池上彰さんの本の読み方

池上彰の本の読み方

ここでは『僕らが毎日やっている最強の読み方』という書籍をもとに、池上彰さんの本の読み方を解説していきます。

池上彰さんといえば、今や誰もが知るジャーナリストであり、作家、教育者などさまざまな顔を持ち合わせた方です。どのような難解なニュースや時事問題についても、誰もがわかるレベルで解説してくれる「国民の先生」のような方ですよね。

あのテレビなどで見るようなわかりやすい解説は、膨大な知識がないとできないことです。そんな池上さんはどのように情報のインプットをしているのでしょうか。

基礎知識がない分野については、今でも机に向かって一生懸命勉強するという池上さんは、書籍の重要性を強調しています。つまり池上さんの主な学習方法は、読書です

池上彰さんと佐藤優さんという、どちらも日本の「知の巨人」ともいえる二人の著作『僕らが毎日やっている最強の読み方』で語られている内容をもとに、池上彰さんが実践している本の選び方から読み方読書ノートの作り方、さらには読書の時間の作り方までを簡単にまとめました!

1. 本の選び方

まず池上さんがどのように勉強する本を選んでいるかというところから学んでいきましょう。「池上さんほどの人は良い本を選ぶ目を持っているはずだ」と思ってしまうかもしれません。長年の読書の経験でそれもたしかにあるでしょう。しかし実際はもっとも身近で一般的な方法です。

池上さんは気になるキーワードや知りたいテーマに出合ったら、すぐに書店に足を運び、関連書籍をまとめ買いするそうです。ポイントはこのリアル書店に足を運ぶという点と、テーマ別でまとめて買うという点です。

関連書籍を探したい場合は、やはりリアル書店に足を運んで棚を見るのがいちばん速い。

ネットでキーワード検索しても漏れが出てしまうと言います。その点大きなリアル書店に行けば、テーマ別に一目で見ることができます。「書店の棚を見ているだけで、本当にどんどん興味が広がっていく」というのはまさにリアル書店の魅力ですよね。

書店に並んだ本のタイトルや帯の文章を読むだけでも勉強になると池上さんは言います。定期的に書店に足を運ぶことで、その時その時によって違った顔ぶれの本が見れるので、今の流行や話題のテーマを把握することもできます。

そしてもう一つ、良い本に出合うためのヒントがこちらです。

いい本に出合うためのコツはひとつ、「本をたくさん買うこと」です。

これに尽きると言います。もちろん池上さんのような読書家がオススメする書籍を買うというのも手ですが、自分で良い本を見つけるとなると、いかにたくさんの本を買って読めるかが決め手になります。

▽基礎知識を身につけるためのオススメ書籍を池上さんと佐藤優さんから学ぶことができます!一生役に立つ本質的な知識を学習するための本とはどのようなものなのでしょうか?▽

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2. 本の読み方

それでは本はどのように読めばいいかというのも、池上さんに学んでいきましょう。上記で紹介した本の選び方を前提に、まずは同テーマの関連書籍を複数冊買って読むというが基本になります。

何冊も同時に読めないと思う方もいるかもしれませんが、1冊読めばそのテーマに関する大まかな知識がつくので、2冊目以降はスラスラ読めると言います。

そして池上さんの本の読み方には大きく分けて2種類あります。じっくり熟読する本速読で済ませる本です。「じっくり熟読する本」は「タネ本」と呼ばれる書籍です。読書をする上で、この「タネ本」を見つける力は大きな武器になります。類似の関連書籍を4~5冊読んでいると、それらの関連書籍の元になっている基本書がわかるようになると言います。たいていはそのジャンルの初期に出版されたものが「タネ本」に該当するそうです。

一方で「速読で済ませる本」は、これまでに読んだ関連本よりも内容が薄かったり、新しい発見があるとは思えないものだと言います。本というのは最初から最後まで全部読まなければ読んだことにならない、と考える人も多いと思いますがそんなことはありません。しっかし熟読する本と、さらっと速読する本の見極めが重要で、読書を重ねるとその選書眼も養われていくはずです。

ただし、どの本も「はじめに」と「おわりに」には必ず目を通しているんだそうです。熟読するにしても全体像を把握することでスムーズに内容に入れますし、速読で済ます場合でものちのちの記憶に大きな差が出るそうです。

また古典をおさえておく重要性も池上さんは強調しています。ニュースなどを見てよくわからないことがあったときには、その関連分野の古典を押さえておくことが大切です。

どのジャンルにも必ず押さえておくべき文献があり、そこをしっかりと勉強することで、たんなる情報が、使える知識、教養になります。

欧米でヒットしたダン・ブラウン著作の推理小説『インフェルノ』が日本ではヒットしなかったのはなぜかという例を池上さんは紹介しています。日本と欧米では宗教的な教養のバックグラウンドが違いすぎることに加え、『インフェルノ』のモチーフになったダンテの『神曲』に馴染みがなかったことに気づいたそうです。

