「文章が書けない…」と悩むあなた。何が原因で書くのが苦手なのか考えたことはありますか?
文章が思うように書けない人には、大きく分けて5つの要因があります。
①書くことがない
②伝わらない
③読まれない
④つまらない
⑤続かない
これは編集者の竹村俊助さん著『書くのがしんどい』で解説されている「書けない」分類です。竹村さんといえば、『メモの魔力』や『実験思考』、『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』などのヒット作を手がけた売れっ子ライター/編集者です。
『書くのがしんどい』では「誰でも書けるようになる」スキルとノウハウが、現役でライターや編集者として活躍する竹村さん自身の経験にもとづいて紹介されています。
今回は本書をもとに、この「書けない」5つの要因と、それを克服すべく書けるようになる具体的な方法を厳選して紹介していきます。
1. 書くことがない
「日々何か発信したいけど、何を書けばいいのかわからない…」「自分のことを発信するのは苦手だ…」そのような悩みをもつ人も多いのではないでしょうか。しかしこのような「書くことがない」を解決するにはいくつか具体的な方法があります。
自分のまわりのことを発信する
文章を書こう、発信しようと思うと、つい自分のことについて書かなければいけないと思ってしまいます。またオリジナルなコンテンツを生み出そうと、作家のようなマインドで書こうとしてしまいます。それこそが「書くことがない」という悩みの原因なのです。
自らコンテンツを生み出そうとするのではなく、まずは他人のこと、まわりのことを発信しようとすればいいのです。
自分のことを発信するのは難しくても、自分のまわりで起きたことや、自分の心が動いた瞬間を書いてみればいいのです。
つまり自分の内側ではなく、自分の外側にこそ目を向けるのです。例えば自己紹介にしても、「〜県出身で〜という会社に務めています」というのは自分のまわりのモノ・コトです。「趣味は〜です」と言っても結局その趣味の内容は自分のことというよりは、自分以外のモノ・コトです。
日々ラーメンや寿司を食べたことなどを発信していれば、この人は食べるのが好きなんだなという認識が共有できます。自分のまわりのことを発信すれば、結果的に自分の輪郭が浮き上がってくるのです。
ネタを仕入れる
自分のまわりのことに目を向けて発信する、と紹介しましたが、そこで大事になってくるのがネタを仕入れる意識を持つことです。小説家のイメージのように、自分の内側と徹底的に向き合ってコンテンツを作り上げていくというのは限られた人にしかできない芸当です。むしろ小説家でさえ生み出したコンテンツのもとにしているのは、どこかでインプットした情報の蓄積にすぎません。
ネタがなければ寿司が握れないのと同じように、ネタがなければ文章も書けません。
生活している中でただぼーっと過ごすのではなく、何かネタはないかなと「取材マインド」を持つことが大切です。ラーメン屋さんに行って、何も意識しなければ「おいしかった。」で終わりかもしれません。しかしネタを探そうとすれば「店内の装飾が変わっているな」「店主の指がラーメンに入ってたな…」というようなことに気づけます。
もう一つ重要なのは、メモをとることです。何か面白いことに気づいても、書き留めなければすぐに忘れてしまいます。二度と思い出すことがないものも多いでしょう。スマホでもノートでもいいので、とにかくメモをしてネタを貯めておけば、書くときにとても役立ちます。
2. 文章が伝わらない
