読書に取り組むなら絶対に読んでおきたい本がこちらでも紹介した『本を読む本』です。1940年にアメリカで刊行されて以来、世界中でベストセラーとなっている読書の入門書です。
この一冊を読むだけで、今後の人生で読むことになる数百・数千冊もの本の理解度や読書スピードが大きく変わってくると言っても過言ではないでしょう。
今回は4つの読書レベルの中でも、絶対に身につけておきたい一生使える読書法「点検読書」を徹底解説します。よりシンプルにわかりやすく手順を紹介していきます。
これはいわゆる速読に分類されるものですが、しっかり理解するための読書術でもあります。
点検読書のメリット
点検読書のメリットは二つあります。
まず短い時間で全体を読むので、時間をかけて読むべき本なのか、それとも読むに値しない本なのかを判断する本の選別力が高まります。特に本の読みはじめは、どれも良質な本だと思い込んでしまいます。
しかし、「本当の良書は全ての本の中で1%にも満たない」というようなことをよく耳にしますが、これはかなり現実的な数字だと思うのです。長い年月を生き残ってきた古典や自分の心に刺さった本などは良書と言っても良さそうですが、あふれるほど出版される最近の書籍では、なかなか良い本かどうかの判断は難しいものです。
また、点検読書をすることで、その本が読むべきだと判断したのちに、ゆっくり時間をかけて熟読するときも、そもそも理解度が深まります。そして結果的に読む速度も上がるというメリットが点検読書にはあります。
では早速、以下で点検読書の方法を紹介します。本書の内容をよりシンプルにしました。
点検読書を自分のものにしましょう!
点検読書の方法
点検読書は主に「拾い読み」と「表面読み」の二通りありますが、まずは基本的な「拾い読み」の手順を紹介していきます。
短時間で内容を理解し、さらには念を入れて読むべき本なのかどうかという選別をして効果的な読書をしていきましょう。
①タイトル・序文を読む
まずはさっそくページをめくりたいところですが、その衝動を抑え、表紙を見てみましょう。「いや、買う前から表紙なんて見てるよ」と思うかもしれませんが、今一度意識して見てみるのです。
タイトルを見て、これは何について言っているんだろう、どのような内容なんだろうと「本の主題」を推測してみることが重要です。本のタイトルというのは本の顔です。また、本の帯などに書いてある売り文句も非常に有益なものです。なぜなら著者や出版社が知恵を絞って書いている文章です。内容理解の助けとなるでしょう。
本の表紙を取ってみると、また違ったデザインになっていたり、隠されたメッセージがある場合などもあります。見逃す手はないでしょう。
②目次を読む
目次というのは本においては超重要な役割を果たしています。本の内容や構造が明確に整理されているので、まさに点検読書の土台なる項目なのです。目的地に向かう前に地図を確認するのと同様、読書の旅に出る前にしっかり目次を確認しましょう。
少し抽象的な言葉で理解しにくい場合もありますが、それでも何度か読み込んでみましょう。これをすることで、この後の理解度や読む速さが全く変わってきます。
③重要な章を読む
目次を読んで全体の内容が漠然とわかってきたら、次に自分が重要だと思う章をいくつか読んでみます。ここで読むのはその章の全てではなく一部です。章のはじめと終わりにはその章の要約や重要なポイントがまとまっていることが多いです。これをよく読みましょう。
④ところどころ拾い読みする
点検読書の「拾い読み」の最後の段階です。本全体をパラパラと拾い読みします。大切なことが書いてある箇所に気を配りながら、そのようなポイントを見つけたら、1~2段落または長くても2~3ページを読んでみましょう。
ビジネス書などは、重要な部分が太字になっていたりします。このようなものは有効活用しましょう。
また「あとがき」のような最後の部分にも著者の重要なメッセージが込められているので、よく読みましょう。
この①~④のステップで点検読書の基本パート「拾い読み」が終了です。読む価値があるかという判断を下しましょう。最初は内容が良質かということよりも、自分的に面白いと思ったか、興味を持てたかということを判断軸にしてもいいと思います。
この選書の判断力も徐々に向上していくでしょう。
難しい本の読み方
また自分にとって難しい本に出会ったときは、点検読書の「表面読み」の出番です。こちらは手順を踏んでするというよりも、一つの重要な姿勢を意識する必要があります。
それは、「とにかく最後まで読み通すことに集中する」ことです。