論理的な思考力を身につけるためには、難解な本と格闘する経験が必要不可欠ですからね。

古典と聞くと少し難しいそうというイメージがあるかもしれませんが、そのような本を通して思考力が鍛えられると言います。古典の入門として、池上さんは『世界を変えた10冊』という書籍も出版しています。『聖書』『資本論』『種の期限』『アンネの日記』などが紹介されており、難解な本を読み解くヒントとして活用するとよいでしょう。

このように古典など難解な書籍を解説している本や、「〜入門」「わかりやすい〜」というような通俗化された書籍も効率的な読書のためにおおいに活用すべきだと言います。ただし、これは佐藤優さんも主張する点ですが「内容を正確に、質を落とさず、わかりやすく通俗化してくれる」ものを選ぶべきです。

先ほどのダンテの『神曲』を例にとると、阿刀田高さんの『やさしいダンテ<神曲>』や『旧約聖書を知っていますか』『新約聖書を知っていますか』などが推奨されています。

最後に、書籍はもちろんインプットをする際の重要な点も紹介しておきましょう。それは「アウトプットを意識することで、インプットの質が深まって」いくということです。池上さんは月に18もの締め切りに追われていて、さらに大学での講義なども掛け持っています。そのような場でアウトプットすることを前提に読書などをすることで、理解度もモチベーションも高まるのでしょう。まずは友達に話したりブログやツイッターなどでアウトプットすることから始めてみてはいかがでしょう。

3. 読書ノートの作り方

池上さんは本を読んで終わりではありません。ここでは池上さんは本を読み終わったら何をしているのかということについて話していきます。

まずその前に本を読みながら池上さんがやっていることがあります。それは、本を読んでいて思ったことや気になることを本の余白スペースに書き込みを入れることです。さらにはA4用紙を四つ折りにして常にしおりのように本に挟んでいるのだそうです。気になる内容や参考になる文章があると、その紙にページ番号とともに書き込み、クリアファイルなどで保存しているそうです。

また池上さんの読書ノートはそれほどたいそうなものではなく、忙しい方でも真似できるものです。1冊読み終わったら、手帳に著者名と本のタイトル、読み終えた日付を書き込むさらに公私問わず大きなニュースや出来事があったらそれも一行メモとして書き添えるのだと言います。このような記憶が読書内容とリンクして「夏休みにはこんな本を読んでいたなあ」というように、のちに思い出せるきっかけになるのだそうです。

さらに忙しいときでも、読み終わった後にすぐ次の本にいかないで、「この本の内容はこうだった」と頭の中で反芻する時間をもうけているのだそうです。池上彰流読書ノートの作成でも難しいようでしたら、この本の振り返りだけでもやってみましょう。

4. 読書時間の作り方

読書の最大の悩みの一つが「本を読む時間がない」ということだと思います。結論から言えば、それはだれでにも作り出すことができるものです。数々のテレビ出演をこなし、月に18もの締め切りを抱え、大学などの講義もこなす池上さんほどの忙しい方でも多くの本を読んでいます。その秘訣はなんでしょう。

ポイントは大きく分けて2点です。一つはすきま時間の活用です。昼休みやランチタイム、寝る前や起きた後など普段何気なく過ごしている細かい時間は、貴重な読書タイムに変えることができます。限られた時間だからこそ、集中できるのがポイントだと言います。

特に注目すべきは通勤時間やその他移動時間です。池上さんは国内の移動は飛行機ではなく、より読書に集中できる新幹線を利用しているそうです。そして行き用に1冊、帰り用に1冊、読み終わったときように1冊の計3冊は持ち歩くのだそうです。通勤時間が長い人、移動が多い人はぜひ参考にしたいですね。

もう一つの読書時間の生み出し方は、お酒を断つことです。池上さんはもとから「下戸で酒が飲めない」そうですが、これまでもそれを理由にお酒の場は断っていたそうです。

ある程度は浮世の義理を欠かないと、本を読む時間がとれないのは事実だと思います。

もし自分も、そのような人の誘いのせいで多くの時間を失っていると感じたら、断る勇気も大切でしょう。そして池上さんはこう言います。

「読む気」さえあれば、時間はいくらでも見つけられるはずですからね。

以上が池上彰さんに学ぶ本の読み方です。普段詳しく語られない本の選び方や読書記録の方法、読書時間の作り方などはとても貴重で参考になるものです。読書をする際にはぜひ池上さんにならって、関連書籍をまとめて読む方法を採用してみると効率的なインプットができるはずです

今回参考にした『僕らが毎日やっている最強の読み方』はまさにタイトル通り、最強の二人のインプット術をまとめた本です。池上さん佐藤さんの本の読み方はもちろん、そのほかにも新聞やネットから雑誌、教科書の読み方まで徹底的に語られています。自分の栄養となるインプットの質や量は重要です。興味のある方はぜひお手に取ってみてください。

さらに読書をテーマにしたオススメ書籍を紹介しています。ぜひ興味がある方は、参考までに覗いていってください!

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