【『7つの習慣』第2の習慣】「終わりを思い描く」とは?

第2の習慣 (7つの習慣)

前回の【『7つの習慣』第1の習慣】「主体的である」とは?に引き続き、ここでは「7つの習慣」のうち第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」について解説していきたいと思います。

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『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー

はじめの3つの習慣は、私的成功に結びついており、3つがそれぞれ相互作用することで効果を生みます。つまり、第2の習慣は、まず第1の習慣を理解しているという前提となります。

第2の習慣「終わりを思い描くことから始める (Begin with  the End in Mind)」

それではさっそく、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める (Begin with  the End in Mind)」とはどのような習慣なのか、どのように身につければよいのかを簡単にまとめていきましょう。

まず人生の最後について考える

葬式

この第2の習慣の部分で、本書では少し驚くような想像を呼びかけられます。

自分がある葬儀に参列するシーンを思い浮かべてみましょう。そして会場の前方に進んでいき、棺を見ると、そこにあるのは自分の姿だといいます。

ここで考えるべきポイントは、「そこに集まった親族や友人、職場の人たちが、あなたをどのような人物だったと考えているか」です。あなたはどう思われたかったか、彼らの人生にどのような影響を及ぼしたのかをまず考えてみましょう。

それがあなたにとっての成功の定義になるのです。

人生のおける全ての行動を測る尺度、基準として、自分の人生の最後を思い描き、それを念頭に置いて今日という一日を始めることである。

つまりこの第2の習慣は、あなたの最後(理想)をありありと思い描くことで、現在の立場を明確にし、ゴールまでの道筋を立てるというものなのです。

今日の生き方、明日の生き方、来週の生き方、はたまた来月の生き方が、自分の大切な価値観に沿って計画できれば、自ずと理想のゴールに近くことができます。

第一の創造「知的創造」の重要性

この第2の習慣は、「すべてのものは二度つくられる」という考えに基づいています。

家を立てる際にいきなり工事を始めないで、設計図を描くことから始めるように、人生におけるあらゆることも、まず頭の中で創造され(第一の創造「知的創造」)、次に実際にかたちになる(第二の創造「物的創造」)ということです。

日々の生活の中で自覚を育て責任を持って第一の創造を行えるようにならなければ、自分の人生の行方を影響の輪の外にある状況や他の人たちに委ねてしまうことになる。

つまり、誰かに押し付けられらたことをして、どうにもならない環境に途方にくれたりするのは、いわば他人が書いた脚本に生きている状態といえます。第1の習慣で言えば、極めて「反応的」な人間だと言えるでしょう。

しかし、人間には知的創造を行うための想像力があります。

自分の中心をなす価値観は何か

星空を見上げる人

自分の理想的な姿を思い描くことが、この第2の習慣だとすると、まずは自分の現在の価値観を再認識する必要があります。

人は誰でも自分の中心を持っている。普段はその中心を意識していないし、その中心が人生のすべての側面に大きな影響を及ぼしていることにも気づいていない。

たしかに、普段から何か選択したり行動したりする度に、自分の中心的な価値観を見直すということはなかなかできないものですよね。

自分の中心がどこにあるのか。配偶者や家族、友人、お金、仕事、所有物、娯楽、はたまた自己にあるのか。それを一度考えてみましょう。中心を考える指標は、本書では細かく示されているのですが、ここでは大まかにどこを重視しているかを考えるだけでもじゅうぶん価値があると考えています。

すこしわかりにくいという方は、このようなシーンを思い浮かべてみましょう。

あなたは今夜、奥さん(旦那さん)とコンサートに行く約束をしています。チケットは手に入れている上に、二人ともとても楽しみにしていたコンサートです。しかし、明日の朝に大事な会議があるから、残業して準備を手伝ってほしいと上司に頼まれます。

あなたはどのような対応をとるでしょう。

配偶者や家族が中心の場合、迷わず奥さん(旦那さん)との時間を優先するでしょう。お金中心なら、残業代のことを考えるし、仕事中心なら上司の評価を上げるチャンスだと考えるかもしれません。

これら自分の中心は、日々の決断や行動、動機、さらには出来事のとらえ方まで人生に大きな影響を与えるものです。先ほど紹介した中心には、どれも一長一短の特徴があります。ではどのような中心が理想的なのでしょう?

