あなたの強みの見つけ方:3系統のキャリア戦略

強みの見つけ方・活かし方
あすどくくん
自分に合った仕事がわからない…
あすどくくん
どんな会社に就職すればいいか迷う…
あすどくくん
これからも今の仕事を続けるべきなんだろうか…

進路やキャリア選択に悩みを持っている人って多いですよね。あなたも就職先を迷っていたり、現状の会社に満足できず転職を考えているかもしれません。「この道をいきたい」と自信を持って言えないのはどうしてでしょうか。

あなたが進路を決められない原因は、世の中にどのような仕事や会社があるかを知らないことではありません。自分の中に「軸」がないからです

はたして世の中の仕事や会社をすべて把握できたからといって、最適な選択肢を選べるでしょうか?自分の軸をしっかり持たなければ、余計に混乱してしまうだけです。

キャリア選択のための自分の軸を形成するには、自分の強みとその強みを活かせる場を見つける必要がありますここではあの人気テーマパークUSJを劇的に復活させたことでも知られる森岡毅さん著『苦しかったときの話をしようか』をもとに、キャリア戦略のための強みの見つけ方と活かし方を解説していきます。

ちなみに、この本は森岡さんが自身の壮絶なキャリアの中で身につけたノウハウを、実の娘のためにまとめた手紙という形をとっています。そのため臨場感と思いやりに溢れていて、実際に自分がキャリア指導を受けているという感覚で読むことができます。「やりたいことが見つからない」「就職先・転職先に悩んでいる」という方には必ず助けとなる一冊です

それでは強みの見つけ方と強みの活かし方の具体的な説明に入っていきましょう!

なぜ強みを見つける必要があるか?

まず前提として人間は生まれながらに平等ではない、ということを認識しておかなければなりません。性格、見た目、体格、地力などあらゆる面で自分は人とは違うということを、これまで生きてきてすでにわかっているはずです。

当人の責任とは全く関係なく、人は生まれつき違っている。同じでも、平等でもない。みんな違って、極めて不平等に世界はできている。まずはこの事実を直視しよう。

つまり生まれたときにすでに自分のオリジナル・スペックはある程度決まってしまっています。特に知力の違いは人生に大きな影響を与えるでしょう。しかしここで「運命なんだ」と努力をやめてしまうことほど愚かなことはありません。

自分のユニークな特徴さえ認識できれば、一人一人が特別な価値を生む可能性があるということに他ならない。

森岡さんによると、後天的に自分がコントロールできる要素が3つあります。

①己の特徴の理解

②それを磨く努力

③環境の選択

そうです。いかに自分の特徴を強みとして見出しそれを磨き上げ効果的に活かせる場を選ぶかということが重要なのです

選んではいけない仕事

自分の強みを発揮できる仕事や会社を選ぶことが、最適なキャリア戦略の最重要項目です。だからといって、正解は一つしかないと思う必要はありません。むしろキャリアの正解はたくさんあって、選んではいけない不正解はとても少ない、と森岡さんは言います。

選んではいけない仕事とは次の二つの条件を満たすものです。

自分の特徴が裏目に出る

自分にとって情熱がどうしても湧いてこない仕事

これらが原因でその仕事を早めに辞めてしまう人もたくさんいます。これは「やってみないとわからない」という面もあるかもしれませんが、一番の原因は自己分析の不足です
自己分析は内定を勝ち取るために自分を偽って、少しでもよく見せようとして行うものではありません。大学3~4年生でやらされる自己分析が自分の納得してるものではないと感じるならば、それは自己分析のやり方か姿勢が間違っているかもしれません。
自分のキャリア選択に失敗しないためにも、強みを見つけるための正しい自己分析の方法を以下で学んでいきましょう。

自分の強みを見つけるための3系統

森岡さんは世の中の人の強み(特徴)を大きく3つにざっくり分類しています。

Tの人 (Thinking)

Cの人 (Communication)

Lの人 (Leadership)

これらはどの職能においても土台となるビジネスパーソンの基礎能力です。自分は「考える力」「コミュニケーションする力」「リーダーシップ力」のどれが秀でているかを考えることで、自分の傾向、得意なこと、向いている仕事などが見えてきます。

