価値主義とは【お金2.0】に学ぶお金から価値への転換

お金2.0

ビットコイン、仮想通貨、フィンテック、シェアリングエコノミー。

ここ数年で耳にすることが増えた言葉ですが、全てお金に関わるテクノロジーによって生まれたものです。

そんなテクノロジーの発展とともに、経済やお金に対する価値観がどんどん変わっている現在、ぼくたちは何を知るべきなのでしょうか。
この時代をうまく生きるために、どのような生き方をすればよいのでしょうか。

そんなお話をするために、今回は『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』という本を紹介したいと思います。

本書の目的は、仮想通貨やフィンテックなどの「技術的な最新トレンド」を紹介することでもなければ、人生の方向に迷っている人や仕事の能率を上げるための「自己啓発本」でもありません。

「お金や経済とは何なのか?」という本質を理解した上で、人生において最も大きな悩みでもある「お金の問題」を解決するための本です。

その過程で、自分の人生を見つめ直し、「自分は何をしたいのか」ということを考えるきっかけにもなります。

この本を書いたのはどんな人なのか、という説明をまず少しさせてください。

著者の佐藤航陽さんは、自分の時間を売買できるタイムバンクというプラットフォームを運営する株式会社メタップスの社長です。自らビッグデータを使ったマーケティング、ネット決済事業などを手掛ける、お金に関するテクノロジーの専門家です。

本書では「お金」の本質について、机上の空論ではなく、自らの事業で仮説検証を繰り返して得た「生きた経験」をもとに語られています。

お金について考えるようになったきっかけは、すでに幼少期からあったそうです。あまり裕福とは言えない家庭で育った佐藤さんはこのように思ったそうです。

お金をたくさん持つ家に生まれた子供はたくさんの機会が与えられ、そうでない家庭に生まれた子供には選べる道が少ない

そんなお金に関する問題を解決するために、お金についての正しい知識を啓蒙するために書き上げられたのが本書『お金2.0』です。

ぼくたちはこの本で、「お金とはなんなのか」「経済はどのように変わっているのか」ということを理解する必要があります。

『お金2.0』はどんな内容?

世の中において、または人生において最も大きな問題である「お金」。そのお金についての本質的な価値を振り返り、いまその価値が変化してきているという変遷をわかりやすく説明するのが本書『お金2.0』です。

「価値主義」という言葉を用いて、人々の興味・関心がお金そのものから目に見えないものも含めて「価値」に変わってきていると主張します。そんな時代の流れを支えているのが、テクノロジーであり、そのテクノロジーについて学ぶことが、いまの経済を突き動かしているものの正体を知るために必要だと教えてくれます。

またそんな時代の中で自分はなにをすべきなのか、という個人目線での生き方のヒントも記されています。お金がすべての「拝金主義」、承認欲求を求める「評価主義」に疑問を持っている方にもおすすめの一冊です。

お金とは何なのか?

お金とは何か?と聞かれてすぐに連想するのは、普段使っている紙幣や硬貨ではないでしょうか?

しかしお金とはそれだけではありません。本書によると、現在世界最古のお金は紀元前1600年ぐらいの「貝殻」とされているそうです。

ではお金の役割とはなんなのでしょうか。何か物を買うときに払うべき対価として使われています。この価値の交換のというのは、元々起源は物々交換をしていた時代にまで遡ります。

例えば、自分が作ったりんごと隣人が育てたお米を交換するとします。しかしお米はまだある程度日持ちしますが、りんごはすぐに腐ってしまいます。つまり価値の保存が難しかったのです。

そこで腐らないし、運べるものとして「お金」が誕生しました。それが太古では貝殻だったり石だったりしたのですね。

いずれにしても今も昔も、本来お金というのは、価値を交換するための手段でしかありません。そのお金というツールを集めて、何かと交換して食べ物や服を買ったり、アプリに課金したりします。

しかしこの資本主義という時代では、効率良くお金を稼ぐこと自体が目的になってしまいました。手段の目的化ですね。

いかに価値のあるものを生み出して世の中に提供することで対価であるお金を得る、ということよりも、お金という資本を使ってさらにお金を生み出すというマネーゲームが加熱してしまいました。

資本主義から価値主義へ

主義、主義と少し難しい言葉が続くなと思う方もいるかもしれませんが、すごく簡潔に言うと、ここで言う「資本主義」ではお金を稼ぐことを重要視します。しかし「価値主義」ではお金以外のものにも価値を見出し、その価値を重要視します。

