【睡眠の質を上げる方法】夜にやるべき4つのことと朝にやるべき4つのこと

睡眠の質を高める方法

睡眠について真剣に考えたことはありますか?

人生の3分の1の時間を占める睡眠は言うまでもなく重要なものですが、意外と意識的に睡眠について学ぶ人は少ないように思えます。しかし睡眠について正しい知識を持ち、睡眠の質を高めることができれば人生を通して多くのメリットを享受することができます。

ここでは、睡眠医学の総本山であるスタンフォード大学で30年間研究をしてきた西野精治さんの『スタンフォード式 最高の睡眠』を通して、誰もが知っておくべき睡眠に関する正しい基礎知識睡眠の質を上げる方法を紹介していきたいと思います。

以下で紹介する睡眠の質を高める方法は、ぼくが実際に試して効果があったと思うものに絞って厳選したものです。朝8時までベッドの上でだらだらし、日中も慢性的に眠気があったぼくが、朝5時台には気持ちよく目覚めるようになりました。昨年リモートワークをしながら、読書150冊、ブログ150記事を達成できたのも睡眠の質の向上が大きく影響しています。

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習慣化のコツ

これほど重要な睡眠について知らないわけにはいきません。それではさっそく見ていきましょう。

最高の睡眠とは?

ぐっすり寝ている子ども

世界最高峰の睡眠医学者の西野精治さんは『スタンフォード式 最高の睡眠』中で「最高の睡眠」についてこのように定義しています。

「脳・体・精神」を最高のコンディションに整える、「究極的に質が高まった睡眠」

最低でも6時間以上眠ることがベストだと主張しつつも、睡眠は量ではなく質が重要ということがわかります。そしてこの睡眠の質を決めるのが、眠り始めの最初の90分間だと言います。

本書では最初のノンレム睡眠を「黄金の90分」と呼びます。この「黄金の90分」の質を最大限に高める方法を後ほど具体的に紹介していきます。

レム睡眠・ノンレム睡眠について

レム睡眠・ノンレム睡眠について簡単におさらいしておきましょう。レム睡眠とはRapid Eye Movementの略で、閉じたまぶたの裏で眼球が動いている状態を指します。ノンレム睡眠はレムのない状態、つまり脳も眠っている状態を指します。

レム睡眠→脳は起きていて体が眠っている

ノンレム睡眠→脳も体も眠っている

どちらも役割がありますが、睡眠の質を上げる上で鍵となるのが、脳や肉体の疲労回復に決定的な影響を与えるノンレム睡眠です。

睡眠負債について

睡眠が足りていない、言わば慢性的な寝不足の状態を睡眠医学では「睡眠負債」という言葉で表します。まさに睡眠の「借金」です。

そして睡眠負債と関連づけて語られるのが、「寝だめ」です。平日の寝不足を休日にたくさん寝ることで補おうとする人もいるのではないでしょうか。しかし、寝だめには睡眠不足解消の効果はありません。

睡眠負債を抱えてしまうと、それを清算するにはより多くの時間がかかってしまいます。例えば、40分の睡眠負債を解消するには、毎日14時間ベッドにいるのを3週間続ける必要があるそうです。

ちょっと無理な生活をして睡眠不足が生じるのは、とても割りにあったものとは言えないことがわかると思います。

睡眠の主な役割

眠る女性

睡眠の質を高める上で、睡眠が何をしてくれるかということも最低限理解しておく必要があります。大きく分けて睡眠の役割は5つです。

睡眠の役割① 脳と体が休息する

当たり前のことですが、生きていく上で睡眠が欠かせないのはこの脳と体に休息をくれる点にあります。常に働いている自律神経は以下の2つに分かれます。

・交感神経 (活動モード)

・副交感神経 (リラックスモード)

ノンレム睡眠中にはリラックスモードの副交感神経が優位になるので、脳と体が回復していくのです。

睡眠の役割② 記憶を整理する

記憶を整理して定着させるのも睡眠の重要な役割です。レム睡眠中はエピソード記憶 (いるどこで何をしたか)が固定されます。入眠初期や明け方の浅いノンレム睡眠中には体で覚える記憶 (意識せずに覚えられるもの)が固定されます。

大切なのは記憶の定着だけでなく、黄金の90分にはイヤな記憶を消去してくれる点にもあります。

睡眠の役割③ ホルモンバランスを調整する

良い睡眠はホルモンバランスの調整、ひいては生活習慣病の改善にもつながります。黄金の90分にはグロースホルモン (成長ホルモン)が最も多く分泌し、代謝が正常化するなどの効果をもたらします。

