まずはこれだけ身につけよう!「自分の頭で考える」思考力の基本

思考の基本

AIやロボットテクノロジーが発展し、人間に取って代わる存在になる。新型コロナウイルスなどによる生活スタイルの激変。その他にも世の中には不安定で不確定な要素がたくさんあります。

そんな「答え」が用意されていない時代で必要なのは、「自分の頭で考える」思考力です

「自分の頭で考える」重要性はわかるが、じゃあ具体的に何をしたらいいの?と思う人も多いのではないでしょうか。それもそのはず、いきなり自分の頭を使って考えるのは不可能です。そのためには最低限の知識と考えるための大枠をあらかじめ知る必要があるからです

そこでここでは、自分の頭で考えるための基本的な思考方法を紹介していきます。ビジネス思考をテーマに数々の思考法の重要性を説いてきた細谷功さんの『入門『地頭力を鍛える』 32のキーワードで学ぶ思考法』をもとに、その32の思考様式から最も本質的な思考を4点に絞って解説します。

特にビジネスの場で自分の思考を磨いて、問題発見から問題解決までのスキルを身につけたいと思ったら、まず学ばなければいけない基本の中の基本です。

1. 戦略的思考

戦略的思考はいかに戦わないかを考えるために、「そもそも」と前提条件を疑う思考です。これだけでは少しあいまいだと思うので、その逆の戦術的思考と具体例を紹介していきます。

まず戦略的思考は長期的で全体的な視野を持つのに対して、戦術的思考は短期的で部分的です。「五番勝負」のようなものを思い浮かべるとわかりやすいのですが、戦術的思考はその計5戦の中の1戦に焦点を当てます。一方で戦略的思考では、1~2戦負けても全体として価値をおさめる、つまり「一部を落としても全体を拾う」ことに重きを置きます。

一つ面白い例を紹介します。例えば行列のできるラーメンを食べたい場合です。

頑張って並ぶ必要があるという前提条件を疑わず、並んでる間は音楽を聞くなり本を読むなり楽しく過ごすというのが戦術的思考です。では戦略的思考で考えるとどうなるか。

戦略的思考ではまず、「そもそも戦う必要があるのか」を考えます。本当にそのラーメンを食べるために並ぶ必要があるのかという前提条件を疑うのです。そう考えると全く違った手段が見えてくることがあります。

・真冬や真夏など多くの人が屋外で並ぶのをためらう時期を選ぶ
・他の支店がないか探す
・仕事の取材として潜入できないか考える
・誰か別の人に並んでもらう
・従業員として働いてしまう

など現実性がどれほどあるかはさておいて、同じ目的を達成するためにもこれだけの選択肢が考えられます。さらに戦略的思考を研ぎ澄ませば、「そもそも行列のできるラーメンを食べたいのはなぜか」という疑問すら抱くこともできます。その答えが「美味しいラーメンを食べたい」なら他の並んでいないが美味しいラーメン屋を探せばいいですし、「食べログのレビューが高い店に行きたい」なら他の穴場的なレストランを探すという方向転換ができます。

要は、土俵が違う戦いにもっていくことが戦略的思考の強みです。何事も最も上位にある目的を考えて、その目的を達成するための最適な方法を常識にとらわれずに模索しましょう

2. ロジカルシンキング

論理的思考つまりロジカルシンキングの重要性は、今さら強調するほどでもないかもしれません。しかし特にビジネスパーソンなら持っていて当たり前の思考力です。

『入門『地頭力を鍛える』 32のキーワードで学ぶ思考法』によると、「話の根拠がある」「一貫性がある」「客観的な見解である」「事実に基づいている」「感情に左右されない」「最終的な結論が明確である」このような姿勢で物事を考えることがロジカルシンキングです。

相手に何かを伝えるということは思っているよりも難しく、誤解が生じることなく100%自分が思っていることをそのまま伝達することはほぼ不可能です。しかし誰が見ても聞いても、大きな誤解もなく同じ結論が共有できる、というのがロジカルシンキングの役割です。コミュニケーションの基本ともいえます。

『入門『地頭力を鍛える』 32のキーワードで学ぶ思考法』で紹介されているキーワードのうちの一つが「ファクトベース」ですが、この「事実に基づいている」ということがロジカルシンキングの前提となります。

例えば、同僚から「課長が激怒していた」という話を聞いた時に、それを果たして事実として受け取れるでしょうか。課長本人からしてみると、それは単に情熱的に語っていたにすぎないかもしれません。俯瞰してから主観を排除してみると、「課長が机をたたきながら大声を出していた」という表現ができるかもしれません。

