報は一部が切り取られていたり、自分が解釈できるものにしか目を向けなかったり、理解したいように事実を歪曲してしまうということが現代の問題です。
そこで正しい読解力を身につけるためには「国語」特に「現代文」が重要な役割を担います。
テキストが書かれた文脈を理解しながら、その著者の意図に則して読むことがまず大切で、批判的な検討を加えるのは、その次の作業です。
SNSやニュースのコメント欄などには、正しく理解せずに批判ばかりを書き連ねているような文章が散見されます。そうした問題を予防し、読解力を鍛えるために活用すべきなのが現代文の学習参考書です。佐藤さんのオススメは、『出口汪現代文講義の実況中継』シリーズです。
現代文を通して、読解力と論理的思考力の両方が鍛えられるのだと言います。そして池上さんも国語で培われる思考力をこう評価します。
世の中を知り、理解するには知識が不可欠ですが、論理的思考能力がないと、情報や知識は十分にあるのに分析を間違えたり、大事なテーマを見逃してしまったりしますからね。
以上が池上彰さんと佐藤優さんが主張する基礎知識の重要性であり、そのための教養の身につけ方です。具体的な選書のヒントは社会人以降の独学にも大いに役立つはずです。
このような教養は明日すぐに役立つという類の知識ではないかもしれませんが、長期的に見て一生自分を支えてくれる最強の武器になると確信しています。ぼくも上記で紹介した本は全て購入済みなので、あとは地道に毎日勉強するだけです。
まずは恥なんて忘れて、中学校レベルの教科書や学習参考書から勉強してみましょう!
その他書籍や新聞、雑誌、ネットまであらゆる情報の読み方が、池上さんと佐藤さんの経験から語られています。この70の極意全て知りたいという方は、ぜひ本書『僕らが毎日やっている最強の読み方』をお手に取ってみてください。
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