寿命100年時代に知っておくべき「マルチステージ」と「無形資産」

寿命100年時代に知っておくべき「マルチステージ」と「無形資産」

現在50歳未満の人は100歳まで生きるつもりで過ごすべきだ

これはロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットンとアンドリュー・スコット著『LIFE SHIFT (ライフ・シフト)』で世の中に知らされた主張です。

この原作は400ページ超あり、少し読むことを躊躇っていたところ、内容を効果的に学べる漫画版『まんがでわかる LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略』を見つけたのでそちらを読みました。

『LIFE SHIFT (ライフ・シフト)』によると、次のようなデータが示されています。

①2007年生まれの子どもの半数が、日本では107歳まで生きうる
②いま50歳未満の日本人は100年以上生きる時代を過ごすつもりでいたほうがいい
③いま80歳の人は、20年前の80歳よりも健康だ
このようなデータをもとに、もうすぐそこに「人生100年時代」はやってきていて、生き方も変わる、つまりライフシフトが起こるべきだと本書では主張されています。
そんな寿命100年の時代に、長寿化に対する不安を減らし、その恩恵を最大限受けるにはどうすればよいのでしょうか?ここではその答えを「マルチステージ」と「無形資産」という2つのキーワードで解説していきたいと思います。

現在の各国の平均寿命

厚生労働省の『平成30年簡易生命表の概況』の「平均寿命の国際比較」によれば、日本人の平均寿命は男性81.25歳女性87.32歳という現況です。下の表からも、日本は世界的に見ても特に高い水準であることがわかります。

各国の平均寿命
各国の平均寿命(出典:『平成30年簡易生命表の概況』の「平均寿命の国際比較」)

さらにこの長寿化の傾向は今後も続くと『LIFE SHIFT』では主張されています。その根拠はこれまでの平均寿命の推移です。

主要国の平均寿命の年次推移
主要国の平均寿命の年次推移(出典:『平成30年簡易生命表の概況』の「主な国の平均寿命の年次推移」)

マルチステージへの移行

寿命100年の人生になると何が変わるかというと、人生の大きな流れが一変します。これまでは基本的に決まった土台の上で誰もが生きてきました。「教育を受け、仕事をし、引退して老後を過ごす」という3つのステージで人生を歩むことが普通でした。大学に進学するのか就職するのか、転職するのか、60~65歳まで働くのか、などの小さな違いはありましたが、大きな流れはこの「教育→仕事→引退」の3ステージでした。

しかし寿命100年時代には、この3ステージから「マルチステージ」に移行するというのが『LIFE SHIFT』の主張です。「マルチステージ」とは簡単にいうと「より多様な人生」です。教育という概念をもっと広く捉え、仕事も複数のキャリアを持ち、生涯を通して人生の選択肢を広げていくという生き方です。

新卒で入社した会社に生涯勤め上げ、退職金、公的年金を受給し、老後を暮らす、という一辺倒な人生ではありません。すでに終身雇用などによる退職金や老後の公的年金はあてにできるものではありません。一生涯を通して、会社勤め、起業、副業、NPO、ボランティアなど多様なキャリアを組み合わせることが「マルチステージ」のポイントです。

この「マルチステージ」において、教育、仕事、引退という従来の要素に加え新たに3つのステージを定義することができます。

マルチステージ① エクスプローラー

エクスプローラー (Explorer) は自分についての理解を深めるステージです。日常から離れて旅をしたり、新しい人と出会ったりして既存の価値観から抜け出し、自分についてより深く理解します。これはどちらかというと、就職の時期が特定されておらず、転職が当たり前な欧米などのほうが馴染みがあるかもしれません。100年という長い人生を考えると、この自分についての理解は最も大切な要素の一つといえます。

マルチステージ② インディペンデント・プロデューサー

インディペンデント・プロデューサー (Independent Producer) は組織に雇われずに自分で仕事を生み出していくような人を指します。これは主に起業を意味しますが、目的はお金を稼ぐことだけではありません。やりがいや人とのつながりに重きを置きつつさまざまな経験をするステージです。

