小学校・中学校という義務教育を終えてからも、勉強をする機会はたくさんあります。高校や大学で学ぶこともあれば、社会人になって自ら進んで何か資格やスキルを取得するために勉強することもあるでしょう。
その際の学習方法も多様です。
・家庭教師
・資格学校
・専門スクール (プログラミングスクールや英語スクールなど)
・独学
…etc
1. 独学の重要性
独学は、これからの学び方の基本になってくるコンセプトであり、生活をより豊かにしてくれるものです。なぜなら、これからは自ら学び、自分で考えを深めていくことが求められる時代だからです。
著者がこのように言うのは、学習の重要性を普遍的に主張しているだけではないと思うのです。もちろん、勉強をすることで多くの知識や能力を身につければ生活が豊かになるのは言うまでもありません。
さらにこの激変の時代においては、求められる力やスキルがかなりのスピードで入れ替わってきます。少し前までは「英語さえ身につけておけば安心」「課題解決力が高いビジネスパーソンが評価される」という風潮があった時代だったと言えます。
しかし今やテクノロジーが発展し、AIやロボットなどの進化が注目を集めてからはどうでしょう?「機械を動かすプログラミング能力」や「AIにはできない課題発見力」など、また違った能力が強調されています。
つまり求められる力が変わっていく毎に、ぼくたちはそれを学び続けていかなくてはなりません。そこで最も効果的な学習方法として独学を紹介しているのが『東大教授が教える独学勉強法』です。
2. 独学のメリット・デメリット
それでは数ある学習方法の中で、独学を選ぶメリットもしくはデメリットはどれだけあるのでしょうか。まずは独学をするメリットを紹介していきましょう。
独学のメリット
①自分のペースで学習できる
②自分に合った教材を選べる
③どこでもいつでも勉強できる
④好きなテーマを学ぶことができる
⑤自分の頭で考えるクセがつく
⑥無駄なコストが抑えらえれる (お金も時間も)
独学のメリット①自分のペースで学習できる
最大のメリットは、他人に合わせるのではなく、”自分に合ったペース”で勉強ができるということです。
独学のメリット②自分に合った教材を選べる
学校やその他スクールではあらかじめ教科書などの教材が決まっています。
教科書に乗っている内容は全て正しいし、学習には最適なツールだ、と無条件で思い込んでしまっている人が非常に多いのです。しかし、人によってその教材も先生も合う合わないは当然あります。そんなときは気軽に教材を変更することができるのも独学ならではのメリットですよね。
独学のメリット③どこでもいつでも勉強できる
授業の時間も決まっていなければ、指定された場所もありません。どこでも好きなときに学習できるのが独学です。当然かもしれないですが、これは大きな強みですよね。忙しい人には必須の条件と言っても過言ではないでしょう。そのような方は独学が第一の選択肢になりえます。
独学のメリット④好きなテーマを学ぶことができる
当然ですが、何を勉強するかというのも自由に自分で決められます。学校などの授業では、すでに学ぶ内容は決まっています。しかし、最初の時点で決めた学習テーマを変わらず一貫するというケースの方が珍しいのではないでしょうか。
勉強をしていくと興味や関心の方向が変わるかもしれませんし、ここをもう少し深掘りして学んでみよう、というように細かい自由も利きます。
独学のメリット⑤自分の頭で考えるクセがつく
すぐに聞けないから、自分で考えるクセがつく
「おーなるほど」と思った独学のメリットですが、先生というポジションの人がいないのが独学です。何かわからない問題に出会ったときに、すぐに誰かに聞くことができません。
学問に限らず、世の中のほとんどのことについて、何が正解なのかよくわかっていないのです。
人生において重要な局面ほど、決まった答えはないと言えるのではないでしょうか。近年どんどん「自分の頭で考える」機会が減っているように感じます。
独学では「わからない」からこそ、自分の頭で考えるクセがつくようになり、いざというときの判断の助けとなるのです。
独学デメリット⑥無駄なコストが抑えらえれる (お金も時間も)
何かを学ぶ際、どこかスクールに通えば当然それなりの費用がかかります。学ぶことが明確に決まっていて短期間で完結する場合(資格取得など)は、そちらのほうが効率的に学べるかもしれません。
しかし、独学というのは生涯ずっと続くものです。最初は時間がかかっても、自分の理解パターンなどをつかめれば、長期的に見ればより短い時間で多くのことを学ぶことができるようになるはずです。