睡眠の役割④ 免疫力を上げる

ホルモンと免疫は深い関わりを持ちます。良い睡眠を取ることで、免疫力が上がり病気を遠ざけてくれるのです。

睡眠の役割⑤ 脳の老廃物を取り除く

睡眠中は新しい脳脊髄液が出て、古いものが排出されると同時に脳の老廃物も一緒に排出されます。脳の老廃物がしっかり排出されないと、アルツハイマーを引き起こすなどの危険性があります。

「黄金の90分」の睡眠の質を上げる方法

ここからはいよいよ睡眠の質の全てを決定すると言っても過言ではない「黄金の90分」の手に入れ方を紹介していきます。夜に気をつけるべきことと朝・昼に意識してやるべきことに分けて解説していきます。

すぐに実践できることばかりですので、ぜひこれを読んだ今日から始めてみましょう。

夜すべきこと① 毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きる

目覚まし時計

睡眠の質を高める上で最も重要なのが、就寝時間と起床時間の固定です。仕事や家庭の事情でなかなか同じ時間に寝たり起きたりできないという方もいるでしょう。しかしできる限り毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるということを意識することが何より大切です。

できれば23時くらいには寝ると良いと言います。

夜すべきこと② 睡眠中は体温を下げる

バスタブで入浴を楽しむ女性

質の良い睡眠に必要不可欠なのは、ほどよい体温の放出です。体温は体の内部の「深部体温」と手足の温度「皮膚体温」に分かれます。通常は深部体温の方が皮膚体温よりも2℃ほど高い状態にあります。入眠前にこの差を縮めることが、睡眠の質を上げる鍵となります。

深部体温をうまく下げる具体的な方法を3つ紹介します。

1. 入浴

入浴は深部体温に直接影響を与えることができる貴重な方法です。上がった分だけ下がろうとする深部体温の性質を利用して、入眠時に深部体温を下げるのが狙いです。

目安として、40℃のお風呂に15分入ると0.5℃ほど深部体温が上昇し、0.5℃上がった深部体温が元に戻るまで約90分かかるそうです。つまり寝る時間の90分前くらいに入浴を終えておけば入眠時には最適な体温に調整されるのです。

2. 足湯

足湯は足の血行を良くすることで熱放散を促し、深部体温を下げる効果があります。入浴して寝るまで90分も待つ時間がない人には足湯がおすすめです。

靴下を履いて足を温めるのも、足湯に似た効果があります。しかし履きっぱなしで寝るのではなく、靴下を脱いで熱放散させてから眠りにつきましょう。寒いからといって靴下を履いたまま寝たり、厚着をしたまま寝るとうまく熱放散されずに深部体温が下がらないので注意しましょう。

3. エアコン

エアコンなどで室温を調整するのも手軽でおすすめです。適温は個人差がありますが、温度が高すぎると汗をかいて体温が下がりすぎて風邪をひく恐れがあります。逆に室温が低すぎても血行が悪くなり熱放散もされません。

脳を休ませるためには温度は低めの方が好ましいそうですが、自分の快適な温度で眠りにつきましょう。エアコンには「おやすみ機能」があるので、うまく活用したいですね。

夜すべきこと③ いつもどおりの状態を保つ

コーヒーと暖炉でくつろぐ様子

夜は副交感神経優位な状態に切り替え、リラックスして眠る準備が必要です。なるべく変化が少ないよう、「いつもどおり」な環境を維持することが安定した入眠のポイントです。

仕事などで興奮した脳を早めにクールダウンさせます。何も考えない状態が理想ですが、それはとても難しいのでリラックスして楽しめる娯楽を取り入れてもいいでしょう。読書やテレビが寝る前の習慣になっているなら、無理にやめる必要はありませんが、「退屈な」ものを見るのも一つの方法です。

夜すべきこと④ トマトとお酒を活用する

ウイスキー

トマトは体温を下げる効果があると言われているので、冷やしトマトが最適でしょう。

また、アルコールは少量であれば睡眠の質を下げないどころか寝つきが良くなると言われています。過度に摂取すれば睡眠の質を大きく低下させますが、少量 (日本酒換算1~1.5合)ならば問題ありません。1合程度なら寝る100分前に飲むと、寝つきが良くなると言います。

朝すべきこと① 太陽の光を浴びる

朝日が昇る丘

睡眠において朝最も大事なポイントが、太陽の光を浴びることです。光を浴びることで、眠りを促すホルモン・メラトニンの分泌を抑制することができます。窓を開けて太陽の光を浴びることで、覚醒が促されます。雨や曇りの日でも光の成分は脳に届くので、毎日日光を浴びる意識を持ちましょう

