1万冊の雑誌を編集したプロが教える「差別化を図るアイデアを生み出す方法」とは?

THINK EDIT 野口孝仁

「ポパイ」や「GQ JAPAN」「東京カレンダー」など1万冊以上もの人気雑誌の編集・デザインに携わってきた編集のプロが教えるアイデア創出法。みなさん気になりませんか?

ブロガーさんもの書きの仕事商品開発や新事業立ち上げなど新しいアイデアを生み出すことで成果を挙げることのできる仕事に就いている方必見です!またSNS発信などで個性や企画性を大事にしていきたい方にも役立ちます!

エディトリアルアートディレクターである野口孝仁さんの『THINK EDIT 編集思考でビジネスアイデアを発見するための5つの技術と10の習慣』をもとに、差別化したアイデアの生み出し方を紹介していきます。

差別化のポイントは「ストーリー」であり、「人間臭さ」でもあります。今回紹介する5ステップのアイデア創出プロセスの中で、個人的なエピソードを混ぜ合わせる段階がその差別化を図るポイントです。唯一無二のアイデアを生み出す術を、熟練雑誌編集者から盗み取りましょう!

アイデア創出に欠かせない「編集思考」

まず野口さんが提唱するアイデアを生み出す方法のベースとなるのは「編集思考」です。編集思考とは一言でいうとこのようになります。

編集思考とは、「雑誌編集の場で用いられる視点の持ち方とアイデア創出の手法を使って、新しい価値を導き出す」方法です。

30年で1万冊もの雑誌づくりに携わってきた野口さんは、雑誌の編集会議だけでなく、企業の新商品に関するアイデア会議などにも数多く出席してきたと言います。

例えば、雑誌の表紙に「欲張り女子のヘルシーハワイ」というようなハワイ特集のタイトルがあったりします。それはただ単に流行りの言葉を入れたり、口当たりの良い言葉を使ったりするわけではありません。その背景にはどのようなプロセスがるのでしょうか。

実際に会議でも行われるプロセスに沿って、「編集思考」によるアイデア創出のプロセスを紹介していきましょう。

差別化を図るアイデアを生み出す5ステップ

差別化したアイデアを生み出す「編集思考」の5ステップを紹介する前で、大前提として重要なポイントが二つあります。それは「リラックスした空気」「自由な語り」だと言います。つまり何かに縛られることなく想像力を解放できる環境が必要です。これは複数人で考えるときも、一人で考えるときでも変わりません。

では「編集思考」の5ステップを詳しく見ていきましょう!

ステップ1. テーマ設定

まずはざっくりしたテーマを設定します。新商品やサービスの開発ならそのモノ・コトがテーマでしょうし、記事などの企画なら取り扱いたいトピックを大まかに決めます。

ここでは本書で紹介されているように、旅行雑誌のアイデア会議として「ハワイ」というテーマを設定します。

ステップ2. 出す

次にテーマに関するあらゆるモノやコトを持ち寄ってテーブルの上に並べます。雑誌や写真、お土産、SNSやネットからの情報などなんでも出します。ネタが多ければ多いほど想像が広がります。

ハワイに関するあらゆるものを一通り目の前に広げたら、カードや付箋などでキーワードとして見える化します

ハワイがテーマなら、「海」「アロハシャツ」「アサイー」「芸能人」「ビュッフェ」などが考えられます。またポロっと出た言葉や考えもキーワードとして残しておくとよいでしょう。仲良い友達と旅行に行っても一度はケンカしちゃうと思ったら、「ケンカ」という言葉を残しておきましょう。

ステップ3. 広げる・深める

次に集まったネタを眺めながら、自分の体験談や人から聞いた情報、知っている雑学などを話し合いましょう。ネタとしてのアイデアを広げたり深めたりするパートです。一人でも紙に書き出すなどのアウトプットをすれば、じゅうぶんにできます!

あすどくくん
個人的にはこのステップ3こそが、アイデアに差別化をもたらす最重要ポイントだと思っています。ここで個人的なエピソード、つまり「ストーリー」が入ることで誰にも真似できないアイデアになるのです。

野口さんが30年前に雑誌『ポパイ』の編集部で仕事をしていたときに、「ニューヨーク」の特集に携わったと言います。そこではなんとウン千万円という予算が出たそうです。その予算を使ったいくつかのチームで街をローラー作戦のようにシラミ潰しに歩いていったと言います。

今でこそインターネットで調べれば何倍も効率よく取材ができると思うかもしれませんが、この「足で稼いだ」情報というのが重要です。自分の足で稼ぐことによって滅多に書かれていない新しい情報を得ることができるかもしれません。さらに自ら経験したことにはストーリーが伴います。

その店にたどり着くまでの苦労、そこで出会った最高の食べ物や店主などに関するエピソードは自分の体験に基づくので唯一無二のものになります。

このステップ3ではまさにこの個人的な体験をアイデアにつなげることで、共感を生む「人間臭さ」やオリジナリティ溢れる「ストーリー」をアイデアに持たせることができます

ハワイのテーマに戻ると、「ホテルでの朝食はビュッフェだからつい食べすぎちゃうよね」とか「最近アサイードリンクが流行ってて東京でもお店が増えてるらしいよ」などという話を繰り広げます。

ステップ4. 見つける

ステップ4は、エピソードや共感ポイントから、隠れたニーズを見つけてインサイトを探し出します。インサイトというのは最終的なアイデアにつながる本質のようなものです。

ステップ3でエピソードや共感ポイントを話しているうちに、「ハワイではホテルのビュッフェやハワイならではのランチを食べすぎちゃう」という意見が浮き彫りになったとします。一方で「水着も着たいし、太りたくない。」というニースも顕在化したとします。

そうなるとつまりそこには、「ハワイを旅する女性たちは、おいしいものをたくさん食べたいし、美しくありたい」という本質があることがわかります。本書では「ハワイを旅する女性は旅先で妥協したくない!」と書かれていますが、これがインサイトです。

ステップ5. 言葉にする

最後は、ステップ4で探し出したインサイトから新しい価値を見出し、そのアイデアを言葉にします。雑誌なら特集タイトルですし、新商品やサービスならその名前や特徴などになるでしょう。

ハワイの例でいうと、その女性たちに提案する新しい価値は「健康」となるでしょう。「ハワイを旅する女性は旅先で妥協したくない!」というインサイトから「欲張り女子のヘルシーハワイ」という特集タイトルが生まれます。

既存の例として人気コーヒーチェーンのスターバックスもこのプロセスで説明できます。「カフェでもっとゆっくり過ごしたい」というニーズから「会社、学校、家とは別の居心地のよい場所がほしい」というインサイトを探し出し、「サードプレイス」という新しい価値を見出しました。

もちろんこのアイデアに至るプロセスはさまざまでしょうが、大まかな枠組みはこの「編集思考」と変わらないはずです。

これこそが新しい価値を含むアイデアの生み出し方です。タイトルの魅力はもちろん、特集されるコンテンツも共感を呼び、ストーリーを感じられるものになるはずです。

この「編集思考」による差別化されたアイデア創出法はあらゆる分野に応用できると思います。

本書ではこのちょっとだけ難しそうに見えたステップ4に部分でのニーズからインサイトへの変換の具体的なメソッドが紹介されていたり、アイデアを生み出す力を鍛える習慣術が紹介されています。

興味を持った方はぜひ一度お手にとってみてください!

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