7つのアイデアを生み出す超実用的な方法【考具】

『考具』加藤 昌治

今回紹介するのは加藤昌治さん著『考具 ―考えるための道具、持っていますか?』です。

『考具』というタイトルも気になり、なにより帯のこの言葉に惹かれました。

考えるための道具、持っていますか?

丸腰で、仕事はできない。

「考える」「頭を使う」ためのヒントがたくさん詰まっていると期待して読みましたが、本当に面白い、かつ実用的な内容ばかりでした。

著者の加藤さんは広告代理店出身なこともあって、アイデア出しが中心の内容でしたが、頭の体操・トレーニングに最適な「考具」は役に立つと早くも確信しています。

「考具」を身につけると、

街を歩くのが楽しくなります。

アイデアを思いつくのが楽しくなります。

アイデアは楽しく発想するもので、実現できるかどうかは企画にする段階で考えればいいというのが加藤さんの考え方です。

今、目の前にある課題に対して、あなた自身はどうしたいのか

それが重要だと言うのです。

たしかに現実的な障壁をあれこれ考えて可能性を潰すよりも、そちらの方が想像力が無限に広がる感じがしませんか。

「わがまま」が先で「思いやり」つまり社会に適用させていくのは後でということです。

またぼくもそうでしたが、アイデアというものを誤解していました。

革新的なアイデア、斬新なアイデアというとどうしても今まで誰も思いつかなかったような、ゼロから生まれたものというイメージがありませんか?

しかし本書でも触れられていますが、アイデアとは全くの新しいものというのは少し違っています。

… an idea is nothing more nor less than a new combination of old elements. (アイデアは既存の要素の新しい組み合わせでしかない。)

これはちょうどぼくが同じ時期に読んだ本『アイデアのつくり方』でジェームス W.ヤングが提示したアイデアに対する考え方です。

つまり重要なのはいかに既存の要素をたくさん知れるか、インプットできるかといかに多くのアイデアを出しそれらの要素を組み合わせるかにかかっています。

本書『考具』で紹介されるアイデアを生み出す方法は、アイデア出しのトッププロが最前線で駆使する超実用的なものばかりです。その中でも厳選して7つのアイデア生産方法を紹介していきます。

アイデアが生まれるまでの流れ

ざっくり言ってしまえば、アイデアを生み出すプロセスというのはこんな感じになります。

アイデアをたくさん知る→頭の中のアイデア同士が結びついて新しいアイデアが出てくる→そのアイデアを拡げまくる→冷静に使えそうなアイデアを絞る→また拡げる→また絞る→実現可能性を考えて企画にする

という感じです。

新しいアイデアというと、ある日突然とんでもないアイデアがポンッと現れるみたいなイメージを持っている方も多いと思いますが、実はそうではないのです。

真似できると思ったものは、積極的に真似して自分のものにしましょう!

情報収集・インプット編

まずいかに情報を知り、インプットするか。そのために有効な方法を3つ紹介します。

考具1. カラーバス

カラーバスは「アイデアのヒントが自然に集まる」と同時に「頭の体操」にもなります。

具体的な実践方法は、まず家を出る前に色を一色選びます。そして外に出たらその色だけを意識して、その色のものに目を向けます。例えば「赤」と決めたら、外で歩いているときに赤いものを探します。

これを意識していると、「こんなところにポストなんてあったっけ?」「この標識って赤色だったんだ」というように普段目にしなかったり、気にしないものまで視界に入ってきます。

色の他には関連性がないものがたくさん集まってくるというのが利点で、面白い組み合わせを作ることができる上ユニークなインプット方法といえます。

考具2. ちょいメモ

思いついいたらすぐにメモ。これがインプットでもアウトプットでも非常に重要です。何か思いついても、数秒後には忘れてしまうことってありませんか?

その消えてしまったアイデアは、質がどうであれとてももったいないのです。頭の中の考えを、言語化して初めてアイデアと言えます。頭の中で残しておくより、はき出してしまった方が、また新しいアイデアが浮かぶというメリットもあります。

本格的に知的生産につながるメモをしたいなら前田裕二さん著『メモの魔力』がとんでもなく役に立つでしょう。以下で徹底的に解説しているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

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考具3. 臨時新聞記者

この「 臨時新聞記者」はマインドセットというか、気の持ちようが大きいのですが、要は新聞記者になったつもりで情報を集めるというものです。

専門知識が必要な場合、まずは「現場」に直行します。その場の生の情報を感じ取るもよし、インタビューするもよし。とにかく新聞記者になった気分で情報収集をします。

専門知識をわかりやすい形で習得できるかもしれないし、プレゼンなどで自分の言葉で語れるというのがこの「臨時新聞記者」の強みです。自分の足で稼いで、自分の目と耳で得た一次情報ほど信頼できて価値の高い情報はないですよね

