ここでも書いたように、今年ぼくは150冊以上もの本を読みました。もちろん読書は数が多ければ偉いというわけではないことはわかっています。しかしコロナ禍で可処分時間が増えたからこそ、自由時間が増え、読書に充てる時間を例年よりも確保できたことは間違いありません。これまでの読書の質を維持したまま量を増やせた年でした。
そんな2020年にぼくが読んだ本の中でも特別に印象に残っているものや、これは是が非でもオススメしたいという本を厳選してリストアップしました。年末年始休みの読書に、2021年の読書に向けてぜひ参考になれば嬉しいです。
2020年に読んで良かったビジネス書
1. 苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」 (森岡毅)
『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』は2019年に出版されたビジネス書ですが、2020年にぼくに最も大きな影響を与えてくれた一冊です。経営危機にあったUSJを再建したことでも知られる森岡毅さんが、進路に悩む実の娘に書いた手紙がもとになった本で、その温かみを感じられるのが最大の魅力です。
書いてある「自分に向いている仕事の見つけ方」や「キャリア設計の方法」自体がとても本質的で実践的なものですが、その真摯さと情熱的な語り口には圧倒的な信頼感があります。ぼくは実際に「自分がどのようなタイプで、どんな仕事に向いているか」を再確認することに成功しましたし、今後どう自分という大切な資産を育てていくべきかを考える機会にもなりました。
2. 日本の論点2021~22 (大前研一)
毎年年末近くになると発売される大前研一さんの「日本の論点シリーズ」を読むことは、もはやぼくの毎年恒例行事になっています。日本のブレインと言える大前さんが、その年一年にあった主な出来事とその後の展望をまとめた内容になっています。
最新版の『日本の論点2021~22』でも「日本編」と「世界編」に分けて、あらゆるトピックに焦点を当てて、核をつく視点で議論を展開する様は圧巻です。日々のニュースに目を向けることも重要ですが、きちんとまとまった論点をおさらいしておくことも重要です。国内外の情勢把握が苦手な方も、とりあえずこの一冊を読んでおけば一番重要なポイントは押さえられるのでオススメです。
3. 本当の自由を手に入れる お金の大学 (両@リベ大学長)
2020年に出版されたビジネス書で最も売れたタイトルの一つが『本当の自由を手に入れる お金の大学』です。もともと「リベラルアーツ大学」というブログを運営していた著者が、そのネットでの人気をそのままにAmazonや楽天などの書籍ランキングを席巻していた一年でした。
本書では経済的自由を手に入れるための知識やコツが網羅的に紹介されていますが、その内容はすぐにでも実生活に応用できるほど具体的です。「削減できるスマホ料金や光熱費はないか」「民間の保険には入るべきか」「初心者が投資をするならどのような商品か」などお金に関する基礎的かつ実践的なノウハウが詰まっています。
内容もイラストなどがふんだんに使われたブログ形式で、読書にあまり慣れていない人でもスラスラ読めてしまうな、という印象を持ちました。
2020年に読んで良かった小説
1. 一人称単数 (村上春樹)
2020年の村上春樹最新短編集『一人称単数』は個人的にもとても好きでした。日常に入り込むちょっと不思議な体験という村上春樹らしさ前回の短編で、ありきたりな風景なんだけど、なぜか惹きこまれてしまうのです。
8作から成る短編集ですが特に「謝肉祭(Carnaval)」は印象的でした。「取るに足らない短所を憂う美しい人」と「楽しさを見出す醜い人」の比較によって、結局幸せってどこに判断基準を置くかなんだな〜と思わせられたのを覚えています。
2. i (西加奈子)
今最も知られる女性作家の一人・西加奈子さんの作品をぼくは2020年の今年、初めて読むことになりました。その作品は『i』です。正直に言って「癒される小説だなぁ」とか「感動させられるストーリーだった」という感想を抱くものではありませんでした。
