【『ゼロ』要約・書評】10のホリエモン流仕事のポイント

『ゼロ』 堀江貴文

ここではホリエモンこと堀江貴文さんの人生から学ぶべき、仕事をする上で重要なこと、成功を切り開く上で大切にすべきことについて紹介していきます。


2006年に逮捕され、2011年から2013まで服役生活を送り、出所直後に出版されたのがホリエモンの『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』です。数多くの書籍を出版するホリエモンの本の中でも、ホリエモンの核つまり「原液」にもっとも近いものだと感じました。

家庭環境を含む少年時代、学生時代、起業からの逮捕、刑務所生活、そして現在に到るまでのホリエモンの半生が綴られています。その中でホリエモンの研ぎ澄まされた思考、お金や時間、仕事に関する価値観が読み取れるのが『ゼロ』です。

現在ビジネスの最前線を走るどころか、もっとも自由で好きなように生きている起業家といえばホリエモンが挙げられます。山あり谷ありの壮絶な人生を生き抜いて成功をつかみ取ったホリエモンの成功の秘訣は誰もが知りたいと思うでしょう。

よく「どうすれば成功できますか?」という類の質問を受けるそうですが、そんな人たちのことをこう分析しています。

みんな「掛け算の答え」を求めている、ということだ。もっとわかりやすい言葉を使うなら、成功へのショートカットを求め、どうすればラクをしながら成功できるかを考えている。

ドキッとしてしまう言葉です。たしかに成功までの最短距離を知れればそんなにラクなことはありません。しかしホリエモンはこう続けます。

「掛け算の答え」を求めているあなたはいま、「ゼロ」なのである。
そしてゼロになにを掛けたところで、ゼロのままだ。物事の出発点は「掛け算」ではなく、必ず「足し算」でなければならない。まずはゼロとしての自分に、小さなイチを足す。小さく地道な一歩を踏み出す。ほんとうの成功は、そこからはじまるのだ。

ホリエモンからこのような言葉を聞くのは意外に思われる方もいるかもしれませんが、本書を読むとわかるとおりこのような思考の持ち主です。現実的で本質的な成功の真理といえます。

ではこの少しずつイチを積み重ねていく「足し算」という考えのもと、仕事をする上で重要なこと、成功を切り開く上で大切にすべきことについてホリエモンはどのように述べているのかを見ていきましょう。

誰にでも応用できるホリエモンの思考をまとめ、10個のポイントに絞って解説していきます!

1. 自信を得るために経験を積む

ホリエモンは30代の中盤になっても、女の子とのコミュニケーションが苦手だったそうです。学生時代から女の子と目を合わせることもできず、「キョドりまくっていた」と述べています。

これはもちろん仕事にも言えることですが、コンプレックスを感じたり、苦手だと感じたりするのは全て「自信」の問題だとホリエモンは指摘します。何をするにも自信を持っていることが重要なのです。

では自信とはどこから生まれてくるものなのかというと、その答えは「経験」です。まったく経験したことのない仕事に自信が持てないどころか恐怖さえ感じてしまう、ということを感じたことのある方もいるのではないでしょうか。しかし一度経験さえしていれば、「なんだこんな簡単なことだったのか、何を恐れていたんだ」と思うことも多々あります。

成功のための最初の鍵は経験から生まれる自信です。

2. 経験はノリから生まれる

「1. 自信を得るために経験を積む」では自信を持つためには経験が必要だと述べました。しかし、経験がゼロの状態から第一歩を踏み出し、それを積み重ねることにハードルの高さを感じる人も少なくないはずです。

起業時に役立ったスキルとしてビジネス営業や交渉の力だと語るホリエモンも、最初からそのようなスキルがあったわけではありません。きっかけは大学生のときに行ったヒッチハイクの旅だそうです。自ら車を止め、何十人、何百人に乗せてもらうよう交渉をしていく。10台に声をかけて9台は断られるそうですが、その1台という成功体験を積み重ねていくことが自信につながる経験だったと振り返ります。

このヒッチハイクの旅は友達から誘われたそうですが、なぜホリエモンがこの誘いに乗ったのかというと「おもしろそう!」と感じたからだそうです。つまり、経験を積むために何かを踏み出すときには、「ノリのよさ」がとても大切です。この「ノリ」による選択で人生が変わるということは珍しくないどころか、成功の必須事項とさえいえます。

あらゆる人の一生とは、こうした小さな選択の積み重ねによって決まってくる

少しでも自分が興味を持ったり面白いと思ったことには、とにかく食いついてみましょう。

3. 仕事に没頭する

没頭するというのは好きになることの第一条件です。例えば営業という仕事を好きになれないと思っている人についてホリエモンはこう述べます。

人は「仕事が好きだから、営業に没頭する」のではない。
順番は逆で、「営業に没頭したから、仕事が好きになる」のだ。

ではどうすれば没頭することができるのでしょうか。それは「自分の手でルールをつくること」だといいます。社内でのやり方、ノルマのような決まりはあるかもしれません。しかしそんな中でも自分でプランを練り、自分だけのルールをつくる。そうすればやらされ仕事とはまったく異なるモチベーションが発生します。

