【書評&要約】僕は君たちに武器を配りたい

『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本哲史

今回は、瀧本哲史さん著『僕は君たちに武器を配りたい』の書評と要約をしていきたいと思います。

瀧本さんといえば『武器としての決断思考』や『読書は格闘技』『ミライの授業』など数多くの本を執筆されていて、どれもぼくの好きな本ばかりです!

そして今回ですが、『僕は君たちに武器を配りたい』というタイトルだけでゾクゾクしませんか?

いまの世の中を生き抜く上で必要な考え方のヒントを教えてくれる良書であり、自分を見つめ直すのに最適な一冊だったので紹介します

元々は単行本として2011年に出版されましたが、今なお色あせることのない、そして当分はこの世界で通用しそうだなと思う内容でした。

それでは見ていきましょう!

1. 知識を身につけるだけでは不十分

近年は勉強ブームと言われ、本屋にもビジネス書や啓発本が並び、積まれている。

その陰には、「不安解消マーケティング」がある、と瀧本さんはいいます。

将来を不安に思う人々に向けて、従来の大学で学ぶ学問以外の「実用的な英語」「ITスキル」「会計知識」などを勉強するよう提案されています。

「このような今の時代に真に必要な知識を得れば、ほかの人より幸せになれます」というように。

しかし、そのような知識だけでは満足してはいけません。

ちなみに本物の知識を身につけるための読書術については、こちらを参考にしてみてください!

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『読書は格闘技』瀧本哲史

2. 「唯一の人」になれ

スペシャリティつまり替えの利かない「唯一の人」になることが重要です。

英語ができても、プログラミングが得意でも特別ではない、し比較的優位な立場にあるそのようなスキルもコモディティ化してしまいます。

必要なのはこれまでの枠組みで努力するのではありません。まず最初に資本主義の仕組みを理解して、どんな要素がコモディティとスペシャリティを分けるのかを理解した上で、努力することが鍵となります。

ちなみに、資本主義を含む世の中のルールについては、瀧本さんの『2020年6月30日にまたここで会おう』で説明されています。こちらが参考になればと思います。

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『2020年6月30日にまたここで会おう』瀧本哲史

それでは、本書の中でも最も興味深いと思った「どのような人が生き残っていけるのか」について解説していきましょう。

3. 今後生き残る4タイプの人と生き残れない2タイプの人

今後儲けて生き残っていける人は以下の6タイプに分類できるといいます。

  1. トレーダー
  2. エキスパート
  3. マーケター
  4. イノベーター
  5. リーダー
  6. インベスター

そしてその中でも、価値を失っていくタイプは1番目のトレーダーと2番目のエキスパートです。

一つずつ説明していきます。まずは価値を失っていく2種類の人についてです。

①トレーダー

単にモノを右から左に流す、モノを売る営業マン的な人のことを指します。ネットが普及した現代において、欲しいものはなんでもネットで買えるので、もはやあまり需要のないポジションなのです。

