今回紹介する本のテーマは「人間関係問題の解消」です。
人間関係に悩んでいる全ての人
忙しい日々の中でイライラしてる人
正直、自分は周りよりも優れていると思う人
そんな人にこそ読んでほしい一冊が『自分の小さな「箱」から脱出する方法』です。人間関係の問題に対処すべく、コミュニケーションのテクニックだったり、ストレスのマネジメント術を学ぼう、みたいな本ではありません。あらゆる人間関係の根本にある問題にアプローチしていくための本です。
では、全ての人間関係における問題は、何が原因だと思いますか?相手との相性でしょうか?恵まれない環境でしょうか?まさか、と思うかもしれませんが、こんなことは考えられるでしょうか?
もしかしたら、あなたこそが問題を引き起こしている張本人かもしれませんよ。
どんなに相手に問題がありそうな場合でも、不条理に思える問題でも、結局その根本は一つです。自分なのだと、本書は言います。
いやいや自分は絶対正しいし、問題は相手にある。そう思う人もいるかもしれません。つまり、自分でその問題に気づくことは簡単ではありません。一見、順風満帆な生活を送っている人でも、客観的にみたら問題だらけかもしれません。
「自分に問題がある」とはどういうことなのか、それにどう対処していくべきかが学べます。実際上手くいっている人でも、本書を読むことで、今後問題を抱える予防にもなります。この『自分の小さな「箱」から脱出する方法』の考え方は、GoogleやMicrosoftなど大手企業の研修などでも学ばれているらしいのですが、ビジネスだけでなく、家族や友人などあらゆる人間関係であてはまるものです。
表面的なテクニックなどではなく、本質的なあるべき姿勢が書いてあります。今後生きていく上で、知っておいて損はないどころか、今悩んでいることが一気に解決に向かう可能性すらあると思っています。
どのように人間関係の悩みを解決していくのか、みていきましょう。
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』はどんな内容?
アメリカのとある会社に管理職として転職した主人公が、複数の役員から話を聞きながら、自分が気づいていなかった問題に向き合っていくお話です。転職後最初の1ヶ月は誰よりも働き、目標も達成し、ライバルより良い仕事をしようと努力します。しかし、成功してきたと思い込んでいた彼は、上司から「箱の中に入っている」と問題点を指摘されることになるのです。
自分の期待や感情を裏切り、そんな自分を正当化し、自己中心に物事を考える。そのような状態を本書では「箱の中に入る」と表現します。そんな「箱」から出たときこそ、人間関係は上手くいくのです。さまざまな具体例とともに問題が解説され、主人公がそのことに気づくまでがストーリーとなっています。
箱の中に入っている人
主人公は成果を出そうと頑張っていたにもかかわらず、こう言われます。
「部下たちに耳ざわりのいいことをいって、心の中では軽蔑しながら、自分の望み通りにさせようとしたりは、していないか?」
「つまりこういうことだ。周りの人のことを、『我慢』しなくてはならない存在だと思ってはいないだろうか。」
つまり部下たちを「使えないもの」「どうでもいい存在」と捉えていたわけです。このような主人公の状態を本書では「箱の中に入っている」もしくは「自己欺瞞(自分をだますこと)」と言います。
この「箱の中に入っている」とはどういうことなのか、もう少し身近な例です説明したいと思います。例えば、新幹線に乗っている以下のようなシチュエーションを想像してください。
とある男性が、自由席の車内で、隣が空いている席に腰をおろしたとします。隣の空いている席にカバンを置いて、新聞を読みます。通路にやってくる人々を新聞越しにチラチラのぞき、誰かがそのカバンが置かれている席に座りたそうにすると、新聞をわざと大きく広げて牽制します。
これ、なんとなく共感する人もいませんか?「できれば隣は空けておきたい」「みんな他の席にいけばいい」みたいな感じの行動ですよね。
一方でこんな人もいるはずです。
家族で車内にいくと、席がポツポツとしか相手いなくて、はなればなれに座らなければいけない。そんなとき、とある女性が「隣が空いているのですが、わたしがそちらの席に移るので、こっちの席を使ってください」と声をかける人。
違いは一目瞭然です。前者の男性は、ピリピリ神経を尖らせて「来るな〜」とストレスを抱えています。後者の女性はそんな感情は持っていないでしょう。ここでの問題は単に、席を譲れるような寛大な人になりましょう、ということではありません。