「あなたの文章/説明はわかりにくい」「何が言いたいのかわからない」と言われたことはありませんか?書きたいことはあるのに、うまく伝わる文章にできないという人にも明確な原因と解決策があります。竹村さんはわかりやすい文章を「読む速度と理解する速度が一致する文章」と定義しています。誰でもすぐに実践できるわかりやすい文章を書くためのコツを紹介します。
一文を短くする
一文が短いと幼稚に見えるとか、長いほうが頭が良さそうと考える人もいるでしょう。しかし、短くてシンプルな文ほどわかりやすいのです。
本書ではある国会の答弁書の例が提示されています。
労働政策審議会の各分科会の委員並びに臨時委員及び専門委員は、労働政策審議会令第三条において、労働者を代表する者、使用者を代表する者及び公益を代表する者並びに障害者を代表する者のうちから、厚生労働大臣が任命することとされている。
これは「頭の良い人ならわかるんだろうな」ではなく、わかりにくい文章です。政治家や官僚同士のやりとりなら問題はないのかもしれませんが。ではこれを一文を短くして、わかりやすい文章に変えてみるとどうでしょう。
労働政策審議会の委員は、厚生労働大臣が任命します。
大臣は、①「労働者」を代表する人、②使用者(経営者など)を代表する人、③「公益」を代表する人、④「障害者」を代表する人のなかから委員を選びます。
これは「労働政策審議会令」の第三条に書いてあります。
「労働政策審議会」などの各言葉の意味はともかく、文章としてはとてもわかりやすくなりました。一文を短くシンプルに、ということを心がけましょう。
噛み砕いた表現に換える
エスプレッソのような文章を書いてはいけない
そう述べる竹村さんは、「わかりやすい文章は、ちょうどいい『濃度』である」と言います。
検索技術の進歩、機械学習精度の向上、またディープラーニングも活用等、コンピュータが我々の脳を代替し、かつ超越するような時代が到来している。
このように「濃い」文章は、エスプレッソを飲まされているような「わっ、苦っ」という気分になってしまいます。この「濃い」原因の多くは熟語にあります。これを噛み砕いた表現にするだけで、見た目もスッキリし、伝わりやすい文章になるのです。
例えば、
検索技術の進歩→検索の技術は、どんどん進んでいます。
機械学習精度の向上→AI・人工知能の精度も上がってきています。
のように噛み砕いた表現に換えるだけで、ずいぶん印象が異なる文章になります。見直してみて、少し「濃いな」と思ったら、熟語をわかりやすく言い換えることを意識してみましょう。
3. 文章が読まれない
文章を読んでもらうことはとても難しいことです。なぜならあなたが発信しているもの以外に面白い文章はあります。はたまたNetflixやYouTubeなどの映像コンテンツなどのことも考えると、あなたの文章の競合はあまりにも多いのです。
「なぜ、この文章を読む必要があるのか?」を意識しておかなければ、スルーされて終わりです。
少し厳しめにこう指摘する竹村さんですが、まさにその通りではないでしょうか。書きたいことがあって、わかりやすい文章で書けたとしても、それが読まれるかどうかはわかりません。ではどうすれば読まれる文章を書くことができるのでしょう。
自分をターゲットにする
文章を発信する際はターゲット設定(ペルソナ設定とも言われたりしますが)が重要と言われます。竹村さんの場合は、つねにターゲットにしてきたのは「自分」だと言います。
「自分が読みたいもの」を書き、「自分が買いたい本」をつくるのです。
これはコンテンツ作成、情報発信においてとても本質的なことです。あなたが書いたその文章は「本当に10分の時間を使ってまで読みたいか」「タイムラインで目を止めてまでじっくり読む価値があるのか」と自問自答してみることです。自分が読みたいと思わない文章を書いても、他に読みたいと思う人はいるでしょうか?
