コンテンツをヒットさせる新しい法則【前田裕二×箕輪厚介対談】

前田裕二の禰豆子のマネ

『メモの魔力』2周年記念対談 前田裕二×箕輪厚介 (2020年12月24日)

2018年12月24日に誕生した前田裕二著『メモの魔力』の発売2周年記念として、2020年12月24日に前田裕二×箕輪厚介の対談イベントが配信されました

「新時代のヒットの生み出し方」というメインテーマとともに、前田さんと箕輪さんの2020年の振り返り今後の予定などを話し合う濃密な1時間でした。そのお話を「前田サンタからのクリスマスプレゼント」と称して4つにパッケージングしたものを書き残します!

クリスマスプレゼント① 2020年の漢字一文字総括

前田裕二と箕輪厚介の対談
相変わらず仲良さげな2人を見ているとほっこりします。

対談の冒頭で箕輪さんから「今年を漢字一文字で表すなら?」という質問を受けた前田さんは、少し悩んだのち「戦」という漢字を選びました。

前田さんにとって2020年の最大の出来事はバーティカルシアターアプリ「smash.」のリリースだったそうです。コロナという予期せぬ事態があったにも関わらず、無事リリースにこぎつけました。毎年ビジネスの世界で戦ってはいるが、かけたお金の規模など今年が一番激しい戦だったらしく、武者震いの「震」でもいいかなと悩んでいました(しかし、地震を連想してしまうので却下)。

また前田さんや『メモの魔力』の周りを囲むメモ魔コミュニティの温かさがまるで家族のようで、そのような関係性がコンテンツヒットの鍵だとして、「家」も今年の漢字候補の一つになりうるとのことでした。

ちなみに箕輪さんの2020年の漢字一文字は「春」。すごく清々しい漢字ですが、その心は、、、御察しの通りかと。ぼくとしてはサウナで整いまくってた今年は「整」とかいいのでは?と思ってしまいましたが、やはりそれを上回るバズーカのインパクトだったのですね。。。

クリスマスプレゼント② 今後のコンテンツヒットの法則

対談中もひたすらメモを取る前田裕二
ヒットの法則を語りつつも、ひたすらメモを取り続ける前田さんは平常運転。

この「今後のコンテンツヒットの法則」こそが、今回の対談のメインテーマであり、誰にとっても役立てることができる有益な情報です

まず箕輪さんが考える現状は、コンテンツをヒットさせるためにはコミュニティ作りが欠かせないというのはコロナ前と変わっていません。本を出して終わりではなく、『メモの魔力』の周りにコミュニティが発生し、「読者ー前田さん」という縦の繋がりだけでなく「読者ー読者」という横の繋がりができているように。

そのような環境を作る第一歩はリアルで会うことで踏み出せると箕輪さんは考えます。しかしコロナの状況下ではリアルでイベントを開いたりするのが難しくなってしまいました。なのでコンテンツをヒットさせるためのコミュニティ作りは今難しくなっていると箕輪さんは分析していました。

一方で前田さんはコロナがあったからこそ判明した新しいヒットの法則もあるのだと話していました。例として上がったのは、今年リアルなイベントなど一切なしで流行したグループ「NiziU」。「NiziU」や今年ヒットしたものには共通して見られる点が3つあると言います。

ヒットの秘訣1. 語る場と「チケット」がある

リアルでもSNS上でも、そのコンテンツについて語る場が必要ということ。これはコロナ以前も同じだったかもしれません。しかし今より顕著になっているのは「チケット」の重要性です。例えば『メモの魔力』もそうです。普通の会話の中で「抽象化が〜」「転用が〜」という話が出てくるのは『メモの魔力』を読んでいるからで、読んだことがない人は一般的な会話における「抽象化」「転用」という言葉の意味がわかりません。

前田裕二の禰豆子のマネ
「鬼滅の刃を読んでいなければ、おしぼりをこうやっても何のことかわかりませんよね」と禰豆子のマネをする前田さん。かわいすぎ。

つまり『メモの魔力』という本が、その会話やコミュニティに入るための「チケット」になっているのです。NiziUもスッキリを見ていた人が「マユカがさ〜」みたいな会話をできるわけです。知らない人も「なにそれ面白そう」「同じ話で盛り上がりたい」とNiziUのコンテンツを見にいくようになるということですね。