どの強みを磨くべきかを知るのが早ければ早いほど、周りと差をつけるのも早くなります。できる限り早くこの自己分析を行っておくべきでしょう。

この自己分析は結論から言うと、自分のこれまでの人生で好きだったことを軸に自分の強みを見つけていく方法です。そしてその強みを、①Tの人 (Thinking)、②Cの人 (Communication)、③Lの人 (Leadership)に分類することで、自分の特徴を活かせる仕事の選択肢が見えてきます。

この自己分析の手順の前に、この3系統の特徴を「好きなこと」「趣味」「傾向」「向いている仕事」とともに理解していきましょう。

① Tの人 (Thinking)

Tの人は考える力や戦略性が強みになります。Tの人の好きなことの動詞は「考えることが好き」「勉強することが好き」「分析することが好き」のように頭を使ったり、新しい知識を身につけることが好きな傾向にあります。

暇になると無意識に課題を設定して頭を使って遊んだり、行動するより先に考える習慣がついていたりします。趣味は知的好奇心が満たされるものや、日常的に加熱する脳をリフレッシュするためのものが多い。

Tの人は「知的好奇心をガソリンにして考える力を磨き、より大きな結果を出す、その好循環でキャリアを作っていくのが基本戦略となる」といいます。

【Tの人に向いている仕事】
ファイナンス、コンサルタント、研究職、アナリスト、マーケティング、企画系など

② Cの人 (Communication)

Cの人は伝える力や人と繋がる力が強みです。Cの人の好きなことの動詞は「人と会うことが好き」「話すことが好き」「聞くことが好き」のように人と関連することやコミュニケーションに関することが多くなります。人脈づくりが趣味のようなところがあり、SNSや習い事での人との交流を好みます。

コミュニケーション能力と社交性が高く、人に好かれる才能にも秀でている人がC系統には多くいます。人との繋がりを広く太く持てている自分自身に価値を置く傾向にあり、それほど親しくなかった友人から結婚式の招待状が届くと、素直に嬉しいと思えたりします(C系統でない人は、「えっなんでこの人から?」と戸惑うでしょう)。

Cの人は「強い対人コミュニケーションを武器に使い、人と人を繋げることで新たな価値を生み出していく職能において秀でていくのが基本戦略となる」といいます。

【Cの人に向いている仕事】
プロデューサー業、営業職全般、PR/広報、交渉人、多くの関係者を巻き込む企画職(広告代理店など)、ジャーナリスト、政治家など

③ Lの人 (Leadership)

Lの人の強みは変化を起こす力、人を動かす力です。「何かを達成することが好き」「高い目的を定めて挑戦することが好き」「後輩などの世話を焼くのが好き」というようなことを好みます。とにかく挑戦することや達成することが大好きです。起業家や経営者には Lの人が多いのはこのためでしょう。

達成感を味わうことが生きがいで、マラソンやジム通いなど自分の中で挑戦する目的が明確になりやすいものが趣味になります。あまりリスクをリスクと感じないのも特徴でしょう。

Lの人は「高い目的意識で自分が起点となって周囲を動かし、組織に高いパフォーマンスを発揮させる能力を武器にキャリアを切り拓いていくのが基本戦略となる」といいます。

【Lの人に向いている仕事】
管理職、経営幹部、経営者などのマネジメント職、プロジェクトマネージャー、プロデューサー、研究開発リーダーなど

強みを見つける具体的な自己分析方法

それでは強みの系統を理解した上で、さっそく自分の強みも①Tの人 (Thinking)②Cの人 (Communication)③Lの人 (Leadership)のどこにあるのかを見極めていきましょう。

強みは「特徴」とそれを活かす「文脈」がセットで発揮されるものです。しかし、いきなり自分の「特徴」を見極めるのは少し難しいと思うので、まずはつかみやすい文脈から考えていきましょう

“強み”を見つける最大の近道は、社会との関わりで気持ちよかった文脈(≒自分が好きなことをしている文脈)をどんどん列挙することだ。

この「自分が好きなことをしている文脈」こそ、すでにあなたの強みが発揮されている可能性が極めて高いといいます。

用意するものは大量のポストイットA4用紙が4枚だけです。ポストイットは200枚が100円でも売っていますし、A4用紙もコピー用紙なら簡単に手に入ります。

好きだったことを洗い出す

今までに自分が好きだった「〜すること」をポストイットに書き出していってみましょう。1枚に1つ、最低50個、できれば100個くらい書いていくのが好ましいそうです。そしてそのポストイットを机や壁にペタペタ貼っていきましょう。

