忙しい人のための時間術『自分の時間』

自分の時間

突然ですが、みなさんは「時間」について深く考えたことはありますか?

「最近忙しい」

「1日25時間あったらなぁ」

「どうすれば時間を有効活用できるだろう」

などと時間が不足していると感じる人も多いかもしれません。

そんな風に感じている人にとっては、いろんなものが便利になってきているこの時代でも、時間というのはいくらあっても多すぎるということはありません。スマホ、ハイテク家電、タクシー、新幹線、その他便利なサービスや商品はたくさんあります。

しかしそんな便利なサービスや商品のおかげで、僕たちの生活にゆとりが生まれているか?と聞かれれば、「う〜ん」と答えざるをえないでしょう。むしろ、余裕のある時間などなくて、わずかなすき間時間でさえも、動画やアプリ、SNSなどスマホによってびっちり時間が使われているはずです。

あなたも「時間があれば読書をしたいな」などと新しい何かを始めたいという思いを持っているにもかかわらず、「今は忙しくてできないのはしょうがないな」と実現できずにいることを持っているはずです。一方で、どんなに忙しそうに見えても、うまく時間を活用している人もいます。つまり、「忙しいと思って、何もできずにいる」のはあなたに原因があるかもしれません。

なぜなら、「時間は誰しも平等に、1日に24時間与えられている」からです。

時間に対する意識を変え、自分のための時間を確保し、なんのためにその時間を使うかということが書かれた本が、『自分の時間』です。

このアーノルド・ベネット著の『自分の時間』は元々は1908年に出版され(正確には最初は雑誌に掲載)、20世紀を超えて21世紀の今でも読まれ継がれてる名著です。

『自分の時間』はどんな内容?

著者のアーノルド・ベネットは、時間は1日24時間平等に与えられていることを改めて主張します。日々忙しい中で「自分の時間」が不足している人、仕事以外にも何かやりたい人などの立場に立って、時間の認識を変える必要性を教えてくれます。時間とお金の関係性、限られた24時間という枠をいかに上手く活かすか、思考を集中する方法など、いつの時代にでも活用できる知恵が詰め込まれた一冊です。

忙しい人のための時間術

仕事をしている人、学業に専念している人、家事や育児に励む人、どのような人にも言えることですが、このままの生活でいいのだろうか?と不安に思っている人は多いと思います。変化が激しいこの時代で、「これをやっていれば間違いなく安心だ」ということは何もありません。だからこそ、何か新しいことをはじめたいと思っている人は多いのではないでしょうか。そして、いつもこんなことを思いつくのではないでしょうか。

「もう少し時間ができたら、あれを変えてみよう」と。
そして著者はこんな風に言います。
しかし、もっと時間ができるわけなどない。われわれには今あるだけの時間しかなく、それはいつだって変わらないのだ。
真実だからこそ、胸が痛む言葉です。時間を増やすことはできません。しかし本当に24時間をフル活用できているんでしょうか。本書は、自分の時間への価値観を180°ガラッと変えられてしまう可能性すらあります。僕も『自分の時間』を読んで、あっけにとられたのを覚えています。以下のような考え方は、当たり前なようで意識できていなかったことです。
朝、目覚める。すると、不思議なことに、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしり詰まっている。

誰にでも、使われていない時間が用意されているのです。そうは言っても、仕事や学校もあるし、やらなければいけない家事や予定もあるし、と思うかもしれません。たしかに24時間をそのまま自分の好きなように使うのは難しいかもしれません (睡眠を除けば、やろうと思えばできると思いますし、そうやって生きている人もいるでしょう)。しかしその中で数時間、「まっさら」で「自分だけの」時間を作り出すことはできます。

本書では誰でも実践できる時間術が紹介されていますが、ここでは特に印象的な方法を一つ紹介します。

頭の中に「内なる1日」を作る

自分のための時間を作り出すとしたら、仕事などを除いた朝と夜ということになります。早起きするというのが一般的に言われる方法ですよね。たしかに7時起きしている人が6時起きにするだけで、新たな1時間が生まれます。

しかし本書ではもう少し根本的に時間への意識を変えさせてくれます。もし時間が上手く活用できていない理由が「仕事が忙しくて朝も余裕ないし、夜も疲れているから何もやる気が起きない」ということだったとします。というか、ほとんど似たような理由かもしれません。朝10時から夕方6時まで仕事の人を例に、著者はこう言います。

朝10時から夕方6時までの勤務時間があくまで本当の意味での「1日」だとみなし、勤務時間の前の10時間とあとの6時間は、単なるプロローグとエピローグに過ぎないと思っている。

しかし、「勤務時間の前の10時間とあとの6時間」も紛れもなくあなたの人生です。つまりこの16時間を新たな1日という認識をすることで、頭の中に「内なる1日」をつくるということが重要です。

この仕事に行く前も、終わった後も、紛れもなくあなただけの時間なのです。寝る時間もあるし、通勤時間などもあるので、まるまる16時間が自由なわけではありませんが、一部は完全に自由なわけです。

ではどのくらいの時間を有効活用すべきかというと、本書で提唱するのは、「週3回の夜の90分」です。人によっても変わってくると思いますが、仕事から帰ってきて、週3回でいいので、1時間半を確保するというのは結構多くの人が現実的にできる範囲なのではないでしょうか。

「週3回の夜の90分」を、1週間の全時間の中で、最も重要な時間になるようにしてもらわなければならない。
何がなんでも確保しなければならない。

この「週3回の夜の90分」だけは徹底して守るのです。その中で何をするかは、読書でも勉強でも趣味でも、自分の未来につながるようなことならなんでもいいと思っています。忙しいな、疲れたなと漠然と感じている人も、この言葉としっかり向き合ってみてください。

「夕方6時に、あなたはまだ疲れているわけではないのだ」という事実を直視し、受け入れるということだ(事実、あなたは疲れてはいないのだから)。

さて、今回は夜の時間を紹介しましたが、もちろん朝の時間も同じくらい重要です。1日全体を変えたいという方はぜひ本書『自分の時間』を読んでみてください!

明日からはじめよう!

本書『自分の時間』から学ぶべき、明日からはじめられる行動内容は、

寝る前の90分間を確保し、自分が時間を使いたいことをリストアップする

です。今後「週3回の夜の90分」を習慣にすることが重要ですが、まずは確保した時間を使って何をやりたいかを一度洗い出してみましょう。こういった「自分と向き合う時間」というのは非常に重要なのです。まずは1日でいいので、90分を確保してみましょう。スケジュール帳に「自分の時間」を約束してしまってもいいでしょう。

他にも学べること

□集中力を高める方法

□絶対に邪魔されない時間の作り方

□もっとも効果的な読書法

etc.

「自分の時間」を増やしていけば、24時間がどんなに貴重で、有益なものかを実感するはずです。もう、何もしていなかった自分には戻れないでしょう。『自分の時間』は、薄めの本で文字も少なめなので、さらっと読めてしまいます。にもかかわらず、今後の人生でずっと役に立つ考え方が書いてあります。時間術に関する本の入門としては最適なので、興味のある方にはかなりおすすめです。