このルールづくりのポイントは、「遠くを見ないこと」です。これはホリエモンが大学受験で学んだことだそうですが、年や月単位で目標を立てるのではなく、「1日2ページ」進めるというような目標を立て、来る日も来る日も「今日の目標」を達成することだけを考えます。その積み重ねが没頭につながるのです。そして没頭したことは、「やらなくてはいけないこと」から「やりたいこと」に変わる可能性があるのです。

4. やりたいことの見つけ方

「やりたいことがない…」これは多くの人が持つ悩みであり、ホリエモンもそのような悩みを聞くことが多いといいます。しかしこれには根本的な思考の問題が隠れています。

最初っから「できっこない」とあきらめているからだ。

やりたいことはあるのに、「そんなの自分にはできっこない」と決めつけ、自分の可能性にフタをしているのが問題なのです

「宇宙に行きたい」という「やりたいこと」がある場合、多くの人は「まあでもそんなの自分には無理だ」と諦めてしまうでしょう。その他にもやりたいことがあっても、似たような思考で可能性を閉ざしてしまっているかもしれません。しかし、ホリエモンは現に宇宙にロケットを飛ばしています。これは「どうせホリエモンだからできる」ことなんかではなく、物事を「できる理由」から考えているから実現していることなのです

単に、「宇宙飛行士になる」以外の選択肢も考え、情報を集め、ノリで動いた結果なのです。

5. 自分の時間を生きる

僕らは、「自分の時間」を生きるのか、それとも「他人の時間」を生かされるのか、を常に意識化しておく必要がある。

好きな趣味に没頭する、気の合う仲間と飲みにいく。それは紛れもなく「自分の時間」です。

一方で、やりたくもない仕事をお金のためにがんばる、上司との飲み会に無理やり出席する。それは「他人の時間」を生きているに過ぎません。

いかに「自分の時間」を増やし、「他人の時間」を減らすかで人生の質や幸福度が決まると言っても過言ではありません。

時間を主体的にコントロールし、睡眠時間をしっかり確保することも重要です。あれだけ「多動」なホリエモンがしっかり7~8時間の睡眠時間を確保していることも今では有名です。

時間はお金よりも価値を持つ人生の財産です。この時間のみに焦点を当てたホリエモンの『時間革命』も一度読むべきおすすめの本です。こちらに重要事項を要約してあるので、もしよければ参考にしてみてください!

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時間革命 堀江貴文

6. 耳を傾け、行動する

人生の変えるヒントが、ホリエモンの少年時代にあります。

福岡県八女市出身のホリエモンは、小学3年生の担任を福岡時代の唯一の「恩師」と呼んでいます。当時学力は学年でダントツのトップだったホリエモン少年に、その先生はこう声をかけたそうです。

「堀江くん、あなたはここにいたらもったいない。八女から出ないと、ずっとこのままよ。」

田舎の退屈さになんとなく不満を持っていたホリエモンからしたら救いの一言だったでしょう。そうして塾に通い、高いレベルの中高一貫の私立校に入学することになったそうです。アドバイスもなく、またアドバイスがあったとしてもホリエモン少年が耳を貸すことがなかったら、どうなっていたでしょう。公立校に通い、地元に残る。そんな姿を自分はまったく想像できないといいます。

信頼する人の助言に耳を傾け、勇気を持って行動に移したからこそ、今のホリエモンの人生があるというは紛れもない事実です。

7. 現状を客観的に分析する

『ゼロ』では現状の自分を客観的に見ることの重要性が示唆されているエピソードが語られています。

ホリエモンは大学時代、ギャンブルに明け暮れ、塾講師のバイトをして生活をするという期間があったそうです。そのときのとある一瞬をこう振り返ります。

ある日の塾の休憩時間、教員室で漫画を読んでいた僕は、何気なく顔を上げて周囲を見渡した。先輩講師たちは、雑誌片手にコンビニ弁当を食べたり、ヘッドフォンステレオで音楽を聴いたり、次の授業の問題用紙をまとめたりしている。そこに漂う弛緩しきった空気と、その風景の一部となりかけている自分に、ゾッとしてしまった。

そして「このままでは、一生『このまま』だ」と感じたそうです。そうしてお金よりも充実感や達成感を優先したプログラマーという仕事を選んだのだと言います。

ときの流れに身をまかせ、現状でも問題ないと考えて生活しているときに、このように自分を客観視することは簡単ではありません。周りの環境に溶け込んで、自分の違和感を感じ取りにくくなっていくからです。