コストも参考書などの書籍代程度のものでしょう。なんと言っても気軽に始めることができるというのが独学のメリットでもあります。
①すぐに誰かに教えてもらえない
②完璧主義者には向かない
③学習の進捗状況が把握しづらい
独学のデメリット①すぐに誰かに教えてもらえない
独学のデメリット②完璧主義者には向かない
独学を続けるには、少しいい加減なくらいの気持ちのほうがうまくいきます。
これは柳川教授の実体験に基づく考えだと思いますが、完璧主義だと独学を継続するのは難しいのです。
独学を始めるにあたって決めたテーマや学習方法が、ずっと変わらないということは基本的にはないでしょう。ちょっと学びたいテーマが変わったり、自分に合った方法に修正していくという工程が発生するはずです。
最初に決めたことを完璧にこなそうとすると、かえってストレスに感じてしまうかもしれない、というのが独学のデメリットとなる人もいるでしょう。
独学のデメリット③学習の進捗状況が把握しづらい
独学は、学校や専門的なスクールのように誰かがカリキュラムや学習スケジュールを作成してくれるわけではありません。ゴールが明確にあるという場合も珍しいかもしれません。なので自分が今どの段階にいるかというのが把握しづらいという点はあります。
もっとも、融通が利くと見ることも当然できますが。
以上が独学のメリット・デメリットです。これをどう感じるかは人それぞれかと思いますが、ぼくは独学から享受しうるメリットははるかに大きいと感じています。
3. 効果的な独学の方法
それでは具体的に独学をどのように進めていけばよいかというのを、テーマを見つける段階から紹介していきたいと思います。独学をより効果的なものにする柳川教授の数十年にもわたって生み出した叡智を学ぶきっかけとなればと思います。
かなり厳選していると思いますが、大きくわけて6つのプロセスで解説していきます。
①学習するテーマを見つける
何か勉強をしなければいけないけど、具体的に何について学べばいいかわからない。もしくは、大体の目星はついているけど絞り込めないという方もいるかもしれません。
独学の第一歩として学びたいテーマから見つけましょう。このテーマを探す方法は大きく分けて2つあります。一つは、身近な問題からヒントを得る方法です。
例えば、日頃のゴミ収集の仕組みに疑問を持っていて、もっと家庭内のゴミを減らしたり、もっとうまく収集できないだろうかと疑問を持ったとしましょう。(中略) そこから、例えば環境経済学を学びたいという気持ちが出てくるかもしれません
「えっ、そんなことでいいの?」と思った方もいるかもしれません。でもいいんです。興味があることほど強い学びの原動力となるものはありません。大きな問題でも小さな問題でも、入り口は自分の興味や関心に焦点を当ててみましょう。
また、テーマを見つけるためのもう一つの方法が、本屋に行って本をいろいろ見てみて、「ワクワクする」ものを2~3テーマピックアップするというものです。
1つだとそれが行き詰まったときに逃げ道がないので、柳川教授は複数見つけることをおすすめしています。
強い関心が持てなくても、見てワクワクするくらいでよいのです。
この言葉の通り、何か立派な動機があったり、明確に興味がある理由がなくてもいいのです。「ワクワク」という気持ちに正直な感情を大事にしてみましょう。
②目標を立てる
独学のテーマにあたりをつけた後は、目標を立てることです。しかしここで注意点があります。
最初から意気込みすぎたり、目標を高く持ってしまうと、必ず失敗します。
これには思い当たる節がある人も結構いるのではないでしょうか。ぼく自身も「さあ来年は毎日3時間勉強するぞ」などと新年の豊富を高々と掲げ、それが達成できないとすぐに挫折を感じてしまうという経験があります。
「独学は長距離走やマラソンのようなもの」という通り、少しゆるめの目標を持っておくことが独学継続のコツです。むしろ「目標達成は3割でよしとする」とさえ柳川教授は言います。
③入門書を3冊選ぶ
次の問題は教材選びです。最初の段階では「まずはとっかかりの入門書を3冊買ってみよう」というのが柳川教授のアドバイスです。
その分野について最初は誰もが初心者です。なのでまずは本をぱらぱらと眺めてみて、「おもしろそうだな」「わかりやすそうだな」という基準で選びましょう。
評判や人気などで選ぶのも選択肢の一つですが、人気があるからといって、あなたの理解パターンに合うとは限りません。自分にしっくりこないなと思ったら、迷わずその本には見切りをつけてしまいましょう。
Amazonなどでテーマ名を検索してみると、売れず時の本が大まかにわかります。その中で木になる本を書店に実際に見てみるというものアリです。
