仕事のやりがいを再発見するための「ジョブクラフティング」

ジョブクラフティング
あすどくくん
今の仕事に満足できない…
あすどくくん
転職したいけど、もう一歩が踏み出せない…

そんな人がまず最初にすべきことは、現状の仕事の価値観を見直してみることです。転職するにしても、「前の仕事でもっとできることはあったな」などと後悔しないために、改めて今やっている仕事と向き合う必要があります。

今回、現状の仕事の価値観を見直すために、『科学的な適職』で紹介されているジョブクラフティングという手法を紹介します。そこで捉え直した価値観に基づいて再度今の仕事と向き合ってみて、「こんなやりがいを見出せる仕事だったんだ」という新しいやりがいが見つかれば続ければいいし、「やっぱりこの職場を離れた方がよさそうだ」という結論に至れば転職などの選択肢を考えればよいのです。

それでは、ジョブクラフティングの具体的な流れと方法を簡単に解説していきたいと思います!これまで見えなかったやりがいを今の仕事に見出せる可能性があるなら、試してみる価値はあると思いませんか?

ジョブクラフティングとは?

『科学的な適職』で言及されているジョブクラフティングの定義は「自分の仕事を価値観にもとづいてとらえ直す手法」です。どんなに細かい作業も俯瞰してみれば大きなゴールにつながっている、ということを認識できれば新たなやりがいを見出すことができます。

例として、17世紀のイギリスの建築家・クリストファー・マイケル・レンが伝えたエピソードを紹介しましょう。

クリストファーは自身が設計したセントポール大聖堂の建築現場で働く作業員たちに、「あなたはどんな仕事をしているのですか?」と尋ねて回りました。そこである3人の男はそれぞれこう答えました。

・1人目の男「石を細かく切ってるんです」
・2人目の男「5シリングと2ペンスを稼いでるんです」
・3人目の男「私は美しい大聖堂を作っているんです」

以上の3人の答えからもわかるように、それぞれ自分の仕事の捉え方は異なります。特に3人目の男に注目したいのですが、彼もその他の人と同じ作業をしていたにもかかわらず、自分の仕事を大聖堂を作るという大きなゴールの一部として捉えていました。つまり「やりがい」を感じていたのです。

現状はあなたも、1~2人目の男と同じように、「ただ書類を作成しているだけ」「生活のためのお金を稼ぐためにやっているだけ」と思っているかもしれません。「いまの職場に大きな不満はないけど、このままでいいのだろうか…」と少しでも悩んでいたら、ジョブクラフティングを試す価値は大いにあります!

ジョブクラフティングの手順①: 仕事の構成を分析する

ジョブクラフティングは「ビフォー・スケッチ」と呼ばれる作業から始まります。下の図のように、今やっている仕事を洗い出し、どのくらいの時間とエネルギーを使うかを書き出してみましょう。全てのタスクで100%になるように割り振っていきます。

ジョブクラフティングの手順①「タスクの洗い出し」
ジョブクラフティングの手順①「仕事の構成を分析する」(参考: 『科学的な適職』253ページ)

単純に目の前の仕事をしていると気づけないですが、自分の仕事の全体を見直すいい機会だと思ってやってみましょう!

ジョブクラフティングの手順②: 現状の仕事を振り返る

今やっている仕事をリストアップして、それぞれどれくらいの労力をかけているかが客観的に見れたと思います。それを少し時間をかけて振り返ってみましょう。具体的には以下のような質問に答えます。

①その仕事をはじめたときと比べて、現在かけている時間やエネルギーの割り当てに変化はあるか?
②現在かけている時間とエネルギーの割り当てについて、どのように感じたか?そう感じた理由は?
③全体を見て、驚いた点はあるか?(実は思った通りに時間配分ができていない、など)
このような質問に答えることで、普段何気なく仕事をしていては気づけないことも見えてきます。もっとこうしたほうがいいというのはわかっているのに、実際にはそのように動けていないというような改善点なども見えてくるかもしれません。目的も考えずにこなしていた作業や、そこまで重要でない仕事に時間をかけているなどの問題点があるかもしれません。

ジョブクラフティングの手順③: 価値観の確認

次に「動機と嗜好」を選ぶ作業に入ります。『科学的な適職』によると、「動機」と「嗜好」はこのような意味です。

動機: 仕事を通じてどのような「価値観」を達成したいか? もしいまの自分が満ち足りてなんの不安もない人生を送っていたとして、それでも自分を仕事に駆り立てるような感情とはどのようなものか?

嗜好: 実際に仕事を行うにあたって、どのような能力やスキルを発揮していきたいのか? どんな行動を通して自分の価値観を達成したいのか?

