今回は、世界中で最も読まれるビジネス書の一つであるカーネギー著『道は開ける』を紹介したいと思います。
カーネギーのもう一つの代表作『人を動かす』では主に対人関係について言及されている一方で、
この本は主に個人の「悩み」に焦点を当て、誰もが抱く悩みを解決する方法または未然に防ぐ方法が紹介されています。
もともとアメリカで1948年に出版された『道は開ける』ですが、内容に古いといった印象はなく、現代の悩みにこそ効く教えだというのがこの本を読んでの感想です。時代を超えても褪せることのない知恵が載っていると考えると、日本だけでも300万部も売れているのはうなずけますよね。
『道は開ける』はどんな内容?
「悩みの原因を根本から突き止め、悩みを克服するための具体的な方法を解き明かした不朽の名作」と帯に書かれていますが、まさに悩みを解決する本の原点であり、あらゆるビジネス書の原典となっていると言っても過言ではない、それが『道は開ける』です。
7章に分かれて28もの教えが収録されていますが、具体的な悩みの解決方法から、そもそも悩みに振り回されないメンタルの持ち方まで、欲しいところに手が届く内容です。
悩みを分析し、解決する方法
なんといっても本書の注目すべき項目は、この「悩みを分析する」という点でしょう。
本来頭の中でにあるもやもや、不安定なメンタル、イライラしてしまう心、そんなあいまいな悩みをしっかり分析することが、解決への道だとカーネギーは教えてくれます。
具体的な悩みの分析および解決方法は以下の手順です。
①悩んでいる事柄を詳しく書き記す
②それについて自分にできることを書き記す
③どうするかを決断する
④その決断を直ちに実行する
それではこの悩みを解決に向かわせるプロセスを一つずつ簡単に見ていきましょう。
①悩んでいる事柄を詳しく書き記す
「私は何を悩んでいるか?」と問うことからはじめます。なんとなく嫌だった出来事や不安なことはわかっているはずです。
しかし、では具体的に何が悩みなのか、その悩みの何が困るのかというところまで深掘りしていくと、本当に自分が悩んでいるポイントにたどり着けます。
この言語化するプロセスは自分の悩みを理解する上で非常に重要なポイントです。
「何を悩んでいるか?」「なぜ悩むのか?」「嫌なポイントはどこか?」など自分への質問を繰り返しながら、紙に書き出していってみましょう。
このように紙に書き出して、悩みを言語化するだけで意外と「こんなことに悩んでたんだ」「もしや、気にしなくていいんじゃないか?」と思えることも多々あります。
そのような妄想はここで消しましょう。
②それについて自分にできることを書き記す
次の質問は、「それに対して私は何ができるか?」です。
悩みが言葉になると、何に悩んでいるのかが決定的になります。
では、現実としてどのような対応ができるのでしょうか?
それでスパッと悩みが解決するような素晴らしい案ではなくても全然OKです。
とりあえず考えうる解決策を洗い出してみましょう。
ここでは、「最悪の場合どうなるか?」ということを考えるのも一つの手です。そして場合によってはその最悪な事態を受け入れる覚悟をします。
しかし、ほとんどの悩みの最悪な事態は、見方によってはたかがしれています。「そんなに悩むべきものなのか?別に死ぬわけじゃあるまいし」となってしまうこともあります。最悪な事態を想定してしまうことで、気持ちが軽くなることもあります。
本当に深刻な事態に発展しうる場合は、「ではその事態を少しでも良くすることはできないか?」と現実的に考えることが重要です。
③どうするかを決断する
②で解決策を複数出したら、「私はどういうことを実行しようとしているか?」つまりその中で一番良いと思う解決策を選びましょう。
それぞれ頭の中でシミュレーションをしてみます。メリット・デメリットを比較します。
その中でもっとも悩みを解決できそう(和らげることができそう)と思うものを選択します。
できるだけ客観的に考えることが重要です。誰かの悩みを聞いているつもりで、冷静な目で決断しましょう。
④その決断を直ちに実行する
最後は「私はそれをいつから実行しようとしているか?」と問うことです。
考えてばかりいては、話は進みません。
時間が解決してくれることや、状況が変わることで解決する悩みもあるでしょう。
しかし、あなたが本当に悩んでいる問題は、そんなに簡単なものではないかもしれません。
そういった悩みは、実際に自分が行動しないことには解決しません。
自分らしく生きる
上記の悩みを分析し、解決する方法に加えて、本書で取り上げたいテーマが「自分らしく生きる」です。
カーネギーはこう言います。
人類が誕生して以来、あなたと瓜二つの人間はいなかったし、将来どんな時代が訪れようと、あなたとまったく同じが現れることはないだろう。
自分らしく生きることが、悩みの防止や軽減につながるのではないかと考えました。
自分の持っているものを最大限活かす
ショーペンハウエルの言葉を借りてカーネギーは、こう言います。
「自分に備わっているものをほとんど顧慮せずに、いつも欠けているものについて考える」傾向こそ、地上最大の悲劇と言ってもよい。
自分について考えるときに、長所より短所が気になったりしてしまいませんか?
しかし、あなたはあなたに与えられた特技や能力を持っています。
当たり前を当たり前だと気づかないことも大きな問題です。
カーネギーは本書で、両足がない人が自分よりも元気に暮らしている例を紹介します。自分に自由な手足があることを再認識し、自分の悩みがその人に比べていかに小さいものかを実感するというエピソードです。
このように自分が持っているものに気づかないことは多々あります。
今あなたが持っているものに目を向けてみましょう。
いろいろ試して得意なことを見つける
自分に何ができるか、というのは意外と自分では見えない部分も大きいのです。
本書では、アメリカの詩人エマソンの言葉が引用されています。
「自分に何ができるかを知っている人間は自分以外にないが、自分でさえ試みるまではわからない」
とにかく今自分ができることをいろいろやってみる。試してみないと自分が得意かどうか、好きかどうかはわかりません。「やってみないでもわかる」というのはわかった気になっているだけではないでしょうか。
ピンチはチャンスである
本書では、「レモンを手に入れたらレモネードをつくれ」という言葉が使われていますが、カーネギーは、人間を「愚か者」と「賢い人」に分けて、このように言及しています。
愚か者は、
「私は負けた。これが運命だ。もはやチャンスはない」と考える。
賢い人は、
「この不運からどんな教訓を学ぶべきだろう?どうしたら周囲の状況がよくなるであろう?どうすればこのレモンをレモネードに変えられるだろうか?」と考える。
レモンという言葉には不快なものという意味があるそうですが、つまり自分にどんな短所があろうと、どんなピンチな状況であろうと、チャンスにつながる糸口を探す努力をすることが重要です。
ベートーヴェンがあれほどの音楽を作れたのは、耳が聞こえなかったことも関係があるかもしれません。
このように本『道は開ける』のついて、「悩みの分析・解決方法」と「自分らしく生きる重要性」という切り口で紹介しました。
明日からはじめよう!
本書『道は開ける』から学ぶべき、明日からはじめたい行動内容は、
悩みを書き出しみる
です。
先ほども紹介したとおり、悩みをなくすのは、この悩みの言語化が入り口となります。紙とペンがあればできます!ぜひ実行してみてください!
他にも学べること
- 悩みの習慣を断つ方法
- 批判を気にしない方法
- 疲労を防止する方法
etc.
何かに悩んでいて、本に解決策の糸口を見出そうとしている人には、まず読む本としておすすめです。