そもそも自分が難しいと感じる本でもどんどん読むべきです。たしかに本のレベルにも自分にとって適正なものがありますが、簡単な本ばかりを読んでいても自分の成長にはつながらないと本書では述べられます。
むずかしいくらいの本でなくては、読者にとって良い本とは言えない。そういう本に向かって読者は背伸びをし、自分をそこまで引き上げなくてはならない。
ちょっと難しいなと思う本でも、諦めずに取り組みましょう。全てを理解しようとすると時間がかかり、気持ちが折れてしまいます。「表面読み」で大事なのは、とにかく最後まで読み通すことなので、理解できない箇所があっても、先に進んでしまいましょう。
最初から細かい箇所に捉われて「木を見て森を見ない愚を犯してはならない」のです。
全てを読み通して理解できることもかなりあります。そうして再読したときの理解度は格段に深まります。1回目に読んだ時とは、びっくりするくらい理解度に差があることも珍しくありません。
読書しながら問うべき2つの質問
「読書には積極性が大事」というのが『本を読む本』の主張ですが、これに反対する人はあまりいないでしょう。ではどのように積極的に本を読むのかというのが、この点検読書のポイントでもあります。
それは自問自答しながら読むということです。読書レベルを上げるためには、正しい質問を正しい順序でぶつけていく習慣を身につけることが必要です。
点検読書中は以下の二つの質問を自分に問いかけながら読むといいでしょう。
全体として何に関する本か
点検読書の手順を踏んでいけば、自ずと答えは見えてくるでしょう。その本の主要テーマとそのテーマをより細分化した小テーマやトピックを理解することが重要です。
頭の中でそのようなテーマや構造を思い浮かべながら読むといいでしょう。
何がどのように詳しく述べられているか
これは著者の思考や主張、議論の要点を把握することが大切です。上記の手順でも重要な箇所の指摘をしました。そのような著者が本当に言いたいことに目を向けつつ、どのようにその思考や主張を支えているか、反対意見は提示されているかなどを考えながら読み進めていきます。
本に書き込みをする
質問することに加え、読書に積極的であるために必要なことの一つが「書き込みをする」ことです。よく本は「行間を読め」というように、自分の頭で考えながら著者が本当に言いたいことを考える重要性が説かれます。それは上記の質問をすることで実践することができます。
同様に、「行間に書く」ことも重要です。そしてこの書くことのメリットを本書では三つ挙げています。
- 目覚めてられる(眠くならない)
- 考えることは重要で、言語化されてはじめて考えたことになる
- 自分の反応を書き留めることで、著者の言っていることを思い出すのに役立つ
どんなに面白い本でも、眠くなるときは眠くなります(そうでない方もいるかもしれませんが)。読書に眠気はつきものだと思いますが、この書き込みによって集中力が増し、眠くなりづらいというのは結構あると思います。
また書くことで理解が深まるということもありますが、自分の思考が洗練されるというのもポイントです。漠然と考えていたことを、書くことで言語化しなければいけません。そのような状況ではじめて「考えが深まった」と言えるでしょう。
また良い本は読み返すものです。そこにそのとき書いた自分の思いや要約があると、すごく助かります。「このときこんなことを考えていたんだ」という書き込みは自分の宝物ですし、著者の主張が一瞬で思い出せたりします。
本に書き込みをすることに抵抗のある人もいるでしょう。そんな方は読書ノートを作成するなどしてもいいと思いますが、ぼくも本に書くことには大賛成です。自分の書き込みによって、世界に一冊だけの本が完成するのです。
本を熟読したい場合は?
『本を読む本』では「点検読書」の次のレベルとして、じっくり時間をかけて読む「分析読書」の方法も紹介されています。本の内容を本当に自分の血肉にし、自分の人生におとしこむという読書をしたい方は、参考にしてみてください!
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最後に
以上が『本を読む本』で紹介されている点検読書の概要と実践方法で、ぼくが特に重要だなと思った部分を取り上げました。
一歩一歩読書に磨きをかけていき、有意義な読書ライフを満喫しましょう!
それでは楽しい読書ライフを!
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