マルチステージ③ ポートフォリオ・ワーカー

ポートフォリオ・ワーカー (Portfolio Worker) は異なる種類の活動を同時に行う人です。会社に勤めつつ、起業をしたり、学業に励んだり、ボランティアに参加したり、という生き方をしている人はすでにいます。経験や知識を身につけ、活かし、いろんな自分を楽しむステージだといえます。

どのようなステージを選び、組み合わせるかというのは人によって異なります。この寿命100年時代に最も重要なことは、変化に合わせて自分を柔軟に変えていくことです。新しい価値観で常に自分の生き方を見直していけることこそが、最強の武器になります。

寿命100年時代に必要な無形資産とは?

寿命100年時代には「無形資産」をどれほど持っているかが重要になると『LIFE SHIFT』はいいます。有形資産と聞けば、すぐに貯蓄や家など目に見える資産、お金に直結するようなものが連想されるはずです。

一方で、無形資産とは目に見えないもので、お金には直接換算できない資産を指します。この無形資産には大きく分けて3つの種類があります。

無形資産① 生産性資産

生産性資産は稼ぐためのスキルや知識、仕事仲間、評判など、つまり所得を得るための資産を意味します。これらの生産性資産は持っているだけではなく、常に更新していくことが重要です。例えば、仕事における営業スキルなどは時代によってアップデートしていく必要があります。かつては顧客との対面での接し方が重要だった営業スキルが、今度はオンラインでの効率的なプレゼンテーションが求められるという変化があらゆるスキルに起こり得ます。

また人間関係についても、会社の看板ありきでのあなたへの信頼はさほど重要なものではありません。あなたがその会社を去ってしまえば、その信頼もなくなってしまうおそれがあるからです。どのような場所でもあなた個人として評価されるべき人間関係が、今後重要になる生産性資産です。

無形資産② 活力資産

活力資産はバランスのとれた生活や家族との良好な関係など、つまり肉体的・精神的な健康のことです。寿命が伸びるからこそ、どれだけ健康でいられるかはますます重要になってきます。仕事だけに没頭し、ストレスを抱え、長時間労働で健康を害す、ということスタイルはこれからの寿命100年時代には論外といえるでしょう。活力を与え合える家族や友人との関係も非常に大切なポイントです。

無形資産③ 変身資産

変身資産は社会の変化に柔軟に対応していく意志と能力を指します。これからの激動の時代を生き抜くために、何度でも新しいステージへの移行を成功させることが求められます。そのために必要なのは、自分をどれだけ変えられるか、なのです。

この変化への対応力を高めるポイントは3つあるといいます。1つ目は自分についてよく理解し、自分の将来の可能性を知ること。2つ目は幅広いネットワークを築いておくことで新しいステージへの円滑な移行を遂げることです。そして最後3つ目が、積極的に新しいことに挑戦していくことです。

以上が寿命100年時代に必要な3つの無形資産という考え方です。

「マルチステージ」や「無形資産」について理解することは、これからの人生設計に大きな助けとなるでしょう。まずは自分の人生をどのようなものにしたいかを考え、思い描く必要があります。多様な選択肢に悩むことはたくさんあるでしょう。

しかし「自分が100歳になったときに納得できる決断」「自分が決めたことが正解だと思えるような行動」をすることが何よりも大切です。寿命が100歳を超えることを、不安に感じるよりも、楽しい人生をより長く味わえる喜びを感じたいものですね!

このような『LIFE SHIFT』の要点が漫画で簡単に読めるのが『まんがでわかる LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略』です!ぜひ興味を持った方は、お手に取ってみてください。

こちらの原作、ちょっと分量があって読むの躊躇するな〜という方は、耳で聞いてみるのではどうですか?3500円ほどの『LIFE SHIFT』のオーディオブックがAmazonで今なら無料です!Amazonページはこちらから!>>https://amzn.to/3irBdBg

それでは楽しい読書ライフを!

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