今後は可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予想できます。

今、資本主義から価値主義への転換点なのではないか、というのが佐藤さんの主張です。改めて資本主義について、また価値主義についておさらいしていきましょう。

資本主義とは

先ほど説明した通り、お金は価値の交換のために使われていた手段にすぎませんでした。しかしお金を持っている人は、金融商品や労働力にお金を投資することで、効率良くお金を稼ぎ、お金を稼ぐこと自体を目的とするようになりました。

例えば、会社に投資するということは、その会社の成長のためにお金を工面してあげるという目的で行われることからはじまりました。しかし今や、その会社の成長は二の次で、自分の投資した会社の株価が上がるかどうかということだけを気にする投資家が溢れています。

お金がお金を生み、お金を持っている人がより多くのお金を稼ぐという世界、これが資本主義です。

価値主義とは

この価値主義における「価値」について佐藤さんは以下のように説明します。

価値とは非常に曖昧な言葉ですが、経済的には人間の欲望を満たす実世界での実用性 (使用価値・利用価値) を指す場合や、倫理的・精神的な観点から真・善・美・愛など人間社会の存続にプラスになるような概念を指す場合もあります。

要はこれまでと同様、役に立つものには価値があるし、これまでと違って目に見えないけどなんか重要そうなものにも価値を見出すようになるということです。

そしてこの価値は以下のように三種類に分類できます。

① 有用性

これまでの資本主義がメインで扱ってきた価値です。一言で言えば「役に立つかどうか」という観点での価値です。現実世界で使用できる、利用できる、儲かるようなものを指します。車やスマホなど、「価値」と言われて思いつくほとんどがここに分類されるのではないしょうか。

②内面性

実生活で役に立つか、という観点とは別で、個人の内面的な部分においても「価値」は存在します。愛情・共感・興奮・信頼など、目に見えるわけではないけど、その個人の内面にポジティブな影響をもたらすものには価値があります。

人がわざわざ海外旅行に行くのは、興奮があるからかもしれません。山に登るのは絶景を見て感動するためかもしれません。この場合、内面性における価値を感じているというわけです。

③社会性

個人的な損得を考えず、社会のために貢献する慈善活動やNPOのような活動にも価値を見出せます。砂漠に木を植えたり、発展途上国に学校を建てたりすることに価値を感じる人もいるはずです。

特に②③のお金と直接結びつかないような「価値」が高まっていて、逆にお金の価値が今後はどんどん下がっていくでしょう。

なぜお金の価値が下がっているのか

「価値主義」に時代になって、お金の価値が相対的に下がっていくのは、どうしてでしょう。大きく二つの要因があると考えられます。

まず一つが生まれ育った世代の環境です。戦後に生まれ育った世代は、誰もが貧しい生活から高度経済成長を経験して豊かになりました。その時代には、もっと働いて豊かになりたい、お金が欲しい、美味しいものを食べて、良い家に住みたいというモチベーションがありました。

一方で、ミレニアル世代と呼ばれる1980年代以降に生まれた世代は、戦後に比べると、生まれた時から裕福です。生まれた時から衣食住が満たされているので、強烈なハングリー精神は生まれにくいのです。これが今の若い世代が、お金を稼ぐことに固執しない傾向にあり、よってお金の価値が下がる要因の一つです。

もう一つの要因が、テクノロジーの発達によって、見えない価値が評価されだしたという点です。例えば、テクノロジーの発展でシェアリングエコノミーが実現されました。車を持たなくても簡単に借りられたり、タクシーよりも気軽に乗れるUberのようなサービス。家を持たなくても一軒家を借りることのできるAirbnb。そのほかにも服や仕事自体もシェアすることが可能になりました。特に家や車などの高い買い物はする必要がないという選択肢も生まれたのです。

当然、テクノロジーの恩恵はシェアリングエコノミーだけではありません。ビットコインなどの仮想通貨が生まれ、普段ぼくたちが使っている硬貨や紙幣以外にもお金のような機能を果たすツールが生まれたのです。今や、いち地域、いち企業がトークンと呼ばれる、お金のようなものを発行できる時代ですので(ポイントなどもその一種です)、日本銀行が発行する500円玉や10,000円札だけがお金というわけではなくなりました。