アメリカ人の父と日本人の母の養子になった主人公のアイは、ニュースで報道されているようなあらゆる悲劇が世界中で起きている一方で、自分の何一つ不自由ない生活に戸惑うことになります。自分のアイデンティティについて、自分だけでは変えられない世界中の問題について、愛について。日々忙しい日常では考えられない問題を正面から突きつけられたような気持ちになる小説です。
3. 夏の朝の成層圏 (池澤夏樹)
1984年に出版された池澤夏樹さんの長編デビュー作『夏の朝の成層圏』も、今年深く印象に残った小説です。とある日本人記者が船から落ちて無人島に漂流するところから物語は始まります。その無人島に佇む自然と生きていく主人公の生々しい描写を見て、読んでいるぼくはその島で主人公を横で見ているような臨場感を抱きました。
特別なサバイバル知識も持ち合わせない主人公が圧倒的な自然を生き抜く様。そして日常とは離れた自然での生活を主人公は興味深い捉え方をします。そんな心情の変化は、ゆっくりと自分と向き合う時間がとれない現代人にはし難いかもしれません。でもぼくには「他人事とは思えない」と感じたのです。他の読者も心のどこかでこの主人公に共感することになるんだろうなと思います。
2020年に読んで良かった漫画
2020年はそれほどの多く新しい漫画を読むことができませんでしたが、小さな頃から漫画を読む習慣はあるので最低限楽しんでいた一年でした。その中でも「まだこんな面白い漫画が生まれるんだ」と思わせてくれた(毎年思ってる…)タイトルを3作品紹介します。
1. 化物語 (西尾維新/大暮維人)
あの西尾維新さんの人気小説&アニメ『化物語』の漫画化が2018年に始まりました。ぼくはもともと『物語シリーズ』のファンであり、小説やアニメの世界観が全てであり、漫画には手をつけていませんでした。しかし2020年の今年、たまたま読んで見たところ、その漫画版独自の世界観に魅了されてしまいました。
主人公の高校生・阿良々木暦と彼を取り巻くヒロインたちを襲う「怪異」という存在、個性的なキャラクターのウィットに富んだ会話、派手なバトルシーン、どれをとっても最高クオリティーな作品です。もちろん原作やアニメファンのみならず、『化物語』初心者でもゼロから楽しめるようになっています。
2. チェンソーマン (藤本タツキ)
少年ジャンプ愛読者ならこの新星の登場にいち早く気づいた方も多いのではないでしょうか。2018年の12月より連載が始まったダークファンタジー漫画『チェンソーマン』は、すでに人気最前線にあった『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』に引けを取らないインパクトを持った作品です。
ぼくが読み始めたのは8巻まで発売されていた2020年中盤で、その世界観に没頭して一気読みをしてしまいました。少年ジャンプとは思えない激しい描写ですが、それを単なる「グロ」と思わせない王道ジャンプのエッセンスも感じ取れるのが『チェンソーマン』です。
ちなみに少年ジャンプ本誌への掲載は第一部の終幕とともに2021年2号で完結し、アプリの少年ジャンプ+にて第二部がスタートするそうです。アニメ化という嬉しいニュースもありましたし、目が離せない漫画です。
3. SPY×FAMILY (遠藤達哉)
『SPY×FAMILY』も2020年に読み始めて、つい止まらなくなってしまった作品です。少年ジャンプ+にて2019年に連載開始のコメディーテイストの漫画ですが、その設定が秀逸です。スパイと殺し屋と超能力者が偽りの家族を築くところから物語が始まりますが、その超能力者の少女アーニャ可愛い&面白くて癖になってしまいました。
東西両国のパワーバランスを保つためにスパイ活動を行うなどのシリアスなストーリーと、つい微笑んでしまうようなユーモア溢れる日常の組み合わせがたまらない漫画です。
最後に
今年もたくさんの素晴らしい本に出会うことができましたし、正直どの本にも思い入れがあります。いまだに何度も繰り返し読んでいる本もあります。その中でも今年初めて知って、大きな影響を受けた本を厳選して選びました。
少しでも興味を引く作品があれば、ぜひご一読を。
2021年もたくさんの本を、できる限り深く読んでいきたいと思います。その中でとびきりオススメの本があれば随時紹介していきたいと思います!
それでは楽しい読書ライフを!
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