読みたい本があるけど、もう絶版になってしまって手に入らない…
でもなんとか読みたいし、手元に保存しておきたい…
そう思ったことはありませんか?
実はその悩みは、国立国会図書館の遠隔複写サービスを使うことで解決できます。
ここでは国立国会図書館の遠隔複写サービスの利用方法についてと、その具体的な利用方法・料金・発送日数をわかりやすく紹介していきます。
ちなみに、こちらが国立国会図書館の遠隔複写サービスを使うきっかけになったものです↓
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-国立国会図書館とは
国立国会図書館とは、国会に属する唯一の国立の図書館であり、日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する機関です。公式ホームページの紹介によると、公立国会図書館は、「明治23年(1890年)に開設された旧憲法下の帝国議会に属していた貴族院・衆議院の図書館」と「明治5年(1872年)に設立され、行政機関である文部省に属していた帝国図書館(創立時は「書籍館」)」の二つの源流を持ちます。
国立国会図書館は初め、1948年に赤坂離宮(現・迎賓館)に開館し、現在では東京都千代田区永田町1丁目10-1に位置しています。2002年には京都府相楽郡精華町に国立国会図書館関西館が開館し、同年に初の国立の児童書専門図書館が支部上野図書館を改築して全面開館しました。
令和元年の統計によると、国立国会図書館には総計4491万6483点が収蔵されているそうです。
国立国会図書館公式ホームページ:https://www.ndl.go.jp
-遠隔複写サービスとは
国立国会図書館では複写サービスを提供しているほか、実際に足を運ぶことなく遠隔複写サービスを利用することもできます。希望する書籍などの特定箇所を申請して、そのコピーを郵送してもらえるというサービスです。
「著作権法その他の関係法規に基づいて行うため、希望どおりに複写サービスを提供できない場合」もあるそうですが、基本的な個人利用の目的の場合はたいていの書籍は遠隔複写サービス利用の対象です。
「複写料金」「発送事務手数料」「送料」の費用が発生します。また発送日数については、現時点(2021年5月)では「お申込み受付から発送までに10日~2週間程度かかっております」とアナウンスされています。
遠隔複写サービスの詳細はこちら。
-国立国会図書館の遠隔複写サービスの利用方法
それでは具体的な国立国会図書館の遠隔複写サービスの利用手順を解説していきます。また実際に利用してみた例で、かかった日数や費用も参考までに記載しておきます。
利用手順① 国立国会図書館オンラインの利用者登録
まずは国立国会図書館オンライン(https://ndlonline.ndl.go.jp)の利用者登録をします。まずはホームページの画面右上の「ログイン」をクリックし、左下の「新規利用者登録」から登録を進めます。
必要情報を入力し、登録が完了すると登録確認のメールが届きます。
あらためて国立国会図書館オンラインのホームページにて、届いた登録利用者IDとパスワードでログインしましょう。
これで遠隔複写サービスを利用することができるようになります。
国立国会図書館の利用者登録についての詳細はこちら。
利用手順② 複写希望箇所の申請
利用者登録ができたら、遠隔複写サービスの申請を行います。まずは希望する書籍やコピーしたい記事が収録されている書籍を検索する必要があります。あらかじめその名前を控えておきましょう。
国立国会図書館オンラインホームページの検索窓から希望するものを探します。書籍の名前でも記事や論文の名前でも検索することが可能です。また出版年などでも絞り込むことができます。
今回は例として、『文學界』1980年9月号に掲載されている村上春樹さんの小説「街と、その不確かな壁」での申請を進めていきます。
次に検索結果から自分が希望するタイトルを見つけてクリックします。単行本であれば特定がしやすいのですが、雑誌などではアーカイブが多数ヒットすることもあるので、出版年月などで絞りこむとよいでしょう。
またオレンジ色のボタン「デジタル」をクリックすると、その書籍の詳細が確認できます。デジタル化された資料で、著作権の保護対象ではないものや、確認がとれたものは画像で確認することも可能です。
ここでは「文學界」34(9)というのが『文學界』1980年9月号なのでそれを選びます。