ヒットの秘訣2. キャズムラインまで力技でもっていく

まず前田さんの話の前に、キャズムラインという言葉の解説を簡単に(厳密に知りたい方はググってみてください)。キャズム理論というマーケティングの用語があり、プロダクトがヒットする過程は大きく5つに分けられるというものです。今年ヒットが爆発的となった「鬼滅の刃」で説明するとこんな感じでヒットになったと考えられます(あくまでぼくの個人的分析です)。

①イノベーター=毎週少年ジャンプを読んでいるコアな漫画好きが「なんか面白い漫画見つけたぞ」と一部で話題に。

②アーリーアダプター=「なんか面白い漫画あるらしいぞ」と漫画好きに幅広く知れ渡る。アニメ化も決定してメディア露出も増えはじめる。

③アーリーマジョリティ=「アニメのクオリティがすごいらしい」と漫画好き以外の人にも知れ渡る。Netflixへの配給などでより幅広い層に定着。

④レイトマジョリティ=「すごい映画がやってるみたい」と漫画やTVアニメシリーズで見たことがない人たちまで反応。親の影響で見始めた子どもや学校の話題であがるために見る子達も増える。

⑤ラガード=興行収入1位を塗り替えると話題になり「どれどれどんなもんか」と特別な興味はないが見に行く。

この②と③の間にあるのが前田さんの言う「キャズムライン」です。とりあえず感度が高い人に刺さるようなコンテンツを作り、その認知を広げていくというプロセスが重要になります。

まず「NiziU」の場合は地上波の帯番組「スッキリ」であれだけ大きく取り上げられました。これは「偶像」側のアクションであり、箕輪さんが言うところの「空中戦」です。一方でテレビや本などのメジャー流通に乗せて、まずは力技でキャズムラインを超えるということです。

「鬼滅の刃」も少年ジャンプという最も売れる漫画誌に連載されたという点がキャズムラインを越えた大きな要因でしょう。『メモの魔力』も「アナザースカイ」や「しゃべくり007」に前田さんが出演してから、また一段と認知度が高まった印象です。

ヒットの秘訣3. エモを生み出す

今後コンテンツをヒットさせるためには「エモさ」の意識が不可欠だと言います。この「エモ」を生むためには以下の3つの要素が必要です。

① プロセスを見せる

NiziUの場合、デビュー前の様子を徹底的にコンテンツ化しました。スッキリで流されていたオーディションまでの様子は全てプロセスそのものでした。デビューしたアイドルがステージ上でいきなりライブをしても、今の時代はなかなかファンはつきにくいでしょう。

箕輪さんが出した格闘家の例もそうでしょう。今まではリング上での試合が全てだった格闘家ですが、今ではYouTuberとなり、彼らの生活そのものがコンテンツ化しています。

このようにプロセスを見せることで身近に感じ、ステージ上、リング上での偶像性がより際立つのがポイントです。「身近と偶像の幅を揺さぶる」ということが今後のキーワードになるでしょう。

② 意図的に感情を揺さぶる

コロナ発生後、人の感情はふれやすくなっていると前田さんは分析します。そこを意図的に狙うことでファンの琴線に触れるのです。J.Y. Parkの言葉やメンバーが経験する悔しさなど、人が感動できるように編集されていた点がNiziUヒットに大きく貢献したと言います。

③ 継続性

そして「エモ」を生み出すために欠かせない最後のポイントが継続性です。NiziUが長期的にスッキリにて取り上げられていたことで、視聴者はメンバーたちをより身近な存在として認識するようになりました

「○○ちゃんがんばれ」というように身内を応援するかのように見ていた人も少なくないでしょう。一度のライブやテレビ出演だと、これほどの身近さを感じることが難しいのです。継続して見せることで身近に感じてもらい、次にステージに立つときに見る偶像性とのギャップはとても大きなものになります。この「身近と偶像の幅」が大きいほど、ファンが感じる魅力も大きくなるのです。