直感でいいのでこの質問に答えてみましょう。すぐに思いつかない場合は以下のリストから、それぞれ3~4個ほどピックアップしてみましょう!

【動機】
自由を求める、成長する、楽しさを求める、達成感を得る、権力を求める、安心を得る、周囲との調和、伝統を守る、影響力を高める、人間性を高める、人を助ける、人を導く、とにかく実行する、新たなものを想像する
【嗜好】
判断力、よく考える、創造力、知恵、専門性、学習性、忍耐力、集中力、誠実さ、活力、寛大さ、社交性、趣味のよさ、楽観性、ユーモア、ものごとを整理する

ジョブクラフティングの手順④: 新たな言葉で捉え直す

次に、自分が考える仕事のイメージを新たな言葉で捉え直す作業です。「課題クラフティング」と呼ばれるものですが、ぼくはこの段階がジョブクラフティングにおいて最も重要だと思っています。

先ほどの大聖堂の建築作業員たちの例でいうと、これまで仕事は「石を細かく切る作業」にすぎなかったかもしれません。そこに新しい意味合いを付け加えるのです。例えばそれは「大聖堂を作るために働く」ということかもしれないし、もっと大きな意味でいえば「キリスト教の布教に貢献するために美しい大聖堂を作る」「キリスト教徒の生活をより豊かにする」という仕事に捉え直すことができるかもしれません

具体的な方法としては以下の図のように、手順③で選んだ動機と嗜好を生かせそうな仕事はどれだろうと考え、それらを紐づけます。

ジョブクラフティングの手順④「新たな言葉で捉え直す」
ジョブクラフティングの手順④「新たな言葉で捉え直す」(参考: 『科学的な適職』257ページ)

ジョブクラフティングの手順⑤: 上位ゴールの認識

ジョブクラフティングもいよいよ終盤です。手順⑤では自分の仕事への視点を変えて、自分にとっての「役割」を新たに設定します。つまり目の前の仕事に追われるのではなく、それが結果的に何をもたらすか、どのようなゴールにたどり着くためにやるのかを考えるのです。(『科学的な適職』ではこのステップの前に「関係性クラフティング」というプロセスが紹介されていますが、より簡潔にするためにここでは省略します。)

・これらの仕事は、組織や自分にとっての大きな目標につながっているか?
・より上位のゴールや価値観を満たすために役立つことができるか?
これらに質問に答えて、しっくりくる「役割」を設定しましょう。具体例としては以下の図のような感じです。
ジョブクラフティングの手順⑤「上位ゴールの認識」
ジョブクラフティングの手順⑤「上位ゴールの認識」(参考: 『科学的な適職』261ページ)

ジョブクラフティングの手順⑥: アクションプランの作成

さて、ジョブクラフティングの最後のステップです。ここまでで現状の仕事について深く考え、自分の中で新たな価値観ややりがいが見えただけでも効果はあったと思います。しかしこれらの作業をはるかに効果的に活かすには、やはり実際の業務に行動として落とし込む必要があります。

手順⑤で決めた自分の「役割」を果たすために自分にできそうなことを紙に書き出していきましょう。このアクションプランの作成のために『科学的な適職』ではワークシートが提示されています。この質問に答えればスムーズにアクションプランを作成できます。

①完成したジョブクラフティングの図を現実にするための、明確な行動は?
-次の1週間でできそうなことは?
-次の1ヶ月でできそうなことは?
②完成したジョブクラフティングの図を現実にするために、助けてくれそうな人を具体的に3人あげましょう。また、いつどのように手助けを依頼しますか?
③完成したジョブクラフティングの図を現実にするにあたり、どんな困難や障害があると考えられますか?その困難や障害を避けるために、何ができますか?
これはイリノイ大学が実際の従業員のために開発した、「やりがい」の向上に役立つ明確な行動プランと、その過程で発生しそうなトラブルを考えるのに役立つツールです。

以上がジョブクラフティングの具体的な流れとやり方です。これはあくまで今後の自分のキャリア選択を助けるためのツールにすぎません。現状の仕事に満足できないなら、一度しっかり向き合って、新たな視点で見直すべきです。それを判断材料に、やりがいを見つけて続けるか、転職するかを決めることができます。
ここまで考えてもピンとこない場合は、本格的に職場を変える選択肢を検討してみいいでしょう。他にも『科学的な適職』には「仕事の幸福につながると勘違いされていること」「仕事の満足度を高めるポイント」「あなたの幸せを破壊する原因」「適職探しを間違わせる思考の歪み」など、自分に合った仕事を探すためのヒントが散りばめられています。これらは世界中の論文などに裏付けられているものです。
これから仕事に就く大学生や、現在の仕事になんとなく不満を持っている若手、そろそろ新しいキャリアステップを考えている中堅のみなさんにはオススメの一冊です。

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