見城徹の読書術: 読書で他人の人生を疑似体験する

『読書という荒野』見城徹

ぼくが大好きな読書。

その読書とたまには真剣に厳しめに向き合いたいと思い、とある2冊の本を再読しました。

https://twitter.com/bobisummer0/status/1261257575040823298

経営コンサルタントの瀧本哲史さんの『読書は格闘技』と、幻冬舎社長の見城徹さんの『読書という荒野』です。

今回は、見城さんの『読書という荒野』とともに、読書についてマッチョに向き合っていきたいと思います。小説をのんびり読んだりするのが好きな人も多いと思いますが(ぼくも大好きです)、ここではそういった読書を念頭に置きません。

読書は大きく二つに分けられると思います。

一つは実用書やビジネス書からの情報収集という目的でする読書。もう一つが、小説やエッセイなどのストーリーや著者の考えを楽しむ読書です。

『読書という荒野』で焦点が当てられるのは、後者のような読書です。

多様な人生を疑似体験する

小説が最もわかりやすい例ですが、登場人物たちの人生を疑似体験することで、一生では体験できないことを学ぶことができます。

読書をすれば無数の人生を体感できる。

人間は多様で、さまざまな価値観を持つ。そうした他者への想像力を持たない者に、成長も達成もない。

つまり、その本の時代や登場人物が立つ背景などは、実に多様です。自分の人生は一度きりで、経験できることには当然ながら限りがあります。しかし、本の中のストーリーを通して無限の人生を疑似体験できるのです。

そしてそのような他人の人生を通して、自分の現実の人生を客観的に見ることができるようになります

本を読めば、自分の人生が生ぬるく感じるほど、苛酷な環境で戦う登場人物に出会える。

忙しい日々を生きていると、つい目の前のことしか見えなくなってしまいます。自分の人生は全てと思い込んでしまいます。しかし、他人の人生を知ることで、自分はどのような立場にあるのか。これほど恵まれた人生はないのではないだろうか、などと相対的に見ることができるようになります。

自分がどう感じるかを大事にする

読書とは「何が書かれているか」ではなく「自分がどう感じるか」だ。

では本をどのように読めばいいのかというと、内容を理解し、楽しむだけではなく、自分の頭で咀嚼することが重要になります。

知識を身につけるという目的よりも、その本から何を感じたかのほうが重要です。自分の心揺らぐ瞬間を発見し、思考の軸とすることこそが教養なのだ、と見城さんは言います。

人間を人間たらしめるのは言葉だ。では、人間としての言葉を獲得するにはどうすればいいのか。それは、「読書」をすることにほかならない。

見城さんはこのように読書の重要性を説きます。そしてこうも言います。

何度でも書くが、正確な言葉がなければ、深い思考はできない。深い思考がなければ、人生は動かない。

つまり読書をすることで正確な言葉を獲得し、その言葉によって自分の人生を変えていくということです。

漫然と読書をしているのでは、成長にはつながらないというのが見城さんの主張です。本を読んで「面白かった」「学ぶことが多かったな」という漠然とした感想を持って、読了とする人はかなり多いのではないでしょうか。

具体的には、読書をする中で、「自己検証」「自己嫌悪」「自己否定」の三つがポイントです。いかにも見城さんらしい言葉ですが、この三つの繰り返しこそが本の内容を我が地肉として、自分の人生に還元するのです。

自己検証

自己検証とは「自分の思考や行動を客観的に見直し、修正すること」です。読書を通して他人の人生を疑似体験することにより、社会の中での自分を客観視することができます。

自己嫌悪

自己嫌悪とは「自意識過剰さや自己顕示欲を恥じ、自分の狡さや狭量さ、怠惰さに苛立つこと」です。自意識過剰というつもりはないかもしれません。自分は誠実に生きているし、勤勉だと思うかもしれません。しかし、想像を絶するような本の中の登場人物たちに数多く出会うことで、自分を再評価することができます。

自分のことを嫌う必要はありません。しかし、自分が完璧な人間ではないということもまた事実だとわかるはずです。

自己否定

自己否定とは「自己満足を排し、成長していない自分や、自分が拠って立つ場所を否定し、新たな自分を手に入れることだ」といいます。自身の成長志向を持ち続ける上で、この考えは捨てられないでしょう。どれほど恵まれた環境に身を置き、成長している人生だと思っていても、それはまだまだ限界ではないと気づくこともあるでしょう。

言っていることはかなり厳しく、自分を全否定しているかのようですが、まさに見城徹の読書術とは、このようなものなのです。もちろん全ては自分が前に進むためのポジティブな姿勢という前提があることは忘れてはいけないと思いますが。

『読書という荒野』を行動にうつす

本書『読書という荒野』に学ぶべき、明日からはじめたい行動内容は

本の中の登場人物と自分を比べる

です。

厳密に言えば、「自己検証」「自己嫌悪」「自己否定」という三点から自分の人生を見直していきたいところですが、まずは自分と登場人物を比べてみるということを意識してみましょう。

自分の人生のに対する見方が変わるかもしれません。

最後に

読書を通じてさまざまな人生を疑似体験し、「自己検証」「自己嫌悪」「自己否定」を繰り返しながら、自分が思ったことは大切にしていく。

そのような真剣に向き合う読書ができれば、一冊の本から得られるものは、これまでの比ではないでしょう。

見城さんの本を読んだことがないという方は、一度読んでみると、目を覚まされるような「一撃」をくらうはずです。

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