そのため重要なのは定期的に意識的に自分の現状を上空から俯瞰するイメージで客観的に分析してみることです。「本当にこのままの自分でいいのだろうか」「本当にやりたいことができているのだろうか」と自問自答する癖をつけたいものです。

8. 飛び抜けた説得材料を作る

自分のやりたいことをやったり、夢を叶えるために自分でできることは精一杯すべきです。「あれがしたい、これがしたい」と口だけで語るは簡単です。しかし自分の含めそこには誰かを納得させるだけの力があるでしょうか。

ホリエモンは高校3年生の進路を考える時期の心情をこう振り返ります。

僕が掲げていた最大の目標、それは「ここ」から脱出することだった。それが九州なのか、福岡なのか、八女なのか、あるいは堀江家なのか、よくわからない。とにかく、もう「ここ」での生活には、うんざりしきっていた。

僕が「ここ」から脱出するためには圧倒的な説得材料が必要だった。どんな強情な人間でも認めざるを得ない、最大級の結果が必要だった。

そこで残された答えは、東大に合格すること以外なかったのだと言います。ただ「東京に行きたい」と言っていただけでは、親も納得はしなかったかもしれません。物理的に身一つで東京に行くことはできたとしても、受験料も学費も生活費もなく、なにより親との関係性において幸せになっていたとは思えません。

誰にでもわかる圧倒的な説得材料を用意することが、自分の道を切り開く重要なポイントであることがよくわかります。

9. 貯金ではなく投資する

時間の重要性は「5. 自分の時間を生きる」で述べましたが、お金の使い方に関しても、ホリエモンの考えを知ることは非常に有益です。

貯金より投資にお金を使う、これに尽きるのではないかと思います。

「貯金は美徳」というのは日本の戦時下における政府が作りだした価値観にすぎません。「貯金がないと不安だ」と思う人は自分に自信がないだけだといいます。また貯金をすることに頭を使う必要がないために、とりあえず貯金をする人も多いのではないでしょうか。

しかしより多くの比重をかけるべきは投資だと言います。これは何も株式や投資信託などの投資に限った話ではありません。将来の自分のためになるお金の使い方こそが「投資」です。

例えば貯金をする代わりに自分のスキルを磨くことにお金を使えば、将来自分ができることの選択肢は増え、それが不安を取り除く要素になるかもしれません。なにより自分のできることが増えれば、周りに貢献できる度合いが変わってきます。誰かに役立つ仕事をすれば、当然自分への「信用」が増えていきます。つまりお金よりも信用を貯めていくのです。

お金とは信用を数値化したものにすぎず、根本的な信用にこそ目を向けるべきです

これからの時代を生きるあなたには、「お金」ではなく、自らの「信用」に投資することが求められている。ほんとうに困ったとき、人生の崖っぷちに追い込まれたとき、失敗してゼロに戻ったとき、あなたを救ってくれるのはお金ではなく、信用なのだ。

おそらくホリエモンが身をもって体感したこの言葉は説得力も重みも違います。

10. 諸行無常の精神

ホリエモンの座右の銘として「諸行無常」について述べられています。

座右の銘というよりは、世の中の真理とまで言い切ります。「万物は流転する。すべては流れる川のように、ひとときとして同じ姿をとどめない」という仏教的な教えです。この諸行無常の原則はビジネスから人間関係などまで幅広く当てはまることです。

あらゆる物事は変化していく。だから前を向くしかない。過去にとらわれてもしょうがないし、来るべく未来はやってくるのです。

現状維持などありえない。僕は変わり、変わらざるをえない。僕を取り囲む環境もまた、変わっていく。

なにを得ようと、なにを失おうと、未練など生まれるはずもないのだ。

起業した会社を上場させ、逮捕されてそれを失ったホリエモンだからこそ言える言葉である。この諸行無常のもとでは、感情に振り回されることはありません。あるものをありのままに受け入れるだけです。どのような立場の人にも共通して有益な姿勢ではないかと思います。

『ゼロ』を行動に移す

『ゼロ』から学ぶべき、明日から始めたい行動内容は

ノリで動いてみる

です。何か目の前にチャンスがあって、「おもしろそう」と心が動けば、何も考えずにとりあえず飛びついてみましょう。それがきっかけで経験が生まれます。その経験が自信につながっていきます。成功のためには欠かせない行動原理なのです。

ホリエモンは、「自分とは遠く離れた存在ではなく、自分と同じくらい普通の人間だったんだな」と感じることができた本書。その中でいかに堀江貴文が生きてきたか、変わってきたかがこと細かく語られています。その中で学べる「人生」「仕事」「お金」「時間」などに関する価値観は、なにか自分にいい刺激をもたらすきっかけになるはずです。

ホリエモンの本をよむなら、第一にまずは『ゼロ』をおすすめします。ぜひお手にとってみてください!

それでは楽しい読書ライフを!

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