佐藤優の効果的な本の読み方【読書の技法】

『読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』佐藤優

現代の知の巨人である佐藤優さんの『読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』 に、効果的な本の読み方を学んでいきたいと思います。

本書では佐藤優さんが実践している、たった5分の超速読から、効率的な速読、さらには本の真髄にせまる熟読まであらゆるタイプの読書術を身につけることができます。

さっそく読書の基本とそれぞれの読書術のやり方を紹介していきましょう!

佐藤優の読書術

佐藤さんの大事な主張は2点です。

  • 読書の要は基礎知識をいかに身につけるか
  • 生涯読むことのできる本の量は決まっている

まず1つ目に関しては、うまい読書をするためには基礎知識が重要ということ。
基礎知識があれば速読、さらには超速読(以下で説明)が可能となります。

2つ目は当たり前のことのようですが、
普段「この本を読んだせいで一生で読めない本が出てくる」なんて考えるでしょうか。

一生と考えると身近に感じられないかもしれないですが、週に1冊読むと仮定して、1年で約50冊しか読めません。

読むべきではない本、自分に必要ない本に1/50をあてがってしまったがために、
出会えていたかもしれない良書に出会えないことだって、あるかもしれないのです。

買った本は全て読むという考えを捨て、
読むべきでない本は「捨てる」べきです。

「せっかく買ってもったいない」という気持ちもわかりますが、
それではあなたの時間のほうがもったいないのです。

以下で紹介する超速読で、熟読するに値しない本は、それ以上時間をかけて読むべきではありません。「捨てる」勇気も必要です。

さてでは、どのように読むべきでない本を捨て、良書と出会うのか。

まず読書の種類には大きく分けて3種類あります。

  • 熟読
  • 速読
  • 超速読

より具体的には、この「超速読」を使って、以下の4タイプに分けます。

  1. 熟読
  2. 速読(ノート作成)
  3. 速読(ノート作成不要)
  4. 超速読に留める

①〜③は読むべき本で、④は「捨てる」べき本ということになります。文字通りゴミ箱に捨てなくとも、あなたの読書リストからは外しましょう。

超速読や速読は誰にでもできるわけではなく、基礎知識が必要となります。「何の努力もせずに読書スピードが○倍になります」という速読の謳い文句は信用できません。速読にもしっかりした裏付けがあるのです。

ではその基礎知識はどう身につけていけばよいのでしょう。

基礎知識は熟読によって身につく

と佐藤さんは言います。

最初はその分野の基礎知識を身につけるため、やはり熟読をしていくしかないでしょう。

そうすれば超速読、速読ができるようになり、本の選別もスムーズにでき効果的な読書の形ができあがります。

読書の好循環
読書の好循環は、熟読で基本知識を身につけ、新たな本で超速読をし、速読するか熟読するかそれとも「捨てる」かを決めます。

ではそれぞれの詳しい読み方を見ていきましょう。

熟読のやり方

読むべき本にも3タイプあって、それぞれ熟読にかける目安時間がこちらです。

  • 「簡単に読み流せる本」わかりやすい新書など 2時間くらい
  • 「そこそこ時間がかかる本」標準的な教養書 1日2時間を1週間ほど
  • 「ものすごく時間がかかる本」語学や数学などの教科書 1年以上

熟読に大事なのは同じ本を3回読むことです。

1回目は線を引きながら読む。

2回目は線を引いたところで特に重要だと思う部分を囲む(この囲みはどんなに多くてもテキストの10分の1の量に留めましょう)。

→さらに囲んだ部分をノートに写す。

→そして囲みの欄外に書き込みを行う。自分の理解を手伝うことならなんでもOKです。
「わからない」「そのとおり」など、とにかく一言でも何らかの自分なりの「判断」を下すことが大事です。

→その判断ができてきたら、次のステップとして、自分の判断に加えて、「意見」も書き込めるようになればなお良いでしょう。

ここで注意点があります。

理解するために抜書きをしているということを忘れないことです。

最初はいいのですが、書き写しているうちに、写すこと自体が目的にすり替わりがちだと感じました。

そして3回目は、もう一度通読します。

ここではまず目次の構成を頭に叩き込んで、結論部分を3回読むことがポイントです。

以上が佐藤優流の熟読術です。はじめはこの熟読による読書で基礎知識を身につけることが多いでしょう。

しかし、知識がついてくると、他の本を読んでいても理解力もグンと上がり、読むスピードも速くなっていくのが実感できるはずです。そして何より知識がつくこと自体、とても楽しいものだと感じます。

超速読のやり方

次は超速読についてです。超速読を行う目的は2つ。

  • 読むべきに値するか判断するため。
    しかしこの判断には基礎知識が必要なので、最初は基本的にふつうに読むことになるでしょう。
  • どこを重点的に読むべきか把握するため。