ポイントは名詞ではなく動詞で書くことです。例えば「中学校のバスケ」ではなく、「部活のバスケで地区大会で勝ち抜く作戦を考えることが好きだった」というように具体的に動詞で書きましょう。似たようなことが重複してもかまいません(むしろ似通ったものが集まるでしょう)。

思い出すことが難しければ、昔の自分を知っている友人や家族に話を聞いてみたり、写真や卒業アルバムなどを見てみましょう。

好きなことを振り分ける

次に用意したA4用紙の4枚をそれぞれT・C・L・それ以外用として使います。好きなことを書いたポストイットをそれぞれ当てはまる紙に仕分けしていきましょう

「食べることが好き」「寝ることが好き」などT・C・Lのどれにも当てはまらなそうなものは「それ以外」の紙に振り分けましょう。あまり深く考えず、直感で選んでいけばいいといいます。

50~100枚を仕分けした後に、ポストイットが最も集中している系統こそがあなたの強みを表している可能性が高いのです。森岡さんの経験上、8割以上の人はT・C・Lのどれか1つの系統に集中するといいます。

1つの系統に集まった人は、勝ち筋はシンプルなのでその強みが活かせるような仕事、強みを伸ばしていけるような就職先を選ぶとよいでしょう。

2つの系統に集中した人は、その2つが強みと考え、その強みの組み合わせが武器になるような仕事を選びましょう。残った1つの能力が弱点の可能性もあるということを認識しておくことも重要です。

3系統に分散した人は、特徴がないように見えて実はそうではなく、極めてレアな特徴だといいます。その器用さを活かし、なんでもまんべんなくこなせないと務まらないような仕事を選べば自分の強みが生きます。

具体的な仕事とマッチさせる

この3系統の強みから、上で紹介したそれぞれに向いている仕事を参考に、どのような職業が自分に合っているかを考えてみましょう

できるだけ早いうちに、できるだけ頭が柔らかいうちに、スキルを高める挑戦を意図的に選ぶべき旅を始めるべきだ。

30代、40代になっても自分の特徴を理解していない人はたくさんいるはずです。たまたま入った会社で、生活のために働いているだけという人もいるでしょう。しかし、あなたは今自分の特徴に気づき、強みを見つけるチャンスを早くも見つけたのです。いつでも遅すぎるということはありませんが、早すぎて困ることはありません。

森岡さんは「会社と結婚するな、職能と結婚せよ」と主張します。もはや終身雇用の時代は終わり、会社ありきでのキャリア戦略は通用しません。いかに自分のスキルを磨き、その強みを活かせる環境を自分で選び取るかが現代のキャリア戦略です。会社に依存するのではなく、市場全体における自分の価値を高め、どこでも生きていける武器を身につけていきましょう。

自分の強みを見つけたら、次は自分をどうやって売っていくか、つまり自分をブランディングする方法を考える必要があります!それについても別途こちらでまとめたので、ぜひ参考にしてみてください↓

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これからのキャリアにおいて、とても助けとなる教えが詰まった本が『苦しかったときの話をしようか』です。著者の森岡さんが実際に娘さんに書いている手紙がもとになっているので、読んでいると実際に自分の相談に真摯にのってくれているかのような感覚になります。

不平等であるこの世の中を、どのように生きていくべきか。不平等でも自分の特徴を活かしていくことで成功はつかみとれること。辛いこともあるけど、乗り越えられる勇気(本書5章で語られる森岡さんの体験談は胸を熱くするものがあります)。

内容が濃すぎて、ほかの本を読むより多くの時間がかかってしまった、というのがぼくの感想です。理解し、咀嚼し、やってみる。時間はかかるけどこれが本来の読書のあり方だなと思いました。

ぜひお手に取ってみてください。本当にオススメです。

それでは楽しい読書ライフを!

▽他にもキャリア形成に関して、オススメしたい本がたくさんあります!▽

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