つまり一見事実のように思えても、その人の主観や感情などの解釈が入っている可能性があります。それはファクトベースの姿勢ではなく、ロジカルシンキングとは程遠いものです。

ロジカルシンキングを考える際は今一度、「話の根拠がある」「一貫性がある」「客観的な見解である」「事実に基づいている」「感情に左右されない」「最終的な結論が明確である」を意識しましょう。

ロジカルシンキングについては、照屋華子さん・岡田恵子さん著『ロジカル・シンキング』が最も詳しく書かれていると思っています。要点を簡潔にまとめたのがこちらです。ぜひ参考までにチェックしてみてください!

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3. 地頭力

地頭力は、AIが飛躍的な進化を遂げていくこれからの時代にこそ人間に求められる力です。地頭力の中心は、「結論から」「全体から」「単純に」考える力3つの思考力です。

「頭が良い」にもいくつか種類がありますが、最も混同しがちなのが地頭力と知識力です。よくクイズ番組などで圧倒的な正解率で知識を駆使する人が「頭が良い」とされますが、この「クイズ王」的な知識力が重宝されたのは少し前の時代です。今では検索すればあらゆる情報にアクセスできるので、これからの時代に必要なのは、正解のない問いに対して自分の頭で考えるための地頭力なのです

「結論から考える」仮説思考力を駆使すれば、より早くそして確実に結論に到達することができます。「全体から考える」フレームワーク思考力を身につければ、問題を客観的に捉えることができ、自分の「思考の癖」を取り払うことができます。単純に考える「抽象化思考力」を用いることで、限られた知識をとても広い領域で応用することができるようになります。

この地頭力の考えは細谷功さんが『地頭力を鍛える』で2007年から提唱していますが、これからの時代にこそより多くの人にとって必須な素養となるでしょう。地頭力の中心であるこれら3つの思考力と、それらのベースとなる姿勢について、もう少し詳しくこちらでまとめているので、これは必ず目を通してみてほしいです↓↓

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4. メタ認知

「自分の頭で考える」思考力の入門編の最後として、メタ認知を取り上げたいと思います。簡単に説明すると、メタ認知とは自分を客観視することです。自分の思考や行動を上空からの視点で俯瞰するイメージです。これが思考の原点ともいえます。

ソクラテスが唱えた「無知の知」という概念も、デカルトが説いた「我思う。故に我あり」というのもメタ認知ができていたからこそ生まれた思考だといえます。

多くの人は自分が知らないということにすら気づきません。また人間誰しも思い込みやバイアスにとらわれているものですが、それすら気づきません(気づこうともしないのはさらに問題です)。

いくつかぼくたちが捉われがちなバイアスを紹介します。まずはアンカリングバイアスで、一度何かの印象が定着してしまうと、それを起点にして考えてしまうというものです。よくお店の割引表示で、10,000円が赤線で5,000円と訂正されていて「半額!」というのを目にしたことありますよね。それは10,000という基準が作り出されることで5,000円が安いと感じてしまうというアンカリングバイアスです。その商品の価値はもともと5,000円ほどの価値しかないのにもかかわらず、です。

生存者バイアスというのも興味深い人間の思い込みです。「生き残った人」のほうが「脱落した人」よりも大きな割合で見えてしまうバイアスです。成功した起業家などのインタビューで「努力は必ず報われる」という言葉を目にしたとします。これはそもそも基本的に成功した人にしかこのようなインタビューをしないので、その言葉は世の中の真理のように思えてしまいます。よくよく考えれば、歴史というのも生き残った人しか後世に語り継ぐことはできないので、少なくとも生存者バイアスがかかっていると見るのが自然でしょう。

バイアスや思い込みの説明が長くなってしまいましたが、これは自らの思考や行動をメタ認知することでしか気づくことができません。自分は問題ない、理解している、そう思っているときこそ注意のサインです。俯瞰して自分を他人を見るような目で、客観的に見つめ直すことはとても重要なのです。


以上が「自分の頭で考える」思考力の基本となる4つのキーワードです。まずはこれさえ押さえておけば、思考レベルは確実に前に進むはずです。そしてこれらは鍛えることができる力です。『入門『地頭力を鍛える』 32のキーワードで学ぶ思考法』ではこのような超重要な思考様式が32も解説されています。他も気になるという方は、ぜひお手に取ってみてください!

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