この超速読のポイントは5分以上かけないと心に誓うこと。ここで理解を深めようとすると、時間がかかってしまい、超速読の意味がなくなってしまいます。

具体的な進め方は、以下の通りです。

  1. まず序文の1ページと目次に目を通す。
  2. ひたすらページをめくる。文字を追わないでページ全体を読む。ビジネス書なら太字などを見る。
  3. 気になる箇所があれば、付箋や大きく丸をつけてあとでわかるようにする。
  4. 最後に結論部の最後のページを読む。

これで全体の印象をつかみ、読むべき箇所の当たりをつけることができます。

やってみた感想としては、ある程度知識がある分野の本でもかなり難しいです。

読むべき場所を見逃してしまう可能性も大いにありますが、どのような情報を取得したいのかが明確になっていれば、精度は高くなると感じています。

いずれにせよ、この5分で全体に目を通す作業は、今から始めてみてもいいかもしれません。

基礎知識がない分野でも全体の構造を事前に理解するだけで、その5分は大きな意味を持つものになるはずです。最初は完璧な超速読を目指さなくてもいいのです。

速読のやり方

最後に速読です。

佐藤優さんの速読術は、本の内容をきれいに記憶するのではなく、頭の中にインデックスを作るために行う読書法です。

この速読のポイントは4点。

1. 基礎知識が必要というのは超速読と変わらない

個人的に一般的なビジネス書など比較的ハードルの低いものは、あまり専門知識が求められないので速読が可能だと感じています。

2. 本の内容を100%理解しようとする「完璧主義」を捨てる

ここでも必要とする情報についての明確な目的意識が必要です。
なぜこの本を読んでいるのか今一度考えましょう。

3. 時間をかけすぎない

速読はあくまで熟読する本の精査を行う手段です。

目安としては400ページの学術書や一般書を30分程度で読む。その後30分かけてノート作成して着実に基礎知識を蓄積する。

この形ができあがれば読書術は完成したと言えるでしょう。ただ、ものによっては30分から2〜3時間かかるものもありますし、最初はもう少し時間がかかるかもしれません。

4. コツはできるだけ早く文字を目で追う

1ページ15秒程度が理想ですが、最初は1分ほどかかってしまうでしょう。

内容を大雑把に理解・記憶し、「このへんを当たればこういう情報が確認できる」
という頭の中のインデックスを作ることが重要である。

読書の基礎知識を身につけるコツ

基本的に基礎知識は熟読によって身につくと先ほども述べましたが、基礎知識をつけるにはどのような本が向いているのでしょう。

ヒントとして、佐藤さんはこのようなことが挙げられています。

あまり上級の応用知識をつけようと欲張らない
高校の教科書レベルがいい

本書ではオススメな本が各分野で紹介されているので、ハズレ本を選ぶのが怖い人はとりあえずこのオススメから読んでみてもいいかもしれません。

読書で知識を身につけることがゴールではない

読書の最終目的は知識を身につけることではありません。その知識を使って、現実の世界ひいては自分の人生にどのように還元するかです。

世の中の出来事を自分の言葉で説明できることが重要です。

よく「知ってる」と「できる」は違うと言いますが、説明「できる」ことが大事なのです。

読書の目的を明確にする

そもそも読書の土台には、その本を読む目的を持つことが非常に重要だと言えます。

超速読や速読の項目でも言ったように、どのような情報が欲しくてその本を読むのか考えるべきです。

ついでにと周辺知識をよくばらないことです。そういう形もアリかもしれませんが、効果的に知識を得たい場合はピンポイントで狙いにいきましょう。

テーマ別に本を読む

佐藤優さんの熟読→超速読→速読OR熟読という読書のスパイラルを効率良く形成するためには、この「テーマ別読書」が鍵になります。

本屋に行くと面白い本がたくさんあって、ついあれもこれもと買ううちに、テーマに一貫性がない場合が多々あります。

多分野の本を読む事自体はいいことですが、特に理解を深めたいテーマがある場合は同テーマの本をまとめ買いして、一気に固め読みしたほうが効率的です。同分野の知識が貯まっていくと、その分野の本の理解度や読むスピードが上がることは自然なことですよね。

最後に

生涯読める本の数は限られているので、大事な本に費やす時間を増やしましょう。それ以外の本は超速読ではじいてしまいます。

超速読をするには基礎知識が必要なので熟読で基礎知識を身につけましょう。

そして読書で知識を身につける目的は現実世界でアウトプットするためです。

これが佐藤さんに学ぶ読書の基本です。

本書を読んでから、ぼくはこの超速読で本をふるいにかけ、熟読するか速読するかを決めています。まさに一生使える読書術であり、大事な読書の姿勢が学べる一冊です。

『読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』に早めに出会えてよかったと、心底思っています。

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