【誰でもできる】言葉で思考を磨く3ステップ

「言葉にできる」は武器になる。

何か美しいものを見たり、感動的な話を聞いたときに、「きれい」「悲しい」「ヤバい」そんな言葉を使ってませんか?

このようなどんなときでも当たりさわりなく使える便利な言葉を使っていると、自分の心の琴線を鈍らせてしまいます。そのような言葉では当然、相手に伝えたいことを伝えることもできません。人生の多くの場面(ブログやツイッター、ビジネスでのメールや会議での発言など)で、「伝わる言葉」を使う重要性は日に日に高まっています。

発言や文章といった「外に向かう言葉」を磨いていくためには、自分の考えを広げたり奥行きを持たせるための「内なる言葉」の存在を意識することが絶対不可欠である。

そう語るのは、大手広告代理店の電通でコピーライターとして活躍する梅田悟司さんです。ジョージアの「世界は誰かの仕事でできている。」タウンワークの「バイトするなら、タウンワーク。」などのコピーなどで数々の賞を受ける言葉のプロである梅田さん。

「内なる言葉」を磨き上げることによって、自分の思考を深め、相手に伝わる言葉を生み出すことができると教えてくれるのが梅田さんの『「言葉にできる」は武器になる。』です。

内なる言葉を磨く唯一の方法は、自分が今、内なる言葉を発しながら考えていることを強く意識した上で、頭に浮かんだ言葉を書き出し、書き出された言葉を軸にしながら、幅と奥行きを持たせていくことに尽きる。

では具体的に内なる言葉をどのように磨いていけばよいのかを、本書で紹介されている方法を簡単に3ステップにまとめて解説していきたいと思います。このステップに沿って進めれば、誰でも自分の「内なる言葉」と向き合うことで多くのメリットを享受できます。思考を深めることで、悩みを解消し、人生の価値観がブレないものになります。相手に伝えたいことも、整理されより明確な形で発信できるようになります。

必要なものは、ペンとA4用紙だけです!それでは3ステップを紹介していきましょう!

思考を磨くステップ① 全て紙に書き出す

最初のステップは、自分の考えをA4用紙に全てはき出すことから始まります。

テーマは自分が悩んでいること、解決したい問題などなんでもいいでしょう。「自分の最も大切なものとは?」「10年後になっていたい理想像」など自分や自分の将来に関するものもあるでしょうし、「今の仕事のどこが好きか?」「どんな能力を鍛えていきたいか?」という仕事のテーマでもよいでしょう。具体的なトピック例は本書の77~79ページにリストアップされているので、ぜひご参照ください。

何か考えるとき、頭の中で考えるだけでは物事は前に進みません。頭の中で考えていると、同じ考えがぐるぐる頭を回り、それで考えた気になってしまうことがあります。外にアウトプットすると、新しい思考ができる余裕が生まれるのです

またA4用紙に書く理由としては、このようなメリットが挙げられます。

・自分の頭の中を俯瞰できる
・紙を分類したり順番を変えたり移動できる(ノートではできない)
・リズム良く次々と書ける
・大きな文字で書くことで言葉に自信が生まれる
A4用紙にアウトプット
A4用紙にアウトプット『「言葉にできる」は武器になる。』89ページ参照
このような理由から梅田さんはA4用紙をおすすめしています。しかし、A4用紙を大量に机に広げたりするには、かなりのスペースが必要です。難しければ、ノートを机代わりにして、A4用紙の代わりにふせんを使っても良いでしょう。
ふせんとノートにアウトプット
ふせんとノートにアウトプット『「言葉にできる」は武器になる。』89ページ参照
自分が問いかけたテーマに対する答えをできる限りたくさん、正直に挙げていきましょう。誰に見せるわけではないので、なりふり構わず書いていきましょう。

思考を磨くステップ② 考えを深め、幅を広げる

頭に浮かんだ言葉を意識して書き出す、これだけでもかなり効果がありますし、ひと苦労なのは間違いありません。しかし最初のステップは、「内なる言葉を磨いていく過程における出発点である」といいます。

このステップ②では、内なる言葉を拡張し、解像度を上げていく作業に焦点をあてます。

具体的な方法としては、「なぜ?」「それで?」「本当に?」という3つの質問を各言葉にぶつけていきます

なぜ?