また、24時間ちょっとに設定されている体内時計をリセットするなど太陽光を浴びるメリットは計り知れません。この覚醒が夜の良い睡眠にもつながるのです。

朝すべきこと② アラームは2回かける

目覚まし時計のアラームを止める

アラームは20分間隔で2回設定しましょう。7:00に起きたいなら7:00と6:40にセットします。朝はレム睡眠の時間が長くなっているし、20分前後でノンレム→レムに切り替えがされています。

1回目は微音で短く設定し、レム睡眠中なら問題なく目覚めることができます。仮に最初のアラームで起きれなくても、20分後にはノンレム睡眠からレム睡眠に切り替わっているはずなので2回目で無理なく起きれるでしょう。

朝すべきこと③ 裸足で床を歩く

ビーチにて裸足の2人

朝起きたら裸足で床を歩き、脳の「上行性網様体」を刺激することで意識が覚醒します。皮膚体温を下げることで、朝に上昇している深部体温との差を広げることができ、より明確な覚醒に近づきます。

同様に手を冷たい水で洗うのも、皮膚体温を下げる効果があるのでおすすめです。

朝すべきこと④ 朝食をとる

朝食とコーヒー

朝食をしっかりとることで体温が上昇し、1日の生活リズムも調節されます。また食べ物を咀嚼することで三叉神経から脳に刺激が伝わるので、覚醒を促してくれます。

またコーヒーも活用すべき飲み物です。カフェインは基礎代謝を上げ、覚醒モードに体を切り替える役割があります。紅茶や緑茶にもカフェインが含まれています。注意すべき点は夜はカフェイン摂取は控えることです。血中のカフェイン濃度は半分になるまで約4時間ほどかかることも頭に入れておきましょう。

良い睡眠のために注意点

暗闇でスマホを操作する男性

睡眠の質を下げないために避けたいポイントもいくつかあります。その重要な注意点も意識しましょう。

睡眠の注意点① 夜はスマホやパソコンを断つ

スマホやパソコンから受ける脳への刺激は、脳のリラックスを阻害します。特にスマホを手放すのは現代人にとってとても難しいことですが、寝る1時間前、30分前だけでもスマホを触らない時間を作りたいものです。ブルーライトの影響よりむしろ、操作することによって受ける刺激を避けるのが目的です。

睡眠の注意点② 「明日早起きするから早く寝よう」は危険

翌朝早起きする必要があるから早く寝るという考えは少し危険です。前述した通り、睡眠の質を高く保つには就寝時間を固定することが重要です。

いつも寝ている時間から2時間前までを「フォビドンゾーン (睡眠禁止ゾーン)」と呼びます。いつも0時に寝ているなら22時からは寝づらい時間帯ということです。

早起きする必要がある場合、早く寝るよりも、いつも通りの時間に寝て、早起きをがんばるほうが睡眠の質を考える上では重要です。

睡眠の注意点③ 夕食を抜くのは危険

夕食は適度に食べることが睡眠の質を上げるためには必要です。夜遅くに食べるのは悪影響ですが、夕食を食べないと、オレキシンの分泌が促進され食欲増大、覚醒につながります。交感神経が活発化し体温上昇も引き起こしてしまいます。夕食は適量、早めの時間帯にとりましょう。

睡眠の注意点④ 夜の強い光は避ける

朝は太陽光などを浴びる重要性を強調しましたが、夜は強い光を避けましょう。例えばコンビニなどの強い光を長時間浴びると、眠りを促すメラトニンの分泌が阻害されてしまいます。部屋の光も寝る時間が近くと同時に、暗くしていくのが理想です。

まとめ

ベッドで睡眠中の女性

以上が睡眠の質を上げるための方法です。特別な準備もなく、すぐに始められる内容だとわかっていただけたのではないでしょうか。

何より就寝時間、起床時間を含む生活リズムの一定化、体温と光のコントロールが何より睡眠にとっては大切な要素です。眠り始めの「黄金の90分」を手に入れるために、ぜひ夜と朝にできることを一つずつ実践してみましょう。

睡眠の改善は生活全体を劇的に変化させてくれます。試してみて損はないはずです!

今回紹介した西野精治さんの『スタンフォード式 最高の睡眠』は、ぼくが読んだ睡眠関連の本で最もわかりやすく説得力のあるものでした。結果的に効果を検証できたわけですが、この一冊で今後の人生に大きな影響を与えてくれると言える本です。気になる方はぜひご一読してみてはいかがでしょうか。

それでは楽しい読書ライフを!

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