書く学習分野での推奨書籍を紹介してくれる著名人の方も多くいます。ぼくは、池上彰さんや佐藤優さん、山口周さん、藤原和博さん、出口治明さんなどがおすすめしてくれる本を参考にすることもあります。
④2つの読み方で学習を進める
それでは具体的に独学をスタートしていきましょう。教材を選んだら、その本をどのように読むかというのも独学の重要なポイントです。
本書では2段ステップで本を読む方法が紹介されています。
まず1回目は、みなさんも普通に読書をするときと同様だと思いますが、書いてある内容を素直にそのまま受け入れます。どのような内容が書かれているかをざっと把握するという意味でも、この1回目の読みは重要な役割を果たします。
そして2回目が、批評的に読むことを意識します。これこそ独学の本質とも言えるポイントです。最初はゼロからのスタートで、批評的に読むことなんて難しいかもしれませんが、1回目の読みをした上でもう一度読む場合は難しくありません。
著者の主張などに対し、常に疑いながら批判的に読み、疑問点を探しながら読むことで、自分の頭を回転させ理解が格段に深まります。
⑤普遍化する
独学の次のステップは「普遍化する」ことです。
社会で起こっている出来事や自分の目の前に起こっている現象を、自分なりにどう理解して、そこまで自分の中で考えを深めて、実際に役立たせていくことに、学問をする意義があります。
要は学んだことを自分の人生に反映していくということです。学んだことを何にも活かさないというのではとてももったいないことですよね。
しかし、学んだことをそのまま生活に適用する機会は滅多にないでしょう。ここで重要なことは、学んだことを抽象化して普遍的で汎用性のある内容に変換するということです。その上で実際の生活に再度具体化して応用するのです。
歴史などはまさに良い例といえます。過去を学ぶことで、全く同じ事例が起きることはないですが、もっと大枠の部分(構造や仕組み)で考えてみれば、これからの未来に応用していくことができるということは往々にしてあるでしょう。
この抽象化からの再具体化という思考プロセスはとても重要ですし、どこでも通用する武器になります。このような思考をわかりやすく扱っている本が前田裕二さんの『メモの魔力』です。以下記事にまとめてあるので、ぜひ参考にしてみてください!
今話題で、2019年もっとも読まれたビジネス書である『メモの魔力』。いったい何がすごくてそんなに売れているのでしょう? ここでは、その『メモの魔力』のすごさ、紹介されているメモ術、著者の前田裕二さんについて、超カンタンに紹介していきた[…]
⑥アウトプットにつなげる
独学の最終地点として一つ目安を持っておきましょう。それがアウトプットです。特に学んだことを文章にすることをおすすめしています。
人に伝えようとしてみることで、自分がいかに理解できていないかがわかり、結果的に自分の理解度も深まります。
SNSやブログなど形式はなんでもいいでしょう。ただし、文章を書く上で重要なポイントが2つあります。
一つは、「自分の言葉で書く」ということです。インプットした情報や学びをそのまま鵜呑みにしてそのまま出すということは誰にでもできます。それは理解できていなくてもできてしまいます。しっかり自分の地肉にした上でアウトプットすることで、本当に理解しているかどうかが判断できるのです。
また、「やさしく書く」ことも重要です。柳川教授は生徒に対して、「中学生や経済を知らないお母さん方にも理解できるように書いて」とアドバイスをするそうです。もちろん聞き手のためでもありますが、自分の理解のためでもあります。本当に内容を理解していないと簡単な言葉で表現することは難しいのです。
このような独学の一連の流れを参考に、自分での学習を実践してみてはいかがでしょうか。
4. 『東大教授が教える独学勉強法』を行動に移す
『東大教授が教える独学勉強法』から学ぶべき、明日から始めたい行動内容は
入門書を3冊買う
です。
自分が学びたい気になるテーマが見つかれば、とりあえず自分好みな入門書を3冊買ってみましょう。違うタイプの本を読み比べることで、自分に合った本の傾向がつかめてきます。それを知ることが独学では非常に重要になります。
以上、独学の重要性から、メリット・デメリット、独学の具体的な方法を紹介してきました。高校生以来独学で東大教授にまで登りつめた柳川教授の勉強法の全貌を知りたい方は、ぜひご一読してみてはいかがでしょう?
それでは楽しい読書ライフを!
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