川上から川下へモノを流すというイメージの総合商社でも、それはすでに廃れていて、主に稼いでいるのは資源開発プロジェクトつまり投資なのです。

②エキスパート

自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をするといういわゆる専門家のタイプです。

一見食いっぱぐれがなさそうです。しかしその専門性の高い知識やスキルが一気に不要になってしまうリスクがあります。

例えば、エネルギーの主体も石炭から石油に変わったことで石炭採掘に詳しかった人の必要性はグンと下がりました。

このような変化が毎日のように起こりうる時代では、その優位性もあっという間にコモディティ化するというわけです。

そして以下の4タイプが今後も価値のあるタイプだといいます。

③マーケター

顧客の需要を満たすことができる人と指します。

新たなトレンドの細かな動きや兆候を察知する感度の高さと、なぜそういう動きが生じてきたのかを正確に推理できる分析力が武器となります。

さらに売るものは同じでも「ブランド」や「ストーリー」といった一見捉えどころのないふわふわした付加価値や違い(差異)を作れることが重要になります。

④イノベーター

イノベーターとはまったく新しい仕組みをイノベーションできる人です。

イノベーションを起こすということは、既存の常識や業界についての知識をしっかり持っていることが前提となります。ではどのようにイノベーターに近づけばよいのでしょう。

自分の唯一性やスペシャリティを高めるために、自分が働いている業界について

  • どんな構造でビジネスが動いており、
  • 金とモノの流れがどうなっていて
  • キーパーソンが誰で
  • 何が効率化を妨げているか

を徹底的に研究することが重要となります。

そうして自分が働く業界の裏も表も知り尽くすことが自分の唯一性を高め、スペシャリティへの道を切り開いていくのです。

それにはまず、どこかの会社に属し、知識・経験・スキルを蓄える必要があります。どんなイノベーターも最初はそうしてきた、と瀧本さんは言います。

そうして蓄えた知識や経験をもとに元の会社を叩き潰す会社をつくることだってできるのです。

5. リーダー

自分が起業家となり、みんなをマネージして、リーダーとして行動できる人です。

リーダーという言葉はとても馴染みがあるのでここでの詳しい説明は割愛させてもらいますが、世界的に有能なCEO(ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、カルロス・ゴーンなど)を思い浮かべてもらえばわかると思います。

6. インベスター

最後のインベスターは投資家として市場に参加している人を指します。

なにも株式に投資するだけがインベスターではありません。常に投資家的な視点を持つことが大事なのです。

例えば、就職や転職にも投資家的な視点は必要です。

「この会社は将来大きくなる」とトレンドを読んで入社したとしても、自分が一従業員として安い給料で雇われている限りは意味がありません。自分の労働力と時間という投資に対して、リターンを得られるポジションに身を置くことがお金を投資するのと同じ重みの行為だからです。

会社に株主として参加するとか、利益と連動するボーナスをもらうなりして業績連動型のポジションに身をおかなきゃ意味がないというわけです。

4. 情報を鵜呑みにしない

新聞やテレビのニュースなどの情報をそのまま鵜呑みにしないことも大事なことです。

新聞を読むなというわけではなく、新聞はむしろ必須な情報源なのですが、その情報をどれほどの人々が目にしているでしょうか。もはやその情報は誰でも得ることのできるものであり、コモディティ化してしまっているのです。

情報収集した上で、そのニュースの裏を読む力を養う必要があります

また上記のことにも通じることですが、「自分で調べる一手間」を惜しまない、ということも差別化を図るひとつのポイントです。

「3年連続で業績を伸ばしています」というデータを見たとしても、5年、10年の期間ではどうか、「業績」の詳しい内容はどのようなものか、などを自分で調べるのです。

『僕は君たちに武器を配りたい』を行動に移す

『僕は君たちに武器を配りたい』から学ぶべき、明日から始めたい行動内容は

自分が働く業界の裏も表も知り尽くすこと

です。

「3. 今後生き残る4タイプの人と生き残れない2タイプの人」の「④イノベーター」の部分で紹介しましたが、他人と差別化をはかりオンリーワンの人材になるためには、まずは自分の分野を極めましょう。

仕事でなくとも、自分が興味のあることなら何でもいいと思います。まずは一つを徹底的に深掘り、周りの人も含めて自分が一番詳しいというレベルをまずは目指してみましょう。

最後に

全てのタイプの生き方に通じる大切な言葉を瀧本さんは残しています。

社会に出てから本当に意味を持つのは、インターネットにも紙の本にも書いてない、自らが動いて夢中になりながら手に入れた知識だけだ。

どんな生き方を選ぶにしても、生き残っていくための基本要素には主体性や興味というものが根底にあると感じました。

自分が熱意をもって身につけた経験や知識は、無理やり入った会社の先輩からイヤイヤ教えられる知識とは違う。いくら記者といえど他人が言っているニュースや考えを鵜呑みにするよりも、自分で取りにいった情報と考え抜いた経験が武器になることは間違いない。そう思うのです。

本書が示す6タイプという分類を参考に、今後の生き方について一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょう。気になった内容をしっかり確認したい方は、ぼくが買ったエッセンシャル版のような文庫もあるのでお手に取ることをオススメします。

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それでは楽しい読書ライフを!

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それでは楽しい読書ライフを!