またテクノロジーとも関連しますが、SNSの発達もお金の価値を下げている要因と言えるでしょう。フォロワー数やいいね!の数などで、信用や承認などの目に見えないものが可視化されました。上記の三種類の価値のうち二番目の内面性の部分ですね。お金よりもフォロワー数のほうが重要だという人は今やごまんといるでしょう。

自分の価値の高め方

それでは、お金の価値が下がっていく一方で、価値自体が重要になっていく、ということがわかったところで、ではいかに自分の価値を高めるかということを考えていく必要があります。

もちろんお金がどうでもいいわけではありません。現状ではお金を持っていないと困ることが多いでしょう。しかし価値さえ高めておけば、お金が必要になったタイミングで、その価値をお金に変えることはそれほど難しくありません。

クラウドファンディングという言葉を聞いたことがあるでしょうか。例えば、自分がこんなチャレンジをしたいから、応援してくれる人はお金を少し工面してください。というサポーターを募れるプラットフォームです。この仕組みを利用して、大きな挑戦を繰り返しているのがキングコングの西野亮廣さんというのは有名です。

ここでは信用やその人の価値自体の大きさがそのままサポートしてもらえる金額になると言えるのですが、この「信用経済」について話すとすごく長くなるので、またの機会にしましょう。西野さんの本は信用経済を理解する上ではかなりわかりやすいです。『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』『新世界』がおすすめです。

話を戻しまして、自分の価値を高める方法を本書『お金2.0』に学んでいきましょう。

目的意義が重要になっている。

好きなことに熱中する

自分が心から熱中していることに打ち込んでいると、結果として利益を得られる。

佐藤さんはそう言います。お金を稼げるかどうかはとりあえず考えなくいいわけですね。

金銭的なリターンを第一に考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得られるようになります。

以下のような例を考えるとわかりやすいです。

商業的に成功するために好きでもないのに歌っている人と、音楽が本当に好きでただ熱中して歌っている人がいるとしたら、どちらを応援したいと思いますか。

どんなにニッチでも情熱さえあればいいのです。オリジナリティや個性などの「その人でなくてなならない」独自性は、何よりも重要な要素です。

ただ、熱中できることを持っていないという人も多いのではないでしょうか。

熱中できることを見つけるにはどうすればよいのでしょうか。

「まずはあなたが1日中やっていても苦痛ではないことを探すのがいい」と佐藤さんは言います。他人と比べて自分は以上に詳しいことがある、なぜかやってしまうこと、気になってしかたがないことがあるということに目を向けて見てもいいかもしれません。

自分が好きなこと・熱中できることを見つけるには実は簡単ではありません。なんで見つからないんだろうという人は、ぜひホリエモンや本書の担当編集者である箕輪厚介さんなども「やりたいことの見つけ方」について言及しているので、参考にしてみてください。

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お金ではなく価値のために働く

自分の価値を高めるためには、お金の意識よりも「価値」を自分自身が重視する必要があります。働く目的を「個人の価値」を高めることに設定すれば、安定のために一社の企業に固執するということがなくなります。

ここでいう個人の価値も三種類に分類できます。

  1. 実用性: スキルや経験
  2. 内面性: 共感や好意
  3. 社会性: 信頼や人脈

YoutubeやSNSなどで個人的に好意や共感を集めている人が、価値を高めているというのは想像しやすいと思います。どの面で自分の価値を育んでいけるのかを考えながら、次のステップを考えることも重要ですね。今歩いている道一本だけが、選択肢ではありません。

明日からはじめよう!

『お金2.0』に学ぶ、明日からはじめたい行動内容は、

24時間やっても苦痛ではないことを書き出してみる

です。24時間では想像しにくい人は、とりあえず好きで好きでしょうがないことをリストアップするといいでしょう。ここでは、お金になりそうかどうかは関係ありません。

ゲームだっていいでしょうし、コスメ集めでもいいでしょう。とにかく自分の好きなことが見つかれば、あとは「価値」を高めることに集中するだけです。

繰り返しますが、お金ではありません。価値です。

他にも学べること

□トークンエコノミー・仮想通貨について

□経済システムについて

□成長する組織のつくり方

□ベーシックインカムについて

etc.

本書『お金2.0』は、前田裕二さんの『メモの魔力』やホリエモンの『多動力』など箕輪厚介さん編集のNewsPicks Bookの一つですが、その中でも少しだけ専門度が高い本かなと思いました。しかし、これからのお金のこと、それによって変わる社会について知ることは、今後を生きる上で必須だと感じたので紹介しました。

ぜひ手にとってみてください!