クリスマスプレゼント③ 前田さんに関するニュース

前田裕二が語る梨泰院クラス
写真は梨泰院クラスのパク・セロイのクセの真似をする前田さん。かわいいかよ。

続いて前田さんに関する大きなニュースが2つ発表されました。

1つ目がメモ魔塾の今後についてです。以前から前田さんのオンラインサロン「メモ魔塾」をいくつかのグループに分けたいと言っていた前田さん。来年には以下のような3つのグループに分ける予定だと言います。

これまで通り無料のまま残すもの(もっとゆるくしたい)

有料(1000円付近?価格はまだ未定)にして熱の高い人向けに、前田さんのメモなどが読める。質の高いインプットに特化

さらに熱量の高い人向けに有料に(②よりも値段設定を高く)して、少数精鋭でアウトプットの場を作る。ゼミのように前田さんがゴリゴリにフィードバックしていくイメージ。

自分のニーズに合ったものを選べるようになって、メモ魔にとっては嬉しいニュースですね!

2つ目のニュースが、年明けか来春に「前田さんがテレビで泣く」というものです。詳しい情報は公開できないとのことでしたが、前田さんのTV初泣きが見れる日も遠くないということですね。気になる。。。

クリスマスプレゼント④ メモの魔力の近況

『メモの魔力』の近況もメモ魔にとって気になるニュースですよね。2020年に『メモの魔力』はどれくらい売れたのかと、100万部に向けた新しい施策が発表されました。

日販が発表した「2020年間ベストセラー(集計期間:2019.11.24~2020.11.23)」のビジネス書部門で『メモの魔力』はなんと、6位!!

日販の2020年間ベストセラーランキング ビジネス書部門
日販の2020年間ベストセラーランキング ビジネス書部門 (出典:日本出版販売株式会社 公式HPより)

2018年に発売された本なのにもかかわらずです!今年のビジネス書ランキング上位10冊のうち、8冊が既刊のものらしいのです。箕輪さんは、ビジネス書は都心で売れたものが時間をかけて地方でも売れると分析。メモ魔コミュニティの力も大きく貢献しているのでしょう。

さらに今後100万部を達成するための施策として「メモ魔ドリル」を出版する予定とのことです。主に小学生を対象として、彼らが憧れるYouTuberや有名人にインタビューをして、その内容を前田さんが抽象化し、読者が自分の人生に転用できるようにするという内容みたいです。

ファクト→抽象化は小学生にはちょっと難しいかなという前田さんの思いやりが滲み出てますね。抽象化→転生を小学生のうちから癖にすることで、その積み重ねが大きな差になります。「見るもの全てが学びになる」という最強の状態になるからです。

これは大人でも気になる内容ですね!以前計画していたダイソーの100円『メモの魔力』がこの「メモ魔ドリル」になったのでしょうか?詳細はまだわかりませんが、楽しみが増えました。

また来年こそはこの『メモの魔力』記念日にリアルなイベントをしたいと前田さんは言っていました。「メモ魔祭」。聞いただけでわくわくしませんか?

最後に

メモの魔力2周年イベントの前田裕二
メモ魔にメッセージを送る前田さん。

前田さんからメモ魔のみなさんにメッセージが送られて終了でした。「I love my family」そうメモ魔に対する愛を語って、少し恥ずかしそうにしていた前田さん。

個人的には久しぶりに前田さんのトークイベントに参加できて楽しかったし、上記に残したように学びも多くありました。またその対談相手が箕輪さんだったことも、このイベントがこれだけ盛り上がった理由だと思います。

みなさんは今年一年を漢字一文字で表すとなんですか?

ちなみにぼくの場合は「転」でした。今年は特にたくさん読書をしてインプットをするだけではなく、仕事やブログでその知識を転用することができました。このアウトプット時の転用は今年に入ってようやくできるようになってきたものです。コロナでいろいろな状況が転機になったということもあります。ポジティブな「転」でした!

過去の前田さん対談イベント録はこちらです!

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ちなみにぼくなりに『メモの魔力』を深掘りしまくった記事がこちらになりますので、メモに行き詰まっている方はぜひ参考にしてみてください!

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