そして該当の書籍ページの右下の青いボタン「遠隔複写」というボタンをクリックします(ログインをしないとこのボタンは出てきません)。
ちなみにコピーを依頼したいページ数が特定できていない場合は、同ページの右上のオレンジ色のボタン「デジタル」を押すと雑誌内の目次が確認でき、依頼するページ数を調べることができます。
ちなみに、それでも書籍の中で自分が希望する箇所がどこなのかわからない場合には「記事掲載箇所調査」を依頼することも可能です。下の画像のように青いボタン「[複写用]記事掲載箇所調査」をクリックし、論文名・記事名・著者名などわかる範囲で入力しましょう。回答期限の目安は、開館日で5日程度だそうです。
いよいよメインの申請方法です。申請ステップ③で「遠隔複写」を押すと、依頼内容の入力画面に進みます。そこに「記事・論文名」「著者名」「巻号、ページ」を入力します。今回の例では以下のようになります。
記事・論文名:街と、その不確かな壁
著者名:村上春樹
巻号、ページ:文學界 1980年9月号 pp.46~99
カラー印刷や、表紙や目次なども依頼することができるので、希望の方は入力画面下部のボックスにチェックを入れましょう。
最後に画面下部にある青いボタン「申込カートに追加」を押します。
次にホームページの右上にあるカートマークのボタンをクリックし、青いボタン「申込手続に進む」を押します。
いよいよ最終段階です。申込内容や、発送先住所、メールアドレスなどを確認し、必須項目である「使用目的」の「調査研究の用に供するため」にチェックをいれます。
そしてその下にある青いボタン「注意事項に同意して申込内容の確認へ」をクリックします。
以上が国立国会図書館の遠隔複写サービスで申請する方法です。残るステップは書類の到着を待ち、利用料金の支払いのみです。
利用手順③ 書類到着後、料金の支払い
資料が所蔵されていて、作業が行われるのが東京か関西かで発送日数は多少異なります。遠隔複写サービスの概要ページには「お申込み受付から発送までに10日~2週間程度かかっております」とありますが、ぼくの場合は申請して家に届くまで7開館日ほどでした(混雑時は3週間近くかかったこともあります)。
今回はA4が30枚だったので、料金は合計で1,262円でした。
遠隔複写サービスの料金内訳は、
・書類:電子資料A4×30枚=720円
・発送事務手数料:200円
・消費税:92円
・送料:250円
計1,262円
その他料金体系はこちらをご確認ください。
到着した書類に請求書や払込取扱票が含まれています。20日以内に支払うよう記載されています。忘れないうちに早めに払っておきましょう。
支払い方法はコンビニや郵便局での支払いや銀行振込も可能です。詳しくは受け取った書類をご確認ください。
遠隔複写サービス利用の注意点
遠隔複写サービスを利用するにあたって、知っておくべきは著作物の複写可能範囲です。著作権法上、著作物によっては内容の全てを複写できるとは限りません。
一般的な図書は基本的に、その著作物の半分までと決められています。公式で示されている具体的な複写可能範囲は以下の通りです。
この記事で紹介してきたように、「雑誌・新聞等に掲載された個々の論文・地図・写真・絵画・楽譜等の著作物については、その全部を」複写することができます。ただし、同一号に複数の論文などが掲載されている場合は、その全体の半分までという制限があります。また、週刊誌なら1週間が、月刊誌なら1ヶ月間が経過してからのみ複写可能など、一定期間が過ぎたものという条件もあります。
まとめ
以上が、便利な国立国会図書館の遠隔複写サービスの利用方法でした。
国立国会図書館オンラインの利用者登録→複写希望箇所の申請→到着&支払い、簡単な3ステップです。
もう絶版となってしまって見つけることができない本、高額で売られている本については、この遠隔複写サービスを利用してみてはいかがでしょうか。
好きな作家の作品で、雑誌には掲載されたが単行本化されていないなどといったケースもあります。古い雑誌は手に入れるのが難しいので、その場合にも国立国会図書館の遠隔複写サービスは大変便利です。
例でも紹介したように、村上春樹の作品でも単行本未収録の作品がいくつかあって、この遠隔複写サービスは大活躍でした。
それでは楽しい読書ライフを!
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