「なぜ?」では、考えを本質的なレベルまで掘り下げることができます。

例えば、ステップ①で「どんな能力を鍛えていきたいか?」というテーマに対して「英語を勉強したい」と書き出しだとします。その「英語を勉強したい」に対して、「なぜ英語を勉強したいか」という問いをぶつけるのです。そうすると「今の業務に必要だから」「転職の選択肢を増やすため」「海外旅行を楽しみたいため」というように、問題の本質に一歩近くことができます。

それで?

「それで?」では、考えを前に進めることができます。「それで?」の後には「結局何が言いたいの?」「結局何がしたいの?」「結局どうなるの?」という言葉が隠れています。上記の例だと「英語を勉強したい」に対して「英語を勉強して、何がしたいの?」というような問いが生まれます。「社内で数少ない人材になって活躍する」「条件の良い仕事に就いて年収アップが見込める」「海外に友達を作って人生を豊かにする」などの目的が明確化できるのが特徴です。

本当に?

「本当に?」では、一旦冷静になって考えを戻すことができます。自分の思いを書き出したものでも、自分の本音ではないものも含まれるでしょう。「建前じゃないか?」「本当に意味があるのか?」と考え直すことで、違う方向への考えが生まれる可能性もあります。「英語がやりたいというのは本心か?」と問えば、「周りが言うからとりあえずやらなきゃいけないと思ってた」「なんとなくかっこいいから」という本音が顕在化するかもしれません。そうすれば「じゃあ他に方法はありそうだな」と新たな可能性について考える道が開けることもあります。

思考を磨くステップ③ グルーピングして俯瞰する

ステップ①~②だけでも、普段は考えないような深く・広いレベルまで思考できます。そして最後のステップが本書では「化学反応させる」と言われる部分ですが、仲間同士を分類して大きな方向性ごとに分けることです。

ステップ①~②では主観的に物事を考え、自分の内面にひたすら集中してきましたが、このステップ③ではできる限り客観的に考えることが重要です。そうすることで自分の思考のクセや考えの偏りに気づけるでしょう。

まずは「これは違う考えをしているな」と思った言葉をいくつかの塊に分けていきます。数が多いグループもできれば少ないものもできます。このグルーピングは3回ほど見直しながら繰り返すことで、より正確な分類に近づきます。

次にグループごとに縦に並べていきます。数が多いグループが一番左で、その次に多いものがその右に来るように順番に並べていきます。そして縦を見ていって、同じグループ内では、「より本心に迫っているな」と思うものを上の方にもってきます。

並べ終わったら、各グループに名前をつけていきます。もともと頭の中にあった漠然とした考えが紙になって並んでいること、さらにはグルーピングされ名前までついていることに不思議な感覚を覚えるでしょう。グループに名前をつけることで、思考をより明確にすることができます。

この方向性を分ける分類の基準軸がわかりやすく5つほど提示されているのでご紹介します。

・時間軸 (過去・現在・未来)
・人称軸 (自分のことか相手・他人のことか)
・事実軸 (本当のことか思い込みか)
・願望軸 (やりたいことかやるべきことか)
・感情軸 (希望か不安か)
以上が、内なる言葉に目を向け、思考を磨く重要性と、そんな思考を磨く方法の3ステップでした。簡単かつ効果は絶大なので、「最近頭を使ってないな…」「深く考えることなく話しちゃってる(書いちゃってる)」と思う方はぜひ試してみてください。

『「言葉にできる」は武器になる。』を行動に移す

『「言葉にできる」は武器になる。』から学ぶべき、明日から始めたい行動内容は
思考を磨く3ステップを試してみる
です。紙に書き出し、3つの質問に答え、分類するという簡単な3ステップで、自分の思考・言葉と向き合ってみましょう。「こんなに深く考えたことなかった」「自分にはこんな考えがあったんだ」と驚くこともあるでしょう。とにかく紙とペンを持つことがスタートです!
今回紹介した思考を磨く3ステップは、本書の内容をより簡潔にまとめたものです。より詳しく知りたい方、またはトップコピーライターの具体的な言葉術を学びたい方は、ぜひ『「言葉にできる」は武器になる。』を丸ごと読んでみてください!「言葉入門」としてとてもおすすめです。

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