まずはターゲットを自分に定めて、建前ではなく本音で読みたいと思う文章を書く意識づけをしましょう。
「自分ごと」になるテーマを選ぶ
読まれる文章は、そもそも興味をそそるテーマを持っている必要があります。人が興味を持つテーマとは、「自分ごと」化されたものです。本書では、そんな「自分ごと」にしてもらいやすいテーマが5つ紹介されています。
①お金、仕事
②食
③恋愛、結婚、家族
④健康
⑤教育
4. 文章がつまらない
読まれる文章を書くために、ターゲットやテーマ設定が重要だと述べました。さらに多くの人に読んでもらうためには「おもしろさ」が必要だと竹村さんは言います。そしておもしろい文章には法則があるのです。
共感8割、発見2割
「おもしろいな」と感じる文章には読み手が知らなかった新しい情報が入っています。しかし文章全体が、「なるほど!」「へえ!」が続くような内容である必要はないのです。むしろそのような文章だと読む側が疲れてしまいます。そのような新しい発見は2割にとどめ、知っているような情報で共感を誘う文章を8割混ぜ合わせるのがコツです。
本書で紹介されているパプアニューギニアの例です。
パプワニューギニアは南太平洋にあるニューギニア島の東半分および周辺の島々からなる立憲君主制国家です。東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別オブザーバーですが、地理的にオセアニアに属します。オーストラリアの北、ソロモン諸島の西、インドネシアの東、ミクロネシア連邦の南に位置します。
これ、新しい情報だらけで疲れてしまいませんか?この文章を「共感8割、発見2割」を意識して構成し直してみましょう。
「パプアニューギニア」って聞いたことありますよね?
どこにあるかわかりますか?
地図で言えば、オーストラリアの上にあります。
30代後半以上の人であれば、「南国少年パプワくん」と思い出す人もいるかもしれません。「南国の、ほのぼのとした国」というイメージを持つ人も多いでしょう。
でも実はこの国、第二次世界大戦前までは「パプア」と「ニューギニア」という2つの地域に分かれていました。戦時中は日本軍と連合国軍がこの土地で争い、約21万人もの兵士が戦死。大戦後に2つの領土が統一されて「パプアニューギニア」と呼ばれるようになったのです。
「でも実はこの国」以降からが新しい情報なだけで、あとは誰にでもわかるような文章になっています。これは余計なんかではなく、読者を疲れさせないための工夫なのです。新しい情報を詰め込みすぎかなと思う方は、「共感8割、発見2割」の黄金則をあなたの文章にも反映してみましょう。
5. 書くのが続かない
文章を書くことの最大の難敵は、継続です。文章を上達させるためにも、アウトプットで成果を残すのも、ある程度の期間継続して書かなければなりません。本書ではどのように書くことを習慣化することができるのかが具体的に解説されています。
とにかくツイッターを使い倒す
「ツイッター」が竹村さんの答えです。正確に言うと、ツイッターで試しに投稿してみて、反応が良かったものをブログやnoteなどで少し長めに書いてみるという流れになります。
ツイッターは気軽にどこでもいつでも発信できるという最大のメリットのほかに、最高の「編集者」になってくれます。自分が書いた文書を誰かにフィードバックをもらいながら指摘してもらうことは、そんなに簡単ではありません。しかしツイッターで投稿すれば、その反応がフィードバックとなります。いいねが多くつけば関心を持ってもらえそうなテーマだとわかります。リツイートが多ければ、共感を呼び、共有したくなるような内容なんだとわかります。その内容に対して返信でコメントをくれる場合もあるでしょう。
さらにツイッターは良いことづくめだとわかるのが、竹村さんが示すツイッターで得られる10のメリットです。
①発信する勇気が手に入る
②自意識をコントロールできるようになる
③マーケティング力が身につく
④共感力が身につく
⑤構成力が身につく
⑥コピー力が身につく
⑦文章のリズム感が鍛えられる
⑧思考力・考察力が身につく
⑨調べる力が身につく
⑩行動力が身につく
『書くのがしんどい』を行動に移す
『書くのがしんどい』から学ぶべき、明日から始めたい行動内容は
ツイッターで発信をはじめる
です。「5. 書くのが続かない」で紹介したようにツイッターから得られるメリットはたくさんあります。まず書くことを習慣化するためにも、140文字という制限があるツイッターで小さくはじめてみるのがよいのではないでしょうか。本書では具体的なツイッターのコツも解説されています。
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