『7つの習慣』ではいずれでもなく、「原則中心」の生き方が重視されます。原則とはどの時代も変わることのない不変的で普遍的な軸です。客観的で長期的な目で見て判断し、他人や周りの環境ではなく、自分で主体的に決断を下すことが原則が中心の人の生き方です。

ミッション・ステートメントを作成する

手紙を書く人

第2の習慣を身につける上で最も重要なのが、ミッション・ステートメントです。個人のミッション・ステートメントとは、自分の信条や理念を表明したもので、いわば自分の憲法のようなものだといえます。

どのような人間になりたいか、何をしたいのか、そしてそれらの土台となる価値観と原則を書きます。このミッション・ステートメントに従って決断し、行動していけば、人生の重要な局面でも選択を誤ることはありません。自分の理想に近づいていけるのです。

ミッション・ステートメントは、一晩で書けるものではない。深く内省し、緻密に分析し、表現を吟味する。そして何度も書き直して、最終的な文面に仕上げる。自分の内面の奥底にある価値観と方向性を簡潔に、かつ余すところなく書き上げ、心から納得できるまでには、数週間、ことによれば数ヶ月かかるかもしれない。

このようにミッション・ステートメントは慎重に考えなければなりません。

では具体的にどのようにミッション・ステートメントを作り上げていけばよいのでしょうか。これを書き上げるには大きく分けて二つのステップがあります。

まずは、考えるのです。第一の創造のように、想像力を働かせ、内面の奥底にある価値観に触れる必要があります。「どのような人間でありたいのか」「何を優先するのか」「何がしたいのか」など自分の奥底へと掘り下げていきましょう。

自分の大事なものを考えるときに想像力を活かすというのは、制限をかけるというのも一つの方法です。「もしあなたがあと1ヶ月しか生きられないとしたら」という状況を考えてみるのです。そうすると、本当に大切な価値観がわかったりします。

このような自己分析は非常に重要なものです。具体的な方法やおすすめな本も紹介しているので、こちらも合わせて参考にしてみてください。

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ソース

ミッション・ステートメントを作成する二つ目のステップは、書くことです。自分の信条や理念は言語化してはじめて効果を発揮すると言ってもよいでしょう。一つ目のステップで想像力のような右脳を使った後は、左脳を使って論理的かつ緻密に言語化する必要があります。

書くことについて本書でこのように述べられています。

書くという作業は精神・神経・筋肉に作用する活動であり、顕在的な意識と潜在的な意識を結びつける働きをする。書くことによって、自分の考えの無駄な部分が削ぎ落とされ、明確になる。

書くことの重要性はぼくも声を大にして主張したいですが、まさにこの言葉に集約されていると言っても過言ではないでしょう。考えるステップでの思いをここで全て言語化してみましょう。

形式は問いません。箇条書きでもいいですし、精密に文章化されたものでもよいでしょう。イメージがつきにくい方のために、本書からとある人の例を一部抜粋してみましょう。

まず家庭で成功しよう。
どんなことがあっても正直にいよう。
お世話になった人たちの恩を忘れずにいよう。
常に前向きな姿勢でいよう。
ユーモアを忘れないようにしよう。
…etc

行動の判断基準としてはとてもわかりやすいものですよね。

また、このときに自分の人生での役割を明確にし、それぞれの役割ごとに目標を立てるというのも、ミッション・ステートメントのわかりやすい作成方法です。

夫: 大切な存在である妻とともに、実りある家庭を築く。
父親: 子どもたちが生きる喜びを深めていけるように手助けする。
変化を起こす人: 大きな組織の中で、高い業績を生み出す触媒になる。

このように家庭や仕事、その他プライベートでは、いくつかの役割を持っていると思います。大きな信条や理念を考えた後は、これらの役割ごとに分けて考えることで、その信条や理念を達成するために必要なことをわかりやすくすることができます。

またミッション・ステートメントを作成する際は、日常から離れた場所で行うということも重要です。忙しい日々の中では、つい長期的な視野を失いがちです。多角的に物事を判断することも難しいでしょう。じっくりと深く思考をするためには、著者がビーチに行くように、物理的にも精神的にも日常から離れたいものです。

そして先ほども述べた通り、ミッション・ステートメントは一度書いたら終わりではありません。何度も見直し、ときに最適化するために修正・加筆することも重要です。

第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」を行動にうつす

『7つの習慣』の第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」ことに学ぶべき、明日からはじめたい行動内容は、

自分の葬式を思い浮かべる

です。

冒頭でも紹介した通り、自分の葬式は、第2の習慣を理解する上でもっとも端的に表現されたシーンだと思います。どのような人間になりたいか、何をしたいのかを今一度考えてみましょう。

最後に

第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」は、自分にとって理想のゴールを思い描き、現在の自分の中心的な価値観を知ることで道筋が見えてくるというものです。そして実際に自分の生活に落とし込むために、ミッション・ステートメントを作成します。

これで第一の創造つまり知的創造の部分がこの第2の習慣だったわけですが、これを具体的にどのように行動ベースに落とし込むかというのが、第3の習慣につながっていくのです。

『7つの習慣』のマンガ版も非常によく作られているので、読書が少し苦手だなという方はこちらも参考にしてみてください。

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