アイデアを拡げる編

次にアイデアをいかに拡げるかについて話していきましょう。一つアイデアを思いついたら、そこから拡げなければもったいないのです。ポイントは量です。質の良いアイデアを出すにはプロでも量を出すしかないのです。

考具4. ポストイット

アイデアをひたすらポストイットに書いていく手法がまず一つです。1枚1案で書いて目の前の机や壁に貼っていきます。

数をどんどん出すといのが最重要ポイントです。付箋は100円のものでも最近は質がものすごく良いので、もったいないと思わずガンガン使っていきましょう。そしてそのポストイットに書いたアイデア同士を関連させたいときに近くに動かせるというのが利点です。

いろんな色を使って脳を刺激するのもコツです。

考具5. マンダラート

マンダラートは3×3の9マスの表にアイデアを出していくというものです。以下に例を挙げました。

ます、中央のマスに「テーマ+?」と記入します。

例えばマグカップの新商品開発がテーマなら「マグカップ?」というように記入します。

そしてその周りの8マスにテーマと関係する言葉を埋めていきます。

アイデアを生み出すマンダラート
アイデアを生み出すマンダラート

場所が決まっているとアイデアを出さなきゃという強制力が働くのがポイントです。

さらにこの8要素もそれぞれまた真ん中のテーマとして広げればさらに8個のマンダラートができ、64個もの新しい要素を出すことできます。それをさらに展開していくこともできます。

手書きのほうがスピード感が出るかもしれませんが、場所を選ばないスマホでもできるアプリ「MandalArt」を見つけました。ぜひ活用してみてください。

考具6. マインドマップ

アイデアを量産する定番の一つがマインドマップです。アイデアを関連付けながら展開するのにとても役立つツールです。

紙とペンさえあれば、どこへでもアイデアを拡げることが可能ですし、アイデア同士を自由に線で結びながら関連できることもできます。

以下のような図を見たことがあるかもしれませんが、アイデアが放射状に広がっていくイメージです。本書『考具』の内容をマインドマップでまとめて見たのが下記の図です。

アイデアを生み出すマインドマップ
アイデアを生み出すマインドマップ

マインドマップもパソコン上でもできるアプリを見つけました!上のマインドマップはそのアプリ「XMind」で作成したもので、本書の構成を展開してみました。

そしてアイデアが出たら、企画にしましょう。

考具7. 自分のオリジナル考具

上記の考具に加え、自分の考具を見つけましょう

例えば、なにか流行っているトレンドなものや場所があるとすれば、ちょっとだけ雰囲気を感じに行く、空気だけを吸いに出かけてみるということができます。

それだけでも五感をフル回転させれば得られる情報は数知れません。実際に行かなければわからないことも必ずあります。

「なにかを得よう」と意識しながら街を歩くだけで、何も考えてない場合とは全然違います(できればテーマや課題が決まっていればなお効果的です)。

『考具』を行動に移す

『考具』から学ぶべき、明日から始めたい行動内容は

カラーバスを実践する

です。

アイデアを生み出す、もしくは頭の体操をするのにもってこいの考具です。通勤時でもいいですし、家の中でも見ているテレビや映画でもいいでしょう。一つ決めた色の物を徹底的に探してみましょう。他にも自分に合ったアイデア生産ツールがあれば、実践してみましょう!

最後に

物事の本質を「考える」とはまた少し別のアイデアを「考える」ということ。これはなにか事業を始めたり、課題解決のために実践的に役に立つ力です。

ただ、これは実践して自分に合う考具をものにすることが大事なことですが、集めた情報をそのままにするのではなく、それを見返すタイミングや仕組みを自分で決めることでより実用的なものになります。

本書では知らないと実践することはなかったような方法が他にもたくさん紹介されています。

個人的にはメモでアイデアを蓄積したり、マンダラートやマインドマップでアイデアを展開するというのは非常に効果的だと思っていて、継続的に実際に役に立っています。

あなたも丸腰でいるならまずひとつ「考具」を身につけてみてはいかがでしょう。

より深く加藤さんのアイデア術を学びたい方は、こちらもおすすめです!

それでは楽しい読書ライフを!

▽他にもオススメしたい本がたくさんあります!▽

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