『論語』に学ぶ。現代を生き抜く孔子の名言14選

論語 (岩波文庫)

日本でも江戸時代などで教科書的な存在だった孔子の『論語』は、世界的にも類を見ないほどの古典ん的名著です。2000年以上も前に誕生した『論語』ですが、現代まで長期に渡って読まれ続けるには理由があります。

激動とも言える変化の時代において、ぶれることのない普遍的な教えを学ぶことは何より重要となっています。ここでは現代に生きるぼくたちにとって孔子の教えが応用しやすいように、3つのテーマに区切って『論語』の名言を紹介します。

『論語』には複数の現代語訳がありますが、以下で紹介する読み下し文と現代語訳は岩波文庫の「金谷治 訳注」から引用しています。

目次

『論語』とは

孔子『論語』
『論語』(Commentaries of the Analects of Confucius, composed by He Yan in Cao Wei and published in Ming Dynasty © AlexHe34)

『論語』は中国春秋時代の思想家・孔子の言行録が弟子たちによって編纂された古典です。『論語』として誕生した明確な時期は不明ですが、孔子が死没が紀元前479年であり、その後弟子たちの間で孔子の言葉を集めて完成したのが紀元前2世紀前後と見られています。

20編にわたり構成される言葉の数々は断片的なもので、短い言葉の集まりのような形をなしています。『論語』は古代中国の大古典「四書」(他『大学』『中庸』『孟子』)のひとつでもあり、崇高な著作ですが、孔子の言葉は人間的で日常的だと言えます。

現代でも多くの人々に共感を得る理由は、まさにその人間的な身近さと本質的であるがゆえの簡潔さにあります。

テーマ1. ぶれない人格形成を助ける『論語』名言集

名言① 君子は諸れを己れに求む。小人は他人に求む。

現代語訳:君子は自分に(反省して)求めるが、小人は他人に求める。

巻第八 衛霊公第十五

名言② 疏食を飯い水を飲み、肱を曲げてこれを枕とす。楽しみ亦た其の中に在り。

現代語訳:粗末な飯をたべて水を飲み、うでをまげてそれを枕にする。楽しみはやはりそこにもあるものだ。

巻第四 述而第七

名言③ 子、四を絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし。

現代語訳:先生は四つのことを絶たれた。勝手な心を持たず、無理おしをせず、執着せず、我を張らない。

巻第五 子罕第九

*先生(孔子)についての弟子の記録

名言④ 知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず。

現代語訳:智の人は惑わず、仁の人は心配がなく、勇の人は恐れない。

巻第五 子罕第九

名言⑤ 君子に九思あり。視るには明を思い、聴くには聡を思い、色には温を思い、貌には恭を思い。言には忠を思い、事には敬を思い、疑わしきには問いを思い、怒りには難を思い、得るを見ては義を思う。

現代語訳:君子には九つの思うことがある。見るときにははっきり見たいと思い、聴くときにはこまかく聞きとりたいと思い、顔つきにはおだやかでありたいと思い、姿にはうやうやしくありたいと思い、ことばには誠実でありたいと思い、仕事には慎重でありたいと思い、疑わしいことには問うことを思い、怒りにはあとの面倒を思い、利得を前にしたときは道義を思う。

巻第八 季氏第十六

テーマ2. 己の成長につながる『論語』名言集

名言⑥ 我れは生まれながらにしてこれを知る者に非ず。古えを好み、敏にして以てこれを求めたる者なり。

現代語訳:わたくしは生まれつきものごとをわきまえた者ではない。昔のことを愛好して一所懸命に探求している者だ。

巻第四 述而第七

名言⑦ 学んで思わざれば則ち罔し。思うて学ばざれば則ち殆うし。

現代語訳:学んでも考えなければ、(ものごとは)はっきりしない。考えても学ばなければ、(独断におちいって)危険である。

巻第一 為政第二

名言⑧ 力足らざる者は中道にして廃す。今汝は画れり。

現代語訳:力の足りないものは(進めるだけ進んで)中途でやめることになるが、今お前は自分から見きりをつけている。

巻第三 雍也第六

名言⑨ 譬えば山を為るが如し。未だに一簣を成さざるも、止むは吾が止むなり。譬えば地を平らかにするが如し。一簣を覆すと雖ども、進むは吾が往くなり。

現代語訳:たとえば山をつくるようなもの、もう一もっこというところを完成しないのも、そのやめたのは自分がやめたのである。たとえば土地をならすようなもの、一もっこをあけただけでも、その進んだのは自分が歩いたのである。

巻第五 子罕第九

名言①⓪ 過ちて改めざる、是れを過ちと謂う。

現代語訳:過ちをしても改めない、これを(本当の)過ちというのだ。

巻第八 衛霊公第十五

テーマ3. 信用を得るための『論語』名言集

名言①① 君子は人の美を成す。人の悪を成さず。小人は是れに反す。

現代語訳:君子は他人の美点を(あらわしすすめて)成しとげさせ、他人の悪い点は成り立たぬようにするが、小人はその反対だ。

巻第六 顔淵第十二

名言①② 君子は言に訥にして、行に敏にならんと欲す。

現代語訳:君子は、口を重くして、実践につとめるようにありたいと望む。

巻第二 里仁第四

名言①③ 君子の道四つ有り。其の己れを行うや恭、其の上に事うるや敬、其の民を養なうや恵、其の民を使うや義。

現代語訳:君子の道を四つそなえておられた。その身のふるまいはうやうやしく、目上に仕えるにはつつしみ深く、人民を養なうには情け深く、人民を使役するには正しいやりかたということだ。

巻第三 公冶長第五

*子産という鄭の名宰相についての孔子の言葉

名言①④ 仁者は難きを先きにして獲るを後にす、仁と謂うべし。

現代語訳:仁の人は難しい事を先きにして利益を後のことにする、それが仁といえることだ。

巻第五 子罕第九

まとめ

『論語』中の孔子の言葉はどれも頷けるものが多いと感じたのではないでしょうか。仕事においても家庭においても大切な価値基準は変わりません。やや抽象的な言葉も解釈は自分次第であり、自分の価値観と孔子の価値観を比較した上で自分はどうすべきかを考えることが何より重要です。

『論語』の教えを一つずつ自分の頭の中で咀嚼し、日々の行動に反映させていけるように心がけたいものですね!

それでは楽しい読書ライフを!

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