他の連中を低く見ていた。他人のニーズや望みは、自分のニーズや望みに比べれば大したことのないごく軽いものだとね。
他人を見下しているか、ありのままの人として見ているか、この違いだけなのです。
上のように考えていることが問題なのです。これは完全に「箱の中に入ってしまっている」例です。もう一つだけ例を紹介させてください。(「箱の中に入っている」とはどういうことなのか、一言で説明するには少し難しいのですが、身近な例があるとすごくわかりやすいものになります。)
箱の中に入るプロセス
ではどのように人は箱の中に入ってしまうのか、もう一つの例とともに紹介していきます。
1. 自分を裏切る
生まれて4ヶ月の赤ちゃんが、夜中に泣き出してなかなか泣きやみません。夫はそれに気づき、「今起きてあやせば、妻は寝ていられる」と思います。しかし結局、「眠い」「妻にまかせればいい」と思い、実際に赤ちゃんをあやすことはしませんでした。
このとき「自分はこうすべきだ」と思っていたのに、それを裏切って行動しなかったことが「箱の中に入る」第一歩です。
2. 自分を正当化する
自分を裏切った後に人は何をするかというと、自分を正当化しはじめるのです。「妻は怠け者だな」「母親として問題がある」と正当化するために相手に当たります。世界をゆがんだ目で見るようになるのです。正当化をするためには相手が間違っていなければなりませんから、アラ探しをはじめます。妻が赤ちゃんをあやしたとしても「別の部屋に連れていけ」「夜中に泣かせるなよ」と際限なく相手を責め、自分を守るようになってしまうのです。
3. 性格の形成
そんな出来事が積み重なり、いくつもの「箱」ができていき、やがてそのいくつものを箱を自分の性格だと思うようになります。こうなると1~3までの負のスパイラルに陥ってしまうのです。
箱の外に出る方法
ここでは最重要ポイントだけを紹介します。「箱の外に出る方法」それは、相手に関心を持つということです。なんだそんなことか、と思う人もいるかもしれませんが、これって意外と難しいと思うのです。職場でも家庭でも、相手とコミュニケーションをとっているようで実は相手に関心を持っているわけでないという人もいます。
人は、相手が自分をどう見ているかを感じ取り、それに対して反応するんだ。
多くの人は相手に関心があるのではなく、相手が自分をどう思っているかに関心があります。その時点でその相手に対して「箱に入っている」状態なのです。そして人は敏感にそれに反応するので、見抜かれた時点でお互いの関係は悪化してしまいます。
相手に関心を持つことができれば、自分がその人に対して何かをなすべきだと感じられるようになるでしょう。一方でこうも言えます。
だからといって、必ずしも感じたことをすべて実行すべきだ、というわけではない。
たしかに、全てを行動にうつすことは現実的にも難しいかもしれません。できるところからはじめましょう。
明日からはじめよう!
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』から学ぶべきは、相手に関心を持つことです。なので、明日からはじめられる行動は、
相手が求めていることを知る
です。相手に関心を持つことのはじまりが、些細ななことでも相手を助けるために何をすべきかだと思います。家族などの大事な相手ならより一層考えなければなりませんが、職場でも友人関係でも「今相手が何を求めているか」を考えるクセはつけたいものです。
ここでは「箱の中に入ってしまうプロセス」と「箱の外へ出る方法」を簡単に紹介しました。しかし、個人的には全ての人に関心を向け、助けていこうと思わなくてもいいと思うのです。上記の新幹線の例ですが、「じゃあ乗客全員に関心を持って過ごさなきゃいけないのか」と言われたら、そんなこともないと思うのです。自分が箱が外に出る相手の範囲を少しずつ広めていけばいいのではないしょうか。
他にも学べること
□効果的なリーダーシップ
□「素直な自分」の引き出し方
etc.
しっかり本書『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を読み進めながら、主人公と自分を照らし合わせ、一緒に考えていけば、スムーズにこの考え方が受け入れられるはずです。「本気で周りの人間関係と向き合いたい人」から「なんかストレス感じるなという人